SDGs関係のパブコメやってますね。

2019年11月11日から25日までの間、日本政府のSDGs実施指針に関するパブリックコメントが行われています。

このパブコメを受け、SDGs市民社会ネットワークさんが「パブコメガイド」を作ってくださいました。

パブリック・コメントには、「あなた自身の意見」をしっかり具体化して書くことが大事です。また、ほかの人の意見などについては、自分として腑に落ち、納得したことを書く、ということが大事だと思います。「これかな」と思った論点について、ぜひ、自分なりに突き詰めて、意見としてまとめ、書いたうえで、一度しっかり見直して、提出してみるのが良いかと思います。ぜひ、がんばってみてください。

いっつも思ってることなんですが、パブコメ大事!とは思っても、なかなか論点が整理されている人なんてそうそういない(私も)。

だからこのnoteではこのパブコメガイドを引用しながら、私自身の意見を整理したいと思います。私自身はかつて「ESD」持続可能な開発のための教育の推進にかかわっていたことがある程度で、現状の最新情報へのアクセスはあくまでウェブ程度という前提でお読みいただき、間違いなどはぜひご指摘ください。

<引用>パブコメガイド論点1:もっと「危機意識」を持とう 冒頭の論点は、SDGs 採択から 4 年、2030 年の達成期限まで 3 分の 1 の期間が経とうとしているところで、いまだに、貧困・格差の解消、持続可能な環境・経済・社会への変革のめどが見えてこないことについて、「もっと危機意識を持とうよ」ということです。改定「SDGs 実施指針」骨子案は、2016 年末に制定された「SDGs 実施指針」に比べれば、多少の危機意識は表れていますが、本年採択された SDGs サミットの「政治宣言」にあるような、飢餓、貧困、格差の増大、気候変動の影響の拡大、生物多様性の喪失スピードの拡大といった、まさに差し迫った持続可能性の危機に対する切迫感は十分ではないように思えます。日本でも、私たちは実際、災害の危機、格差や貧困、ジェンダーや障害、性的指向や性自認(SOGIE)などにかかわる社会的・制度的な差別に直面しています。こうしたリアリティを示し、「貧困のない、持続可能な社会」への歩みが遅れていることについての危機感をもっと持とうよ、という意見を書いてみる、というのは、説得力があるのではないでしょうか。

論点1について。今年のグローバル達成状況の和訳を見て思っていたことでもありますが「国内の課題へのアプローチこそがSDGsの第一歩じゃないだろうか」と。反射的に思いつくだけでこんな感じ。

SDGs1 日本の人口の〇%は社会保障にアクセスできていない、、、
SDGs3 子宮頸がんワクチンは、、、
SDGs4 ほとんどの人に生涯学習の機会は促進されていない、、、
SDGs5 議員の女性が占める割合、、、
SDGs6 持続可能なエネルギーへのアクセス、、、
SDGs8 あれもこれも
SDGs9 研究開発への投資、、、
SDGs10 国家内の不平等、、、
SDGs11 東京と東京以外、、、
SDGs12 積極的政策って日本だとどれだろう、、、
SDGs13 セクシーってなんだよ、、、
SDGs15 生物多様性ってSDGsの一部なんだけど、だれもなんもいわなくなった、、、
SDGsの前にMDGsというのがありましてね、そのときは、日本の外に課題があって、そのことをなんとかしようって話だなという程度の理解でした。しかし2019年のいまは違います。SDGsは、世界のどこかの課題とその解決のためのプログラムではなく、まず日本に内在する課題そのものを明示しているという認識を持ち直すべき。そして日本でSDGs達成にどんな行動が必要なのか、を明確に把握し、それをプランに反映させるべきです。
<引用>パブコメガイド論点2:「貧困・格差」「ジェンダー平等」を優先課題に 次の論点は、日本の SDGs 達成に向けた最高レベルの国家戦略である「SDGs 実施指針」で、現在の8つの「優先課題」(3 ページ)に加えて、または、横断的な課題として、「貧困・格差の是正」「ジェンダー平等」をしっかり書き込もうよ、ということです。データを見れば、日本の SDGs 課題の中で、この二つの課題が他に比べて深刻であることは一目瞭然です。「指針」の中でも、例えば、2 ページにある「現状の評価」で、ベルテルスマン財団(ドイツ)の報告書を引用し、日本は SDG5(ジェンダー)、SDG10(不平等)の取組に課題があると述べています。そうであれば、この二つの課題について、「優先課題」に追加するなり、他の優先課題とのかかわりで「横断的課題」として設定して、現状の不足点を分析し、現状の施策を見直したり、新たな施策を追加したりすることが必要だ、ということになると思います。そこで、「現実にどのような問題が生じているか」について、身の回りの事例などをとりあげるなどして示し、「どのような施策が必要か」について、あなたの言葉で語る、ということは説得力を持つのではないでしょうか。

論点2について。まずは8つの優先課題の確認から。

画像1

確かに貧困やジェンダー格差について触れられていないことに違和感を感じますね。SDGs5に関しては会社役員の割合、議員の割合など散々な状況ですし、SDGs10に関しては、所得格差の拡大、移民「受け入れない」政策などSDGsを推進する国家の対応とはいいがたいものが含まれていません。


<引用>パブコメガイド論点3:「バックキャスティング」で SDGs 達成を 次の論点は、SDGs の特徴ともいわれる「バックキャスティング」の導入です。「2030 年にはどんな社会を望むか」という視点から、「SDGs が達成された 2030年」という目標を立て、この「目標」と「現状」のギャップを把握し、目標が達成されもっと「危機意識」を持とう「貧困・格差」「ジェンダー平等」を優先課題に「バックキャスティング」で SDGs 達成をした状態から逆算するロードマップで、課題に取り組んでいくという、「バックキャスティング」という考え方を、日本の「SDGs 実施指針」に導入しようよ、ということです。残念ながら、提案されている「指針骨子案」では、SDGs に関わる様々な重要課題について、SDGs のグローバル指標などを参考にしながら、日本としての「目標」をたて、現状のデータを分析し、ロードマップを作る、ということは全く書いていません。しかし、この「バックキャスティング」は、すでに途上国を含む多くの国々で実施されており、日本は後れを取っていると言えます。SDGs の期限である 2030 年まで、あと 10 年しかありません。せめて、ジェンダーや貧困・格差是正、防災、地球温暖化防止、地域経済の活性化といった課題については、既存の政策を SDGs のグローバル指標との関係で見直し、参加型で 2030 年目標を作り、現在のデータを集めてギャップを分析し、道筋を作っていくということを、「今すぐに」始める必要があります。あなたにとってリアリティのある課題に関して、「2030 年目標」を作ろう、というアイデアを出してみるのも、良いのではないでしょうか。

論点3について。そもそもへんですよね、SDGsの特徴がバックキャスティングなのに、それを導入しようよ、だなんて。


<引用>パブコメガイド論点4:透明性の高い「国家戦略」を 「SDGs 実施指針」は、日本の SDGs 達成に向けた「国家戦略」、いわば日本政府による SDGs の「トリセツ」(取扱説明書)であると言えます。つまり、国民、市民、また日本が SDGs について何をやっているのか知りたい海外の方が、日本政府のどの省庁が、SDGs の達成に向けてどんな行動をしているのかを知りたいときに、「SDGs 実施指針」を読めばだいたいわかる、というものにしておく必要があります。残念ながら、今の「SDGs 実施指針」は、SDGsに取り組む政府など各セクターの「枠組み」や「優先課題」については書いてあるものの、「SDGs 達成」に向けて政府のど
の機関が、どの様な戦略に基づいて、どの様な計画の下に、何をやろうとしているのか、ということについてはほとんど触れられておらず、一読しても、政府が SDGs 達成に向けて何をやろうとしているのかが不透明になっています。
また、具体的な実施事項は、毎年定める「アクションプラン」に記載することになっていますが、4 年に一回改定する「指針」と、毎年改定する「アクションプラン」の関係についても適切に規定していません。世界の中の日本として、海外が「日本は SDGs について何をしているのか」を知りたいと思ったときに、この「指針」を読めばだいたいわかる、という程度の透明性とアカウンタビリティを実現する必要があるのではないでしょうか。

論点4について。SDGsより前のことをご存知ない方も多いと思いますが、この手の枠組みに関しての日本政府のコミットは、既存の政策にタグをつけなおすだけのことが多いです。そういうのやめましょう!といいたい。

ここ、まともに考えると頭に血が上るのでさらっと行きますが、そんな現実なのばかりなのに、SDGsいいね、とか言っちゃってる人がどんどん増えるのがもっと頭に来る、、、(ここまでにしときます)

<引用>パブコメガイド論点5:みんなの声を集めて政策立案・実施・評価をするシステムを 政府の「SDGs 推進本部」は、2016 年に最初の「SDGs 実施指針」を策定するにあたって、市民社会、民間企業、国連機関、大学・研究機関などで SDGs に取り組んでいた主要な関係者 14 名を選んで「SDGs 推進円卓会議」を作りました。この「円卓会議」は、国連の「持続可能な開発」プロセスで各種の非国家主体を代表する「国連メジャーグループ」などとは性格が異なるものの、今回の指針策定など、機会あるごとに、各セクターの意見を集め、SDGs 達成に向けて様々な意見を集約し、政府に届け、政策に意味のある貢献をする重要な役割を負っています。この「円卓会議」に分科会を設けるなどして、仕組みをもっと充実させ、より多様な立場の人々の意見を政府に届け、SDGs 達成に向けて、市民の声がもっと反映するようにすることが必要です。皆さんの住む地域や世代、性別、コミュニティなどの意見をSDGs 政策に反映するには、こういう仕組みがあった方が良い、といった提案をしてみるのも、有効だと思います。

論点5について。この円卓会議というスタイル、いままでには国連持続可能な開発のための教育の10年-円卓会議、社会的責任に関する円卓会議、「新しい公共」円卓会議、TICAD7官民円卓会議などが開催されています。私がざっくり知ってる範囲では、政策づくりの主流の場として扱われていなかったものも含まれています。主催は内閣官房。

ガイドでは、分科会などの仕組みを充実させよう、という記載ですが、個人的にはこの円卓会議での議論自体が注目されるようなメンバーにアップデートすべき、といいたいです。リストされている方々は専門性の高い方ばかりで、SDGs推進には欠かせない方ばかりと承知していますが、SDGsの主流化、という点では市民社会系、シンパシーの高い方はもっと少なくして、現業最前線にいる方をひっぱりだしてこなければならないと思います。

具体的に名前をあげるは難しいけど、、、政治経験者、自治体関係者、企業の経営企画責任者など。

そもそも国連でSDGsを定める際、ひいてはアジェンダ21のマルチステークホルダープロセスのデザインを踏襲しているせいでこういうメンバーになるという理解ですが、そろそろ現実にSDGsが主流化しなければならないタイミングでは、座組をもっと開いていくべきと思います。

最後に:ちょっと脱線だけど、要は横須賀の石炭火力とかやらないよね

パブコメガイドに沿った話はここまで。最後はガイドから外れて、先日発信されたグデーレス国連事務総長のエッセイから引用と、日本の現状について触れます。

NHKも去年いろいろESG投資の世界潮流を特集していましたが、少なくとも先進国内ではもう石炭はやらない話ということで決着しているはずなのに、どうして止められないかな、と思います。

なぜ止められないか、について深堀したいところですが、そこは専門のどなたかに委ねて、、、あくまでSDGsの推進の表文脈に思い切り触れてますよ、石炭火力発電増設は、というお話しに留めます。

第3に、私たちはビジネスリーダーに対し、投資からさらに一歩を踏み出し、政策転換も求めるよう呼びかけます。すでに、企業が先頭に立って方針転換を図っているケースも多く見られます。持続可能性はビジネスとしても理に適っているからです。消費者自身からの圧力もあります。ある投資家は持続可能な金融を「メガトレンド」と形容しました。しかし、民間資金はしばしば、市場を歪める化石燃料補助金や、現状を守ろうとする既得権益との闘いを強いられています。アビバ(AVIVA:英保険会社)を含む大型投資家は、化石燃料に対する補助金が低炭素経済に属するものを含め、主要な産業の競争力を低下させかねないと警告しました。政府は時代遅れの規制・政策枠組みや税制の変革に消極的で、変革を先延ばしにしています。
脱石炭火力発電のうねりは拡大を続ける一方であり、金融業界におけるダイベストメントの動きは特に顕著です。ご承知の通り、近年では世界の名だたる金融機関が次々と石炭火力への融資中止を決定し、昨年は日本でも複数の銀行が脱石炭方針を発表しています。
このような流れにもかかわらず、政府から1兆円を超す資本金出資を受け、私たちの税金が投入されている貴行が、石炭火力発電の問題点を直視せずに同計画への融資を実行することは極めて遺憾です。またこの融資は、「お客様及び社会の課題を解決し、日本と世界の持続的発展を実現」することを使命に据える貴行の経営理念に真っ向から反するものでもあります。

パブコメには、欄外に「どうか、地元横須賀の小泉環境大臣がこの開発計画の見直しへ「セクシー」な貢献を果たされますよう。心より期待します。」と書き添えようかと思います。

最後の最後に

最後はパブコメから外れちゃいましたが、SDGsって、まじめな話、ほんとにまじめな話なんです。なので、安易にバッチつけないほうがいいと思うんですよ。石炭火力別にいいじゃん、とか、それはそうだけど事情が許さないんだよね、とかいう人はバッチ外していただいていいと思うのです。

持続可能な開発ひいては、SDGsって、結構キツいビジョンだと思います、先進国の既存の社会構造の中にいる人にとっては。でも、どうやら日本はすでに先進国じゃなくなっている、そこに気づいたとき、もういちど国を立て直す文脈としては筋の通った話だといえるのではないでしょうか。

どうぞ前向きに考えるポジションだと気づいたら、またバッチをつけてください。そんときに地球の持続可能性が保てる限界を超えてないことを祈ります。

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