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パラサイクリングおそめ体験記〜基礎知識編〜

みなさん、はじめまして!

日本パラサイクリング連盟で、取材や情報発信を担当する「追い風」編集部の染矢と申します。本日から日本パラサイクリング連盟のnoteがオープンしました! これからパラサイクリング競技や選手のことはもちろん、地域活動などのさまざまな取り組みについて発信していきたいと思います。

冒頭で広報グループの染矢です! とごあいさつしておきながら、実は私がパラサイクリングに関わり始めたのは今年の4月から。昔、あるテレビ番組でハンドサイクルを見たことがある程度で、「パラサイクリング」という競技が一体どんなスポーツなのかまったく知りませんでした。

そんな私が今回から、パラサイクリングの現場に足を運んで初心者目線でパラサイクリングの魅力をお伝えする「パラサイクリングおそめ体験記」の連載をスタートします。パラサイクリングの魅力をより多くの方に知ってもらうため、初心者の方にも分かりやすくレポートしていきます。よろしくお願いいたします!

代表、選手、監督などの日本パラサイクリング連盟のみなさん

まず初回は、パラサイクリング入門編をお届けします! 

スポーツ観戦において競技の基礎知識は欠かせません。特にパラサイクリングは、パラスポーツのなかでもクラス分けや種目が複雑です。

「パラサイクリングってどんな競技?」
「障がい者の人が乗れる自転車ってどんな仕組み?」

など、知っておけば試合観戦がぐんと楽しくなる競技の基礎知識や魅力をご紹介していきます。


パラサイクリングとは?

パラサイクリングとは障がい者のための自転車競技です。さまざまな障がいがあっても自転車に乗ることができます。いわばパラサイクリングは、「不可能を可能にする魔法のようなスポーツ」なのです!

障がいの種類によって使用する自転車が分かれていて、これをアルファベットで表します。

二輪車/Cクラス
三輪車(トライシクル)/Tクラス
タンデム/Bクラス
ハンドサイクル/Hクラス

全部で4つのクラスがあります。さらに、障がいの程度を数字で用いて重度から軽度まで分けています。数が小さいほど障がいの程度が重くなります。

例えば、「C3」は、「二輪車のCクラス、障がいの程度が3」ということを表しています。また、男子(M)、女子(WまたはF)のアルファベットが加わり、「MC3」のように呼ぶこともあります。

これに加え、種目はロードレースとトラックレースの2種類があり、タイムまたは着順で競います。

クラスと障がいの種類についての一覧表

Cクラス(Cycling)/二輪車

二輪車を漕ぐ選手の画像
片足でもぐんぐん漕いでいく

Cクラスは、切断やまひなど、手足や体幹に障がいのある選手が対象のクラスで、義手や義足を用いることもあります。自転車は一般的な競技用を使用しており、個人の障がいに合わせてハンドルの形を変えたり、ペダルに義足を固定するなどの改造を施します。

Cクラスは、ほかのクラスと比べて個人による障がいが幅広いのが特徴。例えば、同じC3の試合でも、選手によって障がいが異なるため、それを補うための車体に施されたカスタマイズも多彩で見ごたえがあります! 種目はロードとトラックの両方あります。

Tクラス(Tricycle)/三輪車

三輪車を漕ぐ選手がコーナリングしている
高度な操作テクニックが必須!

脳性まひや手足に重い障がいのあるTクラス。障がいによって体幹が保ちにくく、二輪の自転車に乗ることが困難なため、バランスの取りやすい三輪の自転車を使用します。車体は一般的なロードバイクの後輪部を取り外し、専用の器具を取り付けて改造しています。種目は屋外のロードレースのみ。

三輪車は一見安定感があるように見えるのですが、実はバランスを保って走行するのが難しく、高度な操作技術が必要とされます。三輪ならではの独特なコーナリングにも注目してみてください!

Bクラス(Tandem)/タンデム

タンデムがトラック種目を走る画像
勝利のカギはチームワーク

視覚障がいのある選手が対象となるタンデム競技。二人乗りの自転車を使用したうえで、前には「パイロット」と呼ばれる目の見える選手が乗り、後ろに「ストーカー」と呼ばれる視覚障がい者の選手が乗って走ります。

役割分担も大事。パイロットが状況判断やハンドル操作などを担当し、視覚障がいの選手がわずかな動きを感じてふたりでペダルを漕ぎます。タンデムの力を最大限に発揮できるのは、ふたりの息がぴったりと合った時。日頃から、いかによい信頼関係が築けるのかが重要です

実施種目はロードとトラック。障がいの程度によるクラス分けはなく、男女別で競います。

Hクラス(Handcycle)/ハンドサイクル

寝そべって仰向けになるタイプのハンドサイクリングが走る
驚くべき上半身のパワー

脚の切断やまひ、運動機能に障がいのある選手が対象です。車体の低い三輪のハンドサイクルを腕や上半身の力を使って加速させます。障がいの程度によって使う車体が異なり、H1~H4は体を寝かせて仰向けで乗るタイプ、H5はひざをついて前かがみに乗ります。種目はロードのみです。

H1~H3の選手たちは腕の筋力だけで自転車を漕ぐのですが、時速40㎞/h程度と腕だけの力とは思えないほどのスピードが出ます。その姿はまさに自転車のF1のよう! 全長が長いためうまく曲がる技術が求められます。

選手たちに「追い風」を!

ここまで、パラサイクリングの基礎知識についてご紹介してきました。いかがでしたでしょうか? パラサイクリングは、クラス分けや種目が少々複雑なぶん、さまざまな楽しみ方ができるのが魅力です。

そして、今年はいよいよパリパラリンピックも開催されます。ここで学んだ基礎知識をいかして、みなさんもぜひ、自分の推し選手やクラスを見つけて、一緒に選手たちを応援しましょう! 皆さんからの声援は、そのまま追い風となって選手たちの背中を押す力になります!!

次回は、パラサイクリング合宿の密着レポートです。お楽しみに!

文章:染矢優香


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