マスク不足で分かるUniswap入門(1)ERC20トークンの流動性供給で報酬を貰うってどういうこと?
Uniswapの流動性供給まとめ
・流動性が低い状態の価格は実際にそのレートで取引できず、意味がない
・流動性が高くなるとみんなが効率的に取引できるようになる
・流動性を提供すると流動性供給報酬としてETHとERC20トークンが貰える
・流動性を供給するためにはETHとERC20トークンをペアでロックする必要がある
・流動性供給はいつでもやめることができる
日本暗号資産市場の岡部です。
モノと暗号資産の取引市場を作っています。
最近私個人TwitterでUniswapの流動性供給についてつぶやいています。
※UniswapはMetamaskさえあれば簡単にETHと任意のERC20トークンをswapできる分散型取引所です。
中央集権型取引所と異なり運営主体が無く、単なるスマートコントラクトなので、24時間365日自動で止まることなく動き続けます。
ファンの方から以下のようなご質問を頂きました。
最近、よく推奨されている流動性供給とは、どのようなもので、全体としてどのような効果があり、参加した者にはどのようなメリットがあるか、わかりやすく説明されたサイト等はありますでしょうか?
結論:専門的なサイトばかりなので、私がわかりやすく説明します。
まず流動性について説明します。
流動性が高い 資産が容易に他の資産と交換できる状態のこと
例:日本円や上場株式や最近のマスク
流動性が低い 資産が容易に他の資産と交換できない状態のこと
例:ARUK(未上場ERC20トークン)や未上場株式
全く同じ価値の資産であっても流動性が高い資産が好まれます。
流動性と価格の関係は最近のマスクの高騰をイメージすると理解できます。 現在、日本円は容易にマスクと交換できませんが、マスクは容易にその他の資産と交換することができます。
最近ではマスクが外交の取引材料にまで使われています。
国にとってお金は印刷するか口座の数字をいじるだけです。
しかし、マスクはすぐに大量確保できません。
この情勢であれば同価値の法定通貨より同価値のマスクが大事です。
自分が持っている資産の流動性は基本的に高いほうが良いということがわかります。
一方で全員が流動性が高い資産を保有しようと目指す社会が最適でないこともお分かり頂けると思います。
お金持ちが流動性が高いからとマスクを買い占めて備蓄していたら新型コロナウィルスの感染が拡大してしまうでしょう。
また、投資家が上場株式ばかりに投資して未上場株式に投資できないとイノベーションが起こりにくくなります。
それぞれの資産には役割があり、情勢の変化に合わせて各資産は他の資産に交換されるのですが、流動性が低い資産は定義から他の資産に容易に交換できず、交換を希望する人は多くのコストを払わなければなりません。
例:マスクを買うために朝早くからドラッグストアに並ぶ必要がある。
私共の事業(暗号資産古物商・暗号資産古物市場主)は極論すれば暗号資産とモノの流動性を上げることにつきます。
暗号資産とモノをオークションして値段をつけることで、 暗号資産は今まで交換しにくかったモノと交換しやすくなるので流動性が上がります。
モノは今まで交換しにくかった暗号資産と交換しやすくなるので流動性が上がります。
市場の交換レートは公表され、他の取引の参考価格となります。
暗号資産とモノの流動性が高くなると暗号資産とモノがさらに効率的に取引できるようになり、暗号資産とモノの価値がさらに上がり、暗号資産とモノの流動性が高くなるという正のスパイラルを実現することができるのです。
法定通貨は大抵の資産と容易に交換できますが、例外的に容易に交換できない以下のような資産があります。
未上場暗号資産 資金決済法により仮想通貨交換業者ですらも未上場暗号資産を取引できません。
未上場株式 金商法により募集が制限されているので、証券会社でも容易に取引できません。
限定品 世界に1つしかない美術品等。持ち主が売るといわないと美術商でも取引できません。
流動性が無いことにより価格が安くなることを(非)流動性ディスカウント プレミアがついて価格が高くなることを流動性プレミアム といいます。
さて、未上場暗号資産はどの程度、流動性ディスカウントの影響を受けるのでしょうか?
未上場暗号資産のARUKのUniswapの公開情報(2020年4月8日)を元に計算してみましょう。
Exchange Rate(交換比率)
1 ETH = 2070.6422 ARUK
Current Pool Size(流動性プールサイズ 大きいほど流動性が高い)
2.1581 ETH + 4468.7919 ARUK
ここでETHを持っている人がARUKにswapしたいと思ったとします。
流動性を考慮しなければ 0.01ETHは20.70ARUKにswapできるし、100ETHは207060.422ARUKにswapできるはずです。
しかし、流動性プールに十分な量が無い為、実際にswapできるARUKは以下の通りです。
0.01ETH→ 20.5493ARUK
0.1ETH → 197.3271ARUK
1ETH → 1412.0917ARUK
10ETH → 3673.5852ARUK
100ETH→ 4374.1073ARUK
全体で4468ARUKしか流動性が供給されていないので、
100ETHでも4374ARUKしかswapできないのです。
流動性が低い状態で価格のことを話してもほとんど意味がないのがわかります。
また、一定の流動性が無ければ大口の買い手や売り手が現れることがないのも容易に想像できるでしょう。
さて、流動性は誰がどのように供給するのでしょうか?
UniswapではETHとERC20トークンをスマートコントラクトにロックすることで誰でも流動性を供給することができます。
また、いつでも流動性供給をやめることができます。
例 ARUKの流動性供給 https://uniswap.exchange/add-liquidity?ethAmount=1?token=0x81aada684f4bd51252c8184148a78e7e4b44dc2c
例 ARUKの流動性供給をやめる https://uniswap.exchange/remove-liquidity?poolTokenAmount=1?poolTokenAddress=0x81aada684f4bd51252c8184148a78e7e4b44dc2c
流動性供給する人のモチベーションは流動性供給報酬です。
UniswapではERC20とETHの交換で0.3%、ERC20同士の交換で0.6%弱の手数料がかかり、流動性プールに追加されます。
流動性供給した人はこれを流動性供給量(Pool Token量)に応じて受け取ることができるのです。
単純計算ですが、1日に流動性供給量の10%の取引が行われた場合、1日で0.03%が流動性供給報酬となり、年利10%以上の流動性供給報酬が見込めることになります。
未上場ERC20自体の流動性が低くても流動性供給によって年利10%以上の報酬が見込めるのであれば欲しい人は出てくるでしょう。
流動性供給が少ないうちはボラティリティが大きく、1日に流動性供給量の10%以上の取引が行われる可能性があるので、流動性供給報酬が増加します。
流動性が増えてくると効率的に取引が行えるようになるので取引を行う人が増えて、流動性供給報酬が増加します。
そうすると流動性がさらに増えて正のスパイラルが生まれる。
というのがUniswapの鶏・卵問題に対する解決法です。
例えば以下のような取引を考えましょう。
Aさんは家にあるいらないモノを売ってお金にし、暗号資産で効率的に運用し、別のものを買いたいと思っています。
モノを古物商に持って行き、売って日本円にする
→日本円を仮想通貨交換業者でETHにする
→ETHをERC20にswapする(Uniswap)
→ETHとERC20を流動性供給する(Uniswap)
→流動性報酬を受け取る(Uniswap)
→全てETHにswapする(Uniswap)
→ETHを仮想通貨交換業者で日本円にする
→モノを買う
利益は出そうですがちょっと面倒ですね。
このような循環において、ERC20やETHが暗号資産古物商でモノの売買に使えるとしたらどうでしょう?
家や会社にある使わなくなったものが新たなお金を生むようになり、家計も企業も効率が良くなります。
使わなくなったものを箱に詰めてオクリマ(日本暗号資産市場)に送る →ETHとERC20を受け取る
→ETHとERC20を流動性供給する(Uniswap)
→流動性報酬を受け取る(Uniswap)
→暗号資産で直接モノを購入する
無駄が無くてシンプルですね。
Uniswapはユーザー自体が作業する必要がありますが、単純に作業が減っています。
仮想通貨交換業者での往復の手数料もかかりません。
暗号資産古物市場がなぜこのような分散型金融の情報を発信しているかというと、 分散型金融が普及して暗号資産の流動性が高まれば、流動性ディスカウントが小さくなるからです。
要するにモノを高く暗号資産で買うことができますし、 モノを安く暗号資産で売ることができるようになります。
暗号資産古物商は分散型金融の1ユーザーであり、収益性は分散型金融の発展に依存します。
そうすれば使わなくなったものを効率的に欲しい人に届けることができるようになり、社会全体の効用が増加します。
暗号資産は新しい機能がついたお金です。
暗号資産を持っていない一般人が暗号資産を手に入れるには3つのルートがあります。
1、法定通貨→取引所→暗号資産
現在最も一般的なルートです。
取引所を業として営むには暗号資産交換業登録が必要です。
2、マイニング
電気代の高い日本では採算が合いません。
また、専門的な知識が必要でほとんどの人には不可能です。
3、モノ→暗号資産古物商→暗号資産
これから急成長すると予想されるルートです。業として営むには古物商許可が必要です。
業として一般の方に資産との交換で未上場暗号資産をお渡しできるのは3の暗号資産古物商だけです。
(暗号資産交換業者も未上場暗号資産を業として取り扱うことはできません)
暗号資産や分散型金融、暗号資産古物商に興味がある人は気軽にご連絡下さい。
また、書いてほしい記事などありましたらリクエストお待ちしています。
https://twitter.com/noritaka_okabe
一度Uniswapを使うとイメージが沸くと思うので、まずは触ってみるのをおススメします。
会社概要
・会社名 :JPYC株式会社
・代表者 :代表取締役 岡部 典孝
・所在地 :東京都港区芝公園4-8-12 猫来坊
・設立 :2019年11月
・事業内容 :古物商、古物市場の運営、前払式支払手段の発行
・URL :https://jcam.co.jp/
・ヘルプ :jpyc_support@jcam.co.jp