Gastric POCUS

POCUS(Point-of-care ultrasound、ポイントオブケア超音波)が浸透してきている中、今回扱うのはgastric POCUSの基本の紹介・導入です。

日本語だと「胃POCUS」となりますが、正式・公式な訳は特にまだ決まっていないように思われます。POGUSとか呼ばれていたりもしますが非公式です。

POCUSは米国で先に浸透していっている臨床技術で、専門家が行う包括的な、一通り詳らかに調べる超音波検査とは違います。その臓器や系に精通していなくてもできる、目的に応じて焦点を絞った超音波検査です。
心臓、肺、FAST、胃、気道などといったPOCUSがあります。

ここ数十年の超音波機器の進歩によって画質の向上や小型化が実現しました。今では一部の米国のメディカルスクールでポータブル超音波機器が学生一人一人に配布が始まり、POCUS自体が米国麻酔科専門医試験に2021年から組み込まれました。
同じ音波を使ってより詳しい情報が得られるので、21世紀の聴診器とも呼ばれるくらいです。

ここ数年のPOCUSの広がりと、先の記事で触れたGLP-1受容体作動薬の登場も含めてgastric POCUSは知っておいて損ではないはずです。


適応

使いどころはシンプルで、絶飲絶食状態(NPO status)や鎮静/麻酔をかけた際の誤嚥リスクが不明瞭な時です。

どういう時に不明瞭なのでしょうか? いくつかに分けてみます。

  1. 緊急手術

  2. 患者に認知機能低下・精神遅滞・意識障害がある場合

  3. 患者が絶飲絶食状態を遵守しているかわからない

  4. 胃内容排出を遅延させる既往や状態がある時(現ガイドライン上の絶飲絶食期間では足りない)

3の例は、特に日帰り手技・手術で憂慮する点ですが、前日に入院していたからといって病棟に知られずに何か食べている時もあり油断はできません。

4の例としましては、糖尿病、妊娠、外傷、消化管疾患、肝硬変、末期腎不全、神経筋疾患、GLP-1受容体作動薬などがあります。

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