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”プライマリ・ケア2021秋号”使える論文My Top5

日本プライマリ・ケア連合学会の実践誌、”プライマリ・ケア”の『使える論文My Top5』は若手医師部門 病院総合医チームが紹介しているリレー連載です。

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2021年秋号は、合田が担当しました。

『輸液・栄養療法』を中心に以下の5つの論文を紹介しています。

1. 敗血症の輸液療法


Andrew Rhodes, Laura E Evans, Waleed Alhazzani, et al. Surviving Sepsis Campaign: International Guidelines for Management of Sepsis and Septic Shock: 2016. Intensive Care Med. 2017 Mar;43(3):304-377. PMID: 28101605

内科エマージェンシーである敗血症の認知・マネージメントはどの診療科でも必須です。輸液反応性を評価しつつ輸液量を調整する方法について紹介しています。2021年版も出たので合わせてチェックすると良いと思います。https://link.springer.com/article/10.1007/s00134-021-06506-y


2.超急性期の栄養療法


Arthur Raymond Hubert van Zanten, Elisabeth De Waele, Paul Edmund Wischmeyer. Nutrition therapy and critical illness: practical guidance for the ICU, post-ICU, and long-term convalescence phases. Crit Care. 2019 Nov 21;23(1):368. PMID: 31752979

入院する高齢者に対して、いかにエネルギー負債を減らし、廃用・フレイルを減らし、自宅退院を目指すか、急性期の栄養療法の基本を紹介しています。こちらは2020年度の冬期セミナーで参加した「フレイルに負けない攻めの栄養療法ー多職種でシンプルに考えて協働するー」で紹介されており、病院総合診療医の腕の見せ所だと感じ、その影響でNSTにも関わるようになりました。


3.高度認知症患者への経管栄養について


Keiko Takayama, Keisuke Hirayama, Akihiko Hirao, et al. Survival times with and without tube feeding in patients with dementia or psychiatric diseases in Japan. Psychogeriatrics. 2017 Nov;17(6):453-459. PMID: 29178502

認知症患者の誤嚥性肺炎など経管栄養について、臨床現場でよく迷います。Jonsenの四分割表を用いて、情報整理を行うことが多いですが、医学的な適応について押さえた論文です。海外と日本の違いも多少あるのではないかというデータを紹介しています。


4.がん患者に対する輸液療法


Eduardo Bruera, David Hui, Shalini Dalal, et al. Parenteral hydration in patients with advanced cancer: a multicenter, double-blind, placebo-controlled randomized trial. J Clin Oncol. 2013 Jan 1;31(1):111-8. PMID: 23169523

がんに伴い食事摂取が不良になった患者への、終末期の輸液療法についての文献です。過剰な輸液を避けて、症状緩和を優先して考慮する必要があります。


5.皮下輸液療法

Daphne Broadhurst, Conceptualization, Data curation, et al. Subcutaneous hydration and medications infusions (effectiveness, safety, acceptability): A systematic review of systematic reviews. PLoS One. 2020; 15(8): e0237572. PMID: 32833979

インスリンの皮下注射やがん性疼痛に対するオピオイドの投与ルートとして持続皮下注射を選択する場面は多いですが、今回は末梢点滴ルートの確保が困難になった場合の皮下輸液に関するSystemativ reviewを紹介しています。


今回取り上げた5つは、誰もが行うことがある輸液・栄養療法についての論文をピックアップしました。
会員の方は是非お手元の雑誌をご覧ください。今後もリレー形式で続いていきますのでお楽しみに!

(文責:合田建 神戸大学地域医療支援学部門/兵庫県立丹波医療センター)

※当記事の内容は、所属する学会や組織としての意見ではなく投稿者個人の意見です。
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