見出し画像

【WEB版】『ディープインパクト誕生の裏に隠されたシナリオ』(16)

ルドルフ二分割だったテイオーとマックイーン

シンボリルドルフから(外)シンボリクリスエスまでの20年間の話をしたが、もう少し掘り下げてみよう。
 
1984年(昭和59年)~1993年(平成5年)の10年間
1994年(平成6年)~2003年(平成15年)の10年間
 
まず、昭和59年のシンボリルドルフから平成5年までを取り上げる。

平成5年の最後のGⅠ、有馬記念を勝利したのはシンボリルドルフの子、トウカイテイオー。つまり、昭和59年の皐月賞馬シンボリルドルフから平成5年の有馬記念馬トウカイテイオーまでの10年間がひとつのスパンとなる。

ここで、もう1頭の馬の存在が浮上する。それは父メジロマックイーン。なぜ、トウカイテイオーとメジロマックイーンの2頭を抽出するのかというと、この2頭が10年間の幕引きを演じているという理由が存在するからだ。

それは施行回数。シンボリルドルフが君臨した理由として第51回日本ダービーであることを第一章で説明した。そして三冠レースのうち、残る51回施行を制したのがこの2頭なのである。
 
平成2年 第51回菊花賞馬メジロマックイーン
平成3年 第51回皐月賞馬トウカイテイオー
 
この2頭には受け持った使命がある。それは【枠連時代の幕引き】の役目である。馬連は、平成3年10月5日に全国発売となった。その馬連が発売される前年の【枠連だけの時代最後】の菊花賞を勝利したのがメジロマックイーンであり、【枠連だけの時代最後】の皐月賞を勝利したのが父トウカイテイオー。このように主催者は、皐月賞と菊花賞が51回を終えた時点で馬連馬券を発売するタイミングを計っていたのである。

では、この2頭の戦歴を見てみよう。
 
メジロマックイーン
 
3歳時
1阪神3 新馬 1着(2番人気)
2阪神2 ゆきやなぎ賞(500万下) 2着(1番人気)
2京都7 あやめ賞(500万下) 3着(1番人気)
2函館2 渡島特別(500万下) 2着(1番人気)
2函館6 木古内特別(500万下) 1着(1番人気)
2函館8 大沼S(900万下) 1着(1番人気)
3京都3 嵐山S(1500万下) 2着(1番人気)
4京都2 第51回菊花賞(GⅠ) 1着(4番人気)
 
4歳時
1中京6 第39回阪神大賞典(GⅡ) 1着(1番人気)
4京都4 第103回天皇賞(春)(GⅠ) 1着(1番人気)
5京都8 第32回宝塚記念(GⅠ) 2着(1番人気)
6京都2 第26回京都大賞典(GⅡ) 1着(1番人気)
4東京8 第104回天皇賞(秋)(GⅠ) 18着降着(1番人気)
5東京8 第11回ジャパンカップ(GⅠ) 4着(1番人気)
5中山8 第36回有馬記念(GⅠ) 2着(1番人気)
 
5歳時
1阪神6 第40回阪神大賞典(GⅡ) 1着(1番人気)
3京都2 第105回天皇賞(春)(GⅠ) 1着(2番人気)
 
6歳時
2阪神4 第37回産経大阪杯(GⅡ) 1着(1番人気)
3京都2 第107回天皇賞(春)(GI) 2着(1番人気)
3阪神8 第34回宝塚記念(GⅠ) 1着(1番人気)
5京都2 第28回京都大賞典(GⅡ) 1着(1番人気)

メジロマックイーンの戦歴

トウカイテイオー
 
2歳時
4中京3 新馬 1着(1番人気)
5京都8 シクラメンS(オープン) 1着(3番人気)
 
3歳時
1京都7 若駒S(オープン) 1着(1番人気)
2中山8 若葉S(オープン) 1着(1番人気)
3中山8 第51回皐月賞(GⅠ) 1着(1番人気)
3東京4 第58回東京優駿(GⅠ) 1着(1番人気)
 
4歳時
2阪神4 第36回産経大阪杯(GⅡ) 1着(1番人気)
3京都2 第105回天皇賞(春)(GⅠ) 5着(1番人気)
4東京8 第106回天皇賞(秋)(GⅠ) 7着(1番人気)
5東京8 第12回ジャパンカップ(GⅠ) 1着(5番人気)
5中山8 第37回有馬記念(GⅠ) 11着(1番人気)
 
5歳時
5中山8 第38回有馬記念(GⅠ) 1着(4番人気)

トウカイテイオーの戦歴

シンボリルドルフの戦歴とメジロマックイーン、トウカイテイオーの戦歴を見比べてほしい。

ポイントは、マックイーンが初めて出走した重賞競走が菊花賞であったこと。それに対してテイオーは、皐月賞とダービーに勝利したあと、秋季番組には一切出走しなかったこと。つまり、メジロマックイーンとトウカイテイオーの2頭でルドルフ1頭を表現しているということ。そのためにマックイーンは皐月賞、ダービーの出走歴を持たず、テイオーは菊花賞の出走歴を持たないのだ。

言い換えると、ルドルフを2頭に分割した馬がテイオーとマックイーンである。ルドルフが勝利したGⅠレースは三冠レース以外に天皇賞(春)、ジャパンカップ、有馬記念の3レース。国内のレースで敗退したのは、3歳時に出走したジャパンカップの3着と天皇賞(秋)の2着。これを踏まえて2頭のルドルフ分割馬としての役割を見てみよう。

まず、マックイーンはルドルフの【京都競馬場】菊花賞馬を演じているので、【京都競馬場】天皇賞(春)を勝利する。それに対して、テイオーは【中山競馬場】皐月賞馬と【東京競馬場】ダービー馬を演じているので、【東京競馬場】ジャパンカップと【中山競馬場】有馬記念を勝利することになる。

ルドルフ2分割馬としての役割がわかっていれば、テイオーが1年の休養から復活を遂げた有馬記念勝利が奇跡ではないことがわかるはず。要するに、ルドルフの分割馬としてマックイーンが勝てない有馬を勝利する使命が残っていたから、休養明けで有馬記念に向かったのだ。

こうして、テイオーとマックイーンはルドルフの勝利したGⅠレースを2頭ですべて勝利し、【枠連時代の幕引き】の役目をまっとうしたのである。

お問い合わせはコチラ♪


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?