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jpr Dialogue

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2017年5月の記事一覧

ジャンル横断「日本語詩歌人」三宅勇介インタビュー:嘱目・幻視・詩の過去と未来について(Part2)

ジャンル横断「日本語詩歌人」三宅勇介インタビュー:嘱目・幻視・詩の過去と未来について(Part2)

――三宅さんの短歌や俳句を読んでいると、その場の光景がまざまざと眼に浮かんでくることがしばしばです。

女僅かに背中開ければ刺青は下方の昏きまで続くなり
諦念の一本のごとく寝そべりて炎昼の底やり過ごす犬
鎌を上げそのまま路に死す蟷螂の征服せざるものは秋なり
バス停で女が女の肩を抱き抱きたる方はますぐな目をせり
塾講師咳込みチョーク折れるかな
モスクワの地下鉄車内雪降れり雪の来歴問ひてはならぬ
角砂

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あらゆる詩的ジャンルを横断する「日本語詩歌人」三宅勇介インタビュー:快楽と自虐、ユーモアと批評について(Part1)

あらゆる詩的ジャンルを横断する「日本語詩歌人」三宅勇介インタビュー:快楽と自虐、ユーモアと批評について(Part1)

2008年の『える―三宅勇介歌集』、2009年の『歌集 棟梁』に続いて、2017年2月に上梓された『亀霊』は、短歌、長歌、旋頭歌、俳句、行わけの詩のみならず、日仏両国語や神代文字での表記、タイポグラフィー、はては人工知能の書く短歌のシミュレーションまで、ありとある詩的表現の可能性を360ページの大著にぎっしりと詰めこんださらにその上に、なんと11本もの本格歌論を別冊仕立てで添えた前代未聞破格の「詩

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