開業時戦力分析(藤野健太厩舎・河嶋宏樹厩舎・高橋一哉厩舎)

【一口馬主向け】調教師(厩舎)分析のご愛顧、誠にありがとうございます。おかげさまで多くのみなさまに読んでいただいております。有料記事も続々購入いただき読んでいただいています。ありがとうございます。(無料記事を読んでいただくだけでも記事作成した甲斐を感じるので嬉しいです。ありがとうございます。)

上記記事のつづきということで、2024年新規開業厩舎についての預託関係(馬主・生産牧場などのライン)を中心に一口馬主的視点も交えて深掘りしていきたいと思います。なお、当記事では藤野健太厩舎・河嶋宏樹厩舎・高橋一哉厩舎を取り上げます。(上記記事のつづきになっていますので、お手数ですが上記記事もご確認いただけると嬉しいです。また、他の2024年開業厩舎は別記事で取り上げています。)

では本題へ進めていきましょう。


藤野健太厩舎

藤野健太調教師については検索をかけても(当記事作成時点では)あまり情報が出て来ないので、現時点でわかるファクターから一口馬主につながりそうな内容を推測していきたいと思います。

まず、藤野師の経歴から確認します。(JRAホームページで確認できる内容です。)
北海道出身で生年月日が1978年3月21日です。JRA入会後は、2003年~2019年が昆厩舎所属、2019年~2022年が高柳大輔厩舎所属でした。藤野師は、調教師試験合格直後のインタビューで次のように回答されています。

(一部引用)
藤野師「目標とする調教師は、所属している高柳大輔調教師です。馬主や従業員などから人望の厚い調教師になりたいです。競馬に関するすべての方たちと協力して、競馬を盛り上げていきたいです」
https://www.radionikkei.jp/keiba_article/news/520233.html

目標で挙げている高柳大師も北海道出身で1977年6月生まれなので、藤野師と同郷・同学年になると思います。
目標に挙げているくらいなので高柳大厩舎から受けている影響も大きいと思いますし、同じ北海道出身でもあるので馬産地に対する意識も高いのではないかと筆者は推測しています。上記のインタビュー内容の「競馬に関するすべての方たちと協力して、競馬を盛り上げていきたいです」という言葉を実現していければ馬産地も必然的に盛り上がると思いますし、現時点での目標となる大きなベクトルとしてはこういう方向性なのかなという推測としたいです。

また、馬産地意識ということで言えば、預託関係のラインでは生産牧場からの切り口で見ていきたいと思います。

主な生産牧場×藤野厩舎(3/7時点登録馬)
(4頭)ノーザンF…キングダムウイナー、カズロレアート、ラリベラ、ヴァレッタカズマ
(3頭)藤原牧場…レガーメペスカ、ラホーヤストーム、プルーフリーダー
(2頭)新冠橋本牧場…クインズプリーズ、ラロマネ

3/7時点で複数頭(2頭以上)の預託登録を確認できる生産牧場が上記の3牧場です。この3牧場はクラブへの提供馬もありうる生産牧場ですし、素直にこの3牧場は注目対象としたいです。

ほかでクラブ関係で注目したいのが以下の2クラブです。(3/7時点で預託登録を確認できるクラブ馬です。)

・ノルマンディーTR
バルミュゼット(増本牧場生産・岩戸厩舎から転入)
クラリティスケール(栄進牧場生産・菊沢厩舎から転入)
キングレガリア(社台F生産・新谷厩舎から転入)
・ライオンRH
キングダムウイナー(ノーザンF生産・田中克厩舎から転入)
ディベルティール(飛野牧場生産・田島俊厩舎から転入)

ノルマンディーTRで3頭、ライオンRHで2頭、預託登録を確認できます。この計5頭は生産牧場がすべて異なりますし、転厩前の所属厩舎もバラバラです。しかも、前所属厩舎はすべて非引退厩舎です。このあたりの材料から、ノルマンディー預託馬とライオン預託馬については、クラブ側主導で藤野厩舎への転厩を進めている可能性を感じます。(あくまで筆者の推測です。)
もちろん、今の関係性が一定以上だからといって、今後も太い関係性になるかどうかはわからないです。ただ、上記のような状況からも、この2クラブについては今後の取引関係を注視していくべきかなと思います。

最後に整理して締めます。
情報量が少なく推測を重ねているものではありますが、生産牧場ではノーザンF・藤原牧場・新冠橋本牧場の生産馬に注目したいです。それなりに多くのクラブが関与する可能性がありますので、漏らさずチェックしたいです。クラブではノルマンディーとライオンに注目だと思います。
あと、師が高柳大厩舎所属時にテーオーケインズに携わってきたという記事も確認できます。このため、素直に藤野厩舎がダート路線でどのような成績を出していくのかにまずは注目したいと思っています。

河嶋宏樹厩舎

続いては、河嶋宏樹厩舎です。
河嶋宏樹厩舎についてはノースヒルズ系とのラインに真っ先に注目したいです。少し調べたところ、師がノースヒルズでの勤務歴があり、さらにJRAに入ってからはノースヒルズとの縁が深い中竹厩舎でキャリアを重ねてきているのです。

以下は、2013年のダコール(中竹厩舎、ノースヒルズ生産)についてのインタビュー記事です。(河嶋師が助手時代に受けているインタビュー記事です。

この記事のなかから筆者的に印象に残ったフレーズを抜粋したいと思います。

(一部引用)
「牧場の人も、オーナーも、先生にもみんなお世話になっていて、関わってきたみんなの顔がわかるので勝ちたいです。」
「短期放牧を頻繁に出しているのもありますけれど、コミュニケーションが取れますし、使うところも全部、コミュニケーションを取って、乗ってる人から何から、みんな顔を知っている人なので、その辺は信頼関係でキッチリと仕事をして、こちら側に送ってきてもらってますし。」
僕は牧場のこともわかるから、お互いに建設的な話もできますし、普通に考えたら言いにくいことかもしれないですけれど、それはお互い様で、良くしていくための段階として、やるべきことというのは言えるようにはしています。そういう意味でも、恩返しの意味もありますし、どうにか重賞を勝ちたいです。」
https://www.keibalab.jp/column/interview/925/

(約10年前の記事ではありますが)ノースヒルズとの強い信頼関係を感じる言葉が並んでいることがわかります。
実際、開業当初となる3/7時点の河嶋厩舎登録馬を確認するとノースヒルズ関連馬の預託馬が並んでいます。

3/7時点のノースヒルズ関連×河嶋宏樹厩舎
デュランヴェリテ生産ノースヒルズ、父キズナ、中竹厩舎から転入
パシュミナ馬主ノースヒルズ、2歳母ファレノプシス、中竹厩舎から転入
ファミリーツリー生産ノースヒルズ、父ワンアンドオンリー
サヴァイヴ生産ノースヒルズ

さらに以下のように(明け2歳馬である)早期特例登録馬にもノースヒルズ系からの登録馬を確認できます。

3/7時点早期特例登録馬ノースヒルズ関連×河嶋宏樹厩舎
サディーク(Moonshine Memories2022)…父Into Mischiefの外国産馬
ブラックレイ(アポロフィオリーナ2022)…セレクションセールで税込6,160万円のキタサンブラック産駒

ここまでエビデンスが揃っていますので、あとはこのラインからどのような馬が出現するのかに注目でしょう。
それと河嶋宏樹厩舎で興味深いのが、3/7時点ではクラブ馬の預託がゼロであることです。今後、クラブとの預託関係が広がっていくのか?広がるのであればどのクラブが起点になるのか?そういった視点で一口馬主的には注目したいです。

高橋一哉厩舎

高橋一哉調教師は2024年開業厩舎のなかで唯一技術調教師を経ずに開業されています。調教師試験合格発表からわずかな期間での開業となり準備が大変だったのではないかと思います。
また、今年開業厩舎のなかで唯一の14馬房体制で小規模でのスタートとなります。既存の平均的な20馬房厩舎と比べるとかなりの馬房数差(6馬房数差)がありますので、年末に厩舎成績を確認する際には小規模馬房数であることも加味して成績確認をしたいところです。

もうひとつ、師は1986年生まれです。今回の新規開業調教師のなかでは千葉師とともに(新規開業8調教師のなかで)もっとも若い年齢での開業となります。若くして開業するということで、70歳定年制を考えるとこれからの厩舎運営期間も長くなります。私たち一口馬主視点でも中長期目線で接していきたい厩舎だと思います。

その高橋一哉厩舎、3/7時点の預託馬所属クラスを確認すると以下のような開業時布陣です。

3/7時点 高橋一哉厩舎登録馬の所属クラス(計25頭)
3歳未勝利クラス…9頭
古馬1勝クラス…10頭
古馬2勝クラス…5頭
障害クラス…1頭

おそらく(重賞などの)上級条件での好走は先のことになると思います。一方で、下級条件での走りや、3歳世代の勝ち上がり頭数などに注目していくことでこの厩舎のセールスポイントも見えてくる可能性もあると思います。

続いては開業時点でのクラブ預託馬についてです。

3/7時点 クラブ馬×高橋一哉厩舎
シルクR(3頭)…ロンズデーライト、クラシックステップ、ピアリ
キャロットF(2頭)…カイカノキセキ、リルト
サンデーR(1頭)…ヴィラーゴスリーブ
ライオンRH(1頭)…ジークシュベルト
ノルマンディーTR(1頭)…パステルパレット

このなかから、もしくは他クラブから、取引関係が広がっていくクラブが出てくる可能性もあると思います。一口馬主視点ではそのあたりに注目だろうと思います。

最後に、師が直近で所属していた鈴木孝志厩舎関係の話題です。
2023年開業の小栗実調教師も、高橋一哉調教師と同じで鈴木孝志厩舎出身です。2018年~2021年で同僚だったはずで、小栗師と高橋一哉師は年齢も1つ違いのほぼ同世代です。おふたりの実際の関係性を筆者は知り得ませんが、出身厩舎や世代を考えると、厩舎運営をやっていくうえでの情報交換などもできるのではないかと推測しています。

小規模スタートで目立ちにくいなかではありますが、クラブ馬も一定以上いますし、今後どのような厩舎になっていくのか?長い目で見ていくとよい厩舎だろうと思います。(繰り返しになりますが、下級条件での走りや、3歳世代の勝ち上がり頭数などに注目したいと思っています。)


以上で2024年3月開業の新規開業厩舎についての記事は終わります。
新規開業厩舎はどのような運営をするのかわからないのでドキドキとワクワクが入り混じるような感じだと思いますが、当記事で少しでも新規開業厩舎の具体的イメージを膨らませることにつながればと思います。さらに、開業初期の戦力を確認しておくことで1年後なり2年後に厩舎成績を振り返る際の参考にもできると思います。いろいろな形で活用できると思いますので当記事をうまく活用いただければ嬉しいです。

各新規開業厩舎が早くに軌道に乗ることを願うとともに、私たち一口馬主としてもその成長軌道に出資馬を通して関わり、成長軌道の果実を享受できるようにできればと思います。

今回はここまでです。最後まで読んでくださりありがとうございました!
良い調教師(厩舎)とのご縁、みなさまの愛馬の成績向上、次世代産駒での良縁があることを願っています!

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