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「外国人に対する差別でなくても『区別』はしている。そういうことがない世界がいい。」JP-MIRAI youth学生レポーター企画第8回:Adovo

学生レポーター企画第8弾は、高校生を中心に外国人技能実習生への支援活動を行っているAdovoの前代表・松岡柊吾さんと、前副代表の名取陸之助さんにインタビューを実施しました。


※技能実習制度とは、発展途上国の若者が日本の企業で働くことを通して技術を学び、帰国後にその技術を母国の発展のために活かしてもらう制度です。


今までの記事(第1回~第7回)はこちらから→JP-MIRAI youth|note

Adovoとは、日本で働く技能実習生に、日本語教室や国際交流の場を提供する高校生・大学生の団体です。2020年12月に松岡さんを中心に設立されました。「日本語教室」「国際交流」「啓発活動」の3つの軸に沿って活動なさっています。
Adovoのウェブサイトはこちらからご覧ください。→https://adovo.or.jp/

松岡柊吾さん

Adovo前代表。松岡さんは仏教校に通っており、日本で技能実習生の保護活動を行っていらっしゃるティック・タム・チー住職※のお話を聞いたことがAdovo設立のきっかけとのことでした。自分も何かできることはないかと考え、インスタグラムで協力を呼びかけたそうです。
※ティック・タム・チー住職は、埼玉県にあるベトナム寺院・大恩寺で10年以上在日ベトナム人を支援なさっています。

名取陸之助さん



前副代表。松岡さんのインスタグラムの投稿を見て何気なくメッセージを送ったところ、気がついたら副代表になっていたとのことでした。(*^▽^*)
留学中の経験から、誰もが区別されることなく生活できる日本社会を目指して活動なさっています。



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Adovoの取り組みについて教えてください。

Q どのようなメンバーの方々が活動していますか?

中心メンバーの高校生と、数人の大学生で活動しています。
技能実習生と同世代の私たちは、日本語を教えるだけではなくサッカーや映画、ゲームなど、共通の話題で盛り上がることができるので、「若者が若者に教える」ということを大切にしています。

Q 設立する中で大変だったことはありますか?

活動内容をめぐってメンバー間で壮絶な話し合いが繰り広げられたことです。支援をする対象を技能実習生のみに絞るか、それとも在日外国人全体にするのか、という点で少し対立がありました。コロナ禍で活動をスタートさせたためメンバー間の交流はオンラインのみだったので、コミュニケーションの難しさがあったと思います。

Q Adovoの日本語教室について教えてください。

オンラインの活動が中心ですが、一部対面での教室も開催しており、合わせて20人くらいの技能実習生の方々に日本語支援をしています。

技能実習生が日本語を学ぶ環境を整える余裕がない中小企業も多いので、そのような企業で働く技能実習生に対して、日本語を教えています。

一人の技能実習生に対して、学生が一人ずつマンツーマンで担当し、技能実習生一人ひとりに合わせたカリキュラムを作ります。
教材も私たちの自作のものを使っています。


Adovo 自作の日本語教材

日本に来る前の技能実習生にも日本語支援をしたいと考え、送り出し機関※との連携を始めました。なけなしのお金を使って送り出し機関に国際電話をかけ、「生徒を紹介してください」と頼んでみたところ、承諾していただけました。
※送り出し機関とは、日本に技能実習生を派遣する団体や企業です。

日本にいる外国人労働者や彼らを取り巻く環境などについて、お二人の考えを教えてください。


松岡さん:技能実習制度の制度自体に問題があるという声は多いと思います。技能実習生は転職ができないなどの制約や、「特定技能」という新しい在留資格ができたものの技能実習からの移行があまり進んでいない、などの問題点が指摘されています。
そのように制度に関する課題が指摘されているからこそ、民間レベルの動きが重要であると思います。民間のアクターが主体的に動いていく必要があると感じています。

また、日本人の意識の問題も大きいと思います。「外国人労働者」としてではなく、日本で税金を払ってくれている「一市民」として受け入れるという認識を共有することが大切だと考えます。

名取さん:私は最近までニュージーランドに留学していましたが、留学時に人種差別を経験したことがありました。横を自転車で通り過ぎた現地の人から人種に基づく暴言を言われたり、他のアジア人が差別されている場面を見たり、ということがありました。このように、母国ではない国で生活する中で直面する差別を身をもって経験したことが今の活動につながっています。

日本では、外国人に対するあからさまな差別を日常生活で見る機会は少ないかもしれません。しかし、差別ではなくても、「区別」はしていると思います。私はそういうことがない世界を目指したいです。


Adovoからのメッセージ

日本語講師のボランティアを募集しています!
こちらのページから詳細が確認できます。https://adovo.or.jp/member/new-member/japanese/

もしご興味があれば、是非下の連絡先までご連絡ください。
NPO法人Adovo 日本語教室事務局 総務係 japanese-class@adovo.org

感想

インタビュー前にAdovoさんの活動内容を拝見した時、「高校生なのにすごい」というのが正直な感想でした。しかし、今回実際にお二人と話す中で、高校生であることは全く関係なく、「日本にいる技能実習生の力になりたい」という強い信念がAdovoさんの精力的な活動につながっているのだと感じました。私自身、技能実習生が抱えている問題に関する報道などを見るたびに、彼らが置かれている状況に心を痛めることは多いです。しかし、心を痛めるだけではなく「技能実習生と年齢の近い学生だからこそできることをやろう」と実際に行動に移していらっしゃるお二人に感銘を受けました。「問題を知る」だけではなく、「自分ができることをする」ことの大切さをお二人から学びました。(相山)





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