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FT8運用のためにElecraft KX2を設定する

Elecraft KX2はFT8やPSK31等のデータ通信に対応していますが、当然のことながら効率よく運用するためには正しく設定することが必須です。とは言え、無手勝流では無理がありますので、先人の知恵を借りましょう。

こちらのサイトではKX2設定動画なども公開されているようです。

少しのことにも、先達はあらまほしき事なり。

吉田兼行『徒然草』第52段

はじめに

この記事では設定項目と設定値が列挙されていますが、具体的にどこをどう操作すればよいのか分かりません。そういう時こそマニュアルの出番です。

しかし、いちいちマニュアルを当たっていては手間なので、設定内容と設定方法を記事にまとめました。以下では、ボタンを普通に押すことをタップ、押し続けることをホールドと呼びます。


パネル操作

まずはパネルにあるボタンやノブの操作だけで設定できる項目です。

MODE: DATA A

DATAボタンをタップ → OFS/Bノブを回してDATA Aを選択します。設定したら適当なボタンを押して確定します。SSB/CW等を切り替えるMODEボタンではありませんのでご注意を。

なお、WSJT-XのパネルでFT8を選択すれば、自動でDATA Aに設定されるらしいです。

NB: OFF

AF/MONノブをホールド(NB)するとオン/オフが切り替わります。画面上のNB表示が消えればオフになっています。

NR: OFF

後述のAGCをオフにすると自動的にオフになります。AGCがオフの時にPREボタンをホールド(NR)すると、エラーメッセージが表示されます。

PRE: OFF

PREボタンをタップするとATT/PRE/オフが順に切り替わります。PREもATTも画面上に表示されていなければオフになっています。

PWR: 5.0W

KYR/MICノブをホールド(PWR)すると出力を設定できます。KYR/MICノブを回して5.0Wに設定します。設定したら適当なボタンを押して確定します。


FIL ADJモード

フィルタを設定します。FILボタンをタップするとフィルターを調整できるFIL ADJモードになります。設定したら適当なボタンを押して確定します。

FIL BW: 4 kHz

AF/MONノブを右に回して、BW (バンド幅) を最大の4.00 [kHz]に設定します。

FIL Center: 1.5 kHz

同様にKYR/MICノブを回して、FC (バンドパスフィルタのセンター) を1.50 [kHz]に設定します。ノブを回す代わりにこのノブをタップしてもOKです (標準の1.50kHzに設定されます) 。


MENUモード

DISPボタンをホールド (MENU) することで、MENUモードになります。OFS/Bノブを左右に回して設定項目を選択し、Aノブを左右に回して設定値を選択します。すべての項目の設定を終えたら適当なボタンを押して確定します。

AF LIM: 20

下のAGCをオフにするため、オーディオ出力の上限を設定します。強い信号を受信した時の保護になります。

AGC MD: OFF

AGC (オートゲインコントロール) はオフにします。画面上に AGC- とハイフンまで表示されていればオフになっています。

MICBIAS: OFF

これもWSJT-Xにより自動で設定されるらしく、手動で設定する必要はないようですが、一応オフにしておきましょう。

RF GAIN: 0

受信した信号を減衰させない -0 dbに設定します。


WXJT-X

KX2の設定が済んだら、WXJT-Xの画面を見ながら設定を行います。

AF: 2-10

AF/MONノブを回して入力される音声の大きさを調整します。信号がなくノイズのみの時に30dB前後になるよう調整します。私の環境では 2 で丁度よいくらいです。

MIC GAIN: 変更なし (元記事では0-50)

KX2側でマイクのゲインを調整するより、WSJT-Xの出力つまみを調整する方が楽です。

まずはKX2にアンテナあるいはダミーロードを接続しておきます。回路を保護するため、SWRをしっかり下げておくか、ATUでチューニングを取っておいた方が精神衛生上よろしいかと思います。

WSJT-Xの「チューン」ボタンを押して送信状態にし、「出力」つまみを上げ下げしてKX2のALCのバーが4つ (から5つ) 振れる程度に調整します。バーが5つより大きく振れると過変調が掛かり、周囲の局に迷惑が掛かるようですのでご注意を。


追記

AGCとRF GAIN

参考にした記事ではAGCを切ってRF GAINを0に設定していますが、AGCをFASTに設定した方がRFゲインを変更しなくてよいしデコード率が上がる、という記事もよく見掛けます。このあたりはアマチュアらしく試行錯誤してみるのもよいと思います。


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