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18年前のアイドルが某企業の株価上昇を起こすきっかけを作った中国マーケティング

中国湖南テレビ傘下のMangoTVの美魔女アイドルオーディション番組「乘风破浪的姐姐Sisters Who Make Waves (season 3)」の第一回目の放送後、18年前の国民的トップアイドルCindyWang(王心凌)が40歳で人気再燃!Mango TVの株まで5.4%上昇!!
これはやばい!!!

日本JK風の制服姿や軍服にスカート姿でのダンスなどで
「甜心教主(スイートハートリーダー)」と呼ばれていたトップアイドルだった

ここ一週間CyndiWang(王心凌)の話題が各SNSのトレンドランキングを占め動画再生数だけでなく、QQミュジカルランキングTOP10の曲がすべてCyndiWang(王心凌)の曲が占めた。さらに5月20日の放送後、5月24日までの間に、彼女が現役だった18年前のファンたちが再燃し、中年ファンと自称し始めた。CyndiWang(王心凌)を応援するために再デビューする道を作りたいと語り、MangoTVの株まで買い、放送当日からMangoTVの株が上がった社会現象が起きた。
これは教材になるレベルのマーケティング事例だと中国PR会社、広告会社の中で話題沸騰に!!

MangoTV株上昇
QQ音楽ランキング

近年「ノスタルジック」をテーマにしたバライティ番組が多くて、 CyndiWang(王心凌)もまさにそのテーマに乗ってる一人だと思います。なぜ、多くの人の中からここまで社会現象や話題になるかと考えると、下記の4つのポイントを抑えているかと思います。

・自分の特徴を最大限に活かし、差別化できている


「かわいい」をやり尽くす!
元々歌い踊る可愛さが売りだった「甜心教主(スイートハートリーダー」としてデビューしていたため、18年前と変わらないかわいさを武器にうまく生かしています。
※商品を例えをすると特徴、また同じカテゴリー中でどこの位置で戦うべきかを戦略的に考えなければならないと思います。

・作品力


90年代、香港映画の衰退から台湾のエンタテイメントが盛り上がり,特に80年、90年代生まれの人たちが影響された。その中でも18年前にCyndiWang(王心凌)の楽曲を携帯電話の呼び出し音としてよく使われていて、そのダウンロード回数が1億を超えるくらいの国民的ヒット曲でした。
※ここは商品を例えをすると、商品力ですね。マーケティング4Pの中のプロダクトのことですね。

・ターゲティングが明確である


80年、90年生まれの男性ファンへのアプローチ、
ここは前からずっと言っている情緒的な共感です。
「ノスタルジック」をテーマにしたバライティが多いのは情緒的な共感が目的であり、18年前高校生、大学生だった彼らは今となって中年になり自分の青春が蘇った、中年になっても気持ちはあの頃のような少年の心のままであることを想起させたのだと思います。
※商品特徴とその戦うべき位置がわかればその次はどの人たちにその情報を伝えていくかを考えます。ユーザー悩みを知った上、商品の特徴を伝えに行く。

・宣伝方向性が戦略的に


CyndiWang(王心凌)のDouyinアカウントを見ると1年前から仕掛けていたのではないかと思うのですが、たぶんw
情緒的に共感してもらってから、的確にその人達向けた広告コンテンツを発信し(お金をかける)、一発でウェブ話題によるCyndiWang(王心凌)の曲で踊るブームを作りました。
WeiboとDouyinでトレンドワード検索を仕掛けた後に、CyndiWang(王心凌)本人アカウントとタイアップ投稿の施策をDouyinで起こし、ショート動画の2次拡散を行った結果、全国民って言えるくらいほどDouyinのショート動画に参戦する現象を起こした。普段Douyinを見ない人でも「この曲どう踊るの?私も習いたい」、「タイアップ投稿どうやってやるの?」って聞かれるくらいでした。(ちなみに、私は3日間CindyWang曲しか聞けたないw)

熱いファンたちが一緒に踊る動画
Douyinのタイアップ投稿


・マーケティング不変な規則

今の中国はファーストフード式のマーケティングと言われている。流行りの入れ替わりがとても早い中、マーケティングを回す際に「短、頻、快」というフレーズが出ています。
つまり、短期間で頻度を高く、スピードを速くユーザーに情報を伝えていく、そして購買につなげていくということです。
この事例を見ると、今どきなやり方だなと思うが、よく考えると基本なマーケティングフレームに沿っていることがわかります。時代がどんな変わっても、根本的な基礎は変わっていなく、変化しているのはやり方だけなんだといつも思います。流行りに乗るのも重要ですが、土台から作ったほうが販売もブランドも長く生き続けられると信じています。

また、中国「人民網」によると、新型コロナウイルス感染症の影響、プラットフォームの予算削減といった要因により、中国国内の大手動画プラットフォームの中で唯一収益を上げてきた芒果テレビも、停滞して前に進めない状況に陥った。しかし西南証券が発表した研究報告書によれば、人気番組に牽引されて、芒果超媒は今年第2四半期(4-6月)と下半期に業績が上向くことが予想されるという。
マーケティング手法もそうですが、エンタテイメントの力はほんとにすごくて、まさにエンタテイメントから発する経済効果をまた実感させてくれた内容でした。
日本企業も参考になれればと思います。


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