「みらいらん」第2号発刊:特集「文字のない世界」
洪水企画の池田康さんから「みらいらん」の第二号が届いた。パラパラとめくってみる。冒頭に佐々木幹郎の詩が置かれている。「おふ おふ おふ 嗚咽のよう」という書き出しが妙に印象的な「ここだけの話」。続いて古内美也子、新延拳、河原修吾、小笠原鳥類、藤原安紀子。どれも力強い。気合が入っているなあと思いながらさらにページをめくってゆくと、栩木伸明の名前があるではないか。佐々木幹郎と西村朗のコンサート評を書いている。この辺りから「みらいらん」という雑誌の、奥行きの深さというか、気概の大きさに気づき始めるわけだが、小特集の「文字のない世界」を読むに至ってそれは確信に変わった。
特集の直前に篠田謙一という人類学者へのインタビューが載っている。ホモ・サピエンスの起源をDNA分析によって調べている方だが、話は古代人の言語コミュニケーションへと収斂してゆき、アンデス文明や縄文文明には文字が存在しなかったこと、文字の代わりに土器の装飾がその機能を果たしていたのではないか、という説が紹介される。
そこから「文字のない世界」という特集に繋がってゆく。山田兼士や渡辺めぐみが語る極めて個人的な「文字のない世界」の話も、6万年前に起こったホモ・サピエンスの出アフリカという出来事を介して読むと、俄然趣きが異なってくる。詩と小説、文学と音楽と絵画、芸術と科学といった区別が撤廃されて、その背後から人類の普遍性と多様性がぬっと素顔を晒してくるかのようなのだ。
つまり「みらいらん」という雑誌は、そういう原初的な場なのだと思い至る。それは新しい詩学の実践でもあるかもしれない。第2号を隅々まで読みながら、もう第3号の行方が気になっている。
「みらいらん」創刊号に関する記事はこちらから↓
https://note.mu/eyepoet/n/n1d34e952adc4
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