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蹄鉄図鑑

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競走馬の蹄鉄(ていてつ)について、橋浜保子が解説します。
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2020年7月の記事一覧

蹄鉄図鑑 ~スプーンヒール蹄鉄 ~

橋浜保子です。 スプーンヒール蹄鉄 JRDB表記:「ス」 脚元コード:「045」 photo by Rumi Enokida 坂元利博氏が装蹄師時代に考案した蹄鉄です。 片側の鉄尾(蹄鉄の踵側の先端部分)をつぶして、スプーンのような形にしています。 前肢と後肢が追突(ついとつ)する馬の裂蹄(れってい)の保護や、落鉄(らくてつ)の予防策として用いられます。 つまり、スプーンヒール蹄鉄を使用している馬は、レース中に落鉄する不安を抱えていると考えることができます。

蹄鉄図鑑 ~ 柿元(かきもと)蹄鉄 ~

橋浜保子です。 柿元蹄鉄 JRDB表記「柿」 脚元コード:「046」 photo by Rumi Enokdia 柿元純司氏が装蹄師時代に考案した蹄鉄です。 通常の蹄鉄よりも、左右の鉄尾(てつび:蹄鉄の踵側の先端部分)の間隔が狭いのが特徴です。 裏筋や蹄球を保護する効果があり、主に、屈腱炎や蹄球炎を発症している馬に使用します。 使用頻度は、かなり低いです。 下級条件では、特にダート戦で、能力が高い装着馬が好走するケースが見受けられます。 しかし、この蹄鉄を装

蹄鉄図鑑~曲がり蹄鉄~

橋浜保子です。 曲がり蹄鉄 JRDB表記:「曲」 脚元コード:「014」 photo by Rumi Enokida 主に裂蹄(れってい)や挫跖(ざせき・蹄釘や石などを踏んで、蹄底にできた内出血・血豆)を発症している馬に装着する蹄鉄です。 特殊蹄鉄の中では使用する頻度が低く、主に前肢に装着します。 通常の蹄鉄との見分け方は、蹄を横や後ろから見た時に、「蹄鉄の際(きわ)の部分」と、「鉄尾(てつび)」の位置が離れているかがポイントです。 鉄尾が、蹄底(ていてい)で

蹄鉄図鑑~鉄橋(てっきょう)蹄鉄~

橋浜保子です。 鉄橋(てっきょう)蹄鉄 JRDB表示:「橋」 脚元コード :「015」 挫跖(ざせき:蹄釘(ていちょう)や石などを踏んだり、後肢の先端が前肢の蹄底に追突した時などに、蹄底にできた内出血・血豆)等で傷ついた蹄底(ていてい)を保護するための特殊蹄鉄です。 蹄鉄の両端にプレート状の鋼片(橋)を渡すような型をしています。 芝のレースでは、雨が降ったり、馬場が渋ると、鉄橋部分が上滑りする傾向があります。このため、芝の稍重(ややおも)馬場・重馬場。不良馬場など

蹄鉄図鑑~半蹄鉄~

半蹄鉄 JRDB表記:「半」 脚元コード:012 photo by Rumi Enokida 蹄の前半分のみに装蹄する蹄鉄で、鉄尾(てつび)の長さが、通常の兼用蹄鉄よりも半分短いです。 蹄鉄を履いていない、蹄の後ろ半分は、直接地面に接しています。 主に、裂蹄(れってい)、肘腫(ちゅうしゅ)、蹄踵狭窄(ていしょうきょうさく)、挙踵(きょしょう)の幹部を保護・予防する目的や、蹄機(ていき)作用を促進させるために用いられます。 それらの症状が酷い場合は、半鉄の鉄尾をさ

蹄鉄図鑑~四分の三蹄鉄

こんばんは。橋浜保子です。 四分の三蹄鉄 JRDB表記:「J」 脚元コード: 017 photo by Asami Nakazawa 「U」字型の蹄鉄の片端を、四分の一切り落とした蹄鉄です。 アルファベットの「J」字型をしています。 U字型をした、通常の兼用蹄鉄 主に裂蹄(れってい)や蹄の狭窄(きょうさく)、球節炎などを発症している馬に使用します。 最近では、裂蹄防止テープと併用するケースがよく見られます。 鉄尾(てつび:蹄鉄の踵側の先端部分)が短い箇所に

蹄鉄図鑑 ~通常の兼用蹄鉄~

こんばんは。橋浜保子です。 今日から、蹄鉄の説明をしていきます。 競走馬は、通常、蹄にアルファベットの「U」の字型をした蹄鉄を装着しています。 素材はアルミニウム合金製で、サイズは厚さ9mm以下、最大部分の幅は125g以下のものまでレースで装着することができます。 鉄頭(てっとう)に突起物(鋼片)を埋め込んで、滑り止めの役割を担うこともあります。 この歯鉄(通称「スパイク」)は、高さ2mmまで使用することができます。 調教とレースの両方で使用する通常の蹄鉄。四肢に