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【電子工作】トランジスターラジオを作ってみた(寄生容量問題)

先日作ったIFTの基板を使ってラジオを組み立ててみた。とりあえず鳴りはしたものの高い周波数が受信できない。原因を調べたら発振回路のOSCコイルとポリバリコンをつないだ電線の寄生容量が悪さしていた。

1石スーパーヘテロダイン

今回組み立てたのはスーパーヘテロダイン方式のラジオで一番簡単なもの。 トランジスター1石で局発と周波数変換(と増幅)の機能を持たせた回路です。 (まぁ、感度は悪いです。)
出典は"https://電子うさぎ.com/archives/4579"です。とても詳しく説明していただいていますので、 回路の仕組みについてはそちらを見てください(是非おすすめです)。
出典ではクリスタルイヤホンで聞く構成なので、 私も最初クリスタルイヤホンで聞いていたのですが、 スピーカーで聞きたくなったので、 オーディオ回路を手抜きのLM386で組みました。
正月休みに組みあがったのでこれで箱根駅伝を聞いてました。でもNHKの第一(594kHz)と第二(693kHz)しか入らない・・・
ブレッドボードだと仕方がないのか?

写真1 とりあえず配線したラジオ

高い周波数が受信できない

スーパーヘテロダイン方式のラジオはバーアンテナの同調周波数と、局部発振回路の周波数を連動させる必要が有りますが、最初に作ったものは局部発振回路の周波数がポリバリコンのトリマーで調整しきれず、低い周波数範囲でしか動作しませんでした。なので仕方なくNHKで駅伝を(ry

調整は出典にあるように、まずは一番低い周波数でOSCコイルを、次に一番高い周波数でポリバリコンのトリマーを調整します。調整はOSCコイルの二次側にminiVNCをつないで共振周波数を測定ました。このときはポリバリコンのトリマーを最低の容量にしても1,860kHzにしかなりませんでした。これでは上限の受信周波数が1,405kHzで地元のラジオ局が入らないorz

改めて出典の写真を眺めていると・・・

うまく行かないのはどうにもおもしろくないのでなんとか出来ないかいろいろ調べました。使っている部品は国内向け仕様のもので、バーアンテナとポリバリコンの組み合わせも問題なし。ネットでもそれらしい情報は無いしな・・・と改めて電子うさぎさんの製作例を見てみると「ポリバリコンとOSCコイルの周りはスッキリしているな、電線を無駄に引き廻してない」。ん?もしかして原因はこれ?
確かにOSC側ポリバリコンの容量は最大で60pF、引き廻した電線に数pFの寄生容量があるだけで影響がでてしまう。

写真2 改良前の状態

延長ケーブルの有り無しで影響を確かめる

ポリバリコンとOSCコイルを繋いでいる延長ケーブルの影響をしらべて見ました。あいにく静電容量が測れる計器を持っていないので、今回はどこのご家庭にもあるminiVNAを使ってポリバリコンとOSCコイルの共振周波数を測ってみました。実験用の回路構成は図1です。

画像3
図1  延長ケーブルの影響を調べるための共振周波数測定実験回路図

使用していた延長ケーブルはフラットケーブルを裂いて2本1対にたものを200mm程度に切断したものです。(写真3)

写真3 延長ケーブル

以下は実験の様子です。

写真4  延長ケーブル無しの状態での測定
写真5  延長ケーブル有りの状態での測定
写真5に写っているオレンジ色と黄色の電線が写真3に写っている延長ケーブル

実験結果

ポリバリコンを回して共振周波数が986kHzから2,057kHzまで調整が出来れば問題ありません。実験結果は表1の通りで延長ケーブル無しでは調整出来ている(表1①~③)のに対し、延長ケーブル有りではトリマーの容量を最小にしても1,935kHzにしかなりませんでした(表1⑦)。また、表1①と④の結果から延長ケーブルの寄生容量(静電容量)はおおよそ10pFくらいありそうです。(OSCコイルの容量をカタログ値の360μH、延長ケーブルのインダクタクスは無視して計算)

表1  実験結果

回路を改良

高い周波数が調整できない原因が延長ケーブルだと判明したので、延長ケーブルをやめて、ポリバリコンとOSCコイルを最短で配線してみました。
結果は良好。地元ラジオ局も受信できました。

写真  6  改良後の配線

以上です。

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