ポケカ市場分析2023/6/21

嵐吹く6月のポケカ市場、その現状を捉えなおし、自分の立ち回りを考えるきっかけとなれれば幸いだ。

今起きていることの整理

さて、まずは何が起きていたのかということを時系列で列挙していこう。

  1. 吊り上げを起因とした、相場の急騰

  2. (ドラスタを中心とした)一部カドショの買取停止ヘッドライン

  3. Clove買取表の買取価格下落

  4. ポケモンカード151の発売

  5. カードラッシュ、Clove、magiなど大手の一時買取停止

  6. PSA10品のパニック売り

  7. magiのお気持ち表明(&メガバイヤーの登場)、cloveの巣ごもり

  8. 日本支社出しPSAの帰還発表

この記事を記載している、2023年6月21日現在では以上のようなところだろう。これらを受けてポケカ市場がどのように価格推移してきたかを振り返ろう。

PSA鑑定品など全てを統合した指数 : POKEX
未鑑定品(状態Aのみ)の指数:いわゆる〇o〇平均w
グレード別での指数

これらを見ればわかる通り、今回の騒動の影響を大きく受けているのは通常品(パックから引くことができた)のPSA10のみということがわかる。
ではなぜ現在このようなことになっていたのか、あくまで個人の想像ではあるが考えていきたい。

PSA10品が何故(吊り上げの対象となり)急騰したのか

ナンジャモの登場以降、ポケモンカードが儲かるというのは社会現象として認知が進み、多くのプレイヤーが参加したとみられる。しかし多くの人にとってカードの価値が何に基づいているのかなど、わかりはしない。そのうえ、白かけ・線傷・凹み等々の要素を並びたてられてしまうと辟易としてしまうだろう。私もそうだった。
そこで新規参入層にわかりやすいのがPSA10だ。(細かく言えば色々あるものの)品質が担保され、株式や為替と同様に銘柄ごとに価格が決まっている。このPSA10という共通言語を通すことで、ポケカが金融商品になりえたのだ。
では次に何に投資すべきかを考えるだろう。ピカチュウやリザードンなら知ってるけど、女の子のカードが高いんでしょ?という聞きかじった知識を胸にTwitterで情報収集をする。リーリエ?アセロラ?よくわからないけど、なんで300万円もするの?という気持ちで情報の海を泳ぐと、これくらいならという価格帯のおすすめカードを紹介するアカウントに出くわす。
まだ上がっていないもの、手の出しやすい価格帯、それらしい理由を教えてくれる指示に従って買ってみたら、株では考えられないリターンを生み出す(+50%/dayなどざら)。お小遣いになればいいやと思って手を出したポケカ。それが給料に匹敵するほど儲かることを覚えてしまう。
そこからは自分の手の出せる範囲内で、これらの情報に乗ってPSA10を買い漁ったことだろう。

ドラスタを中心とした一部カドショのPSA10買取停止宣言

そんな中で、ドラスタを中心とした一部カドショからPSA10買取停止宣言が発信された。

新規参入プレイヤーからしたら、やっと得た共通言語であるPSA10。その買取がなされないということに狼狽を招くことになっただろう。
しかしポケカを実際に売買している人間ならわかることだが、多くのカドショはPSA10の買取に積極的ではない(買い取っても美品価格と同じですなど言われることも。)。

何故PSA10の買取に積極的ではないのか。
それは彼らのビジネスモデルを考えればわかる。
彼らのビジネスは、カードを買い取って売る。売り方はいろいろあれど、この買取金額(仕入れ)と売却金額(売上)の差分で儲けるビジネスだ。
未鑑定のカードであれば、上記で述べた通りカードの状態(白かけ、線傷etc)などの理由を並びたてて、買取金額を減額させることができる。
この減額幅もポケカでは大きく、30%減などはザラだ。
買取金額(仕入)を低下させつつ、美品売却をすれば、差分は大きくなり、カドショは潤うというものだ。
しかしPSA10品となると話がややこしくなる。カードの状態をつべこべ言うことは出来なくなるし、売却価格はフリマ価格と比較されてしまう。
となると仕入れと売却の差分は透明化され、小さくなっていく。
積極的にはならない理由が見えてきただろう。

Cloveの買取価格の低下

飛ぶ鳥を落とす勢いだったポケカ市場。そんな中に買取停止のヘッドラインで暗雲が立ち込める中、PSA市場の大ボスcloveが買取表を更新。

6/12発表

6/16発表

GW以来上昇を続けていたポケカ市場に冷や水がかかった瞬間だった。
これを受けてフリマ市場では価格が急落。特に投機的な上昇を見せていた銘柄は大きく下落する展開となり、売りが売りを呼ぶ状況となった。
そんな中で、更なるヘッドラインがポケカ市場を包み込んだ。Cloveを含む大手のカドショの買取中止宣言だ。

しかし冷静になればわかる通り、ポケカ新弾の151の販売後の初の週末で新弾買取のために混みあうことが事前に予想されていたため、事前からこの発表をしているカドショもあった。
だが市場は価格の下落・ドラスタの買取停止ヘッドラインなどでややパニック状態。これらのヘッドラインはポケカ相場を崩すには十分な威力があった。

magiのお気持ち表明(メガバイヤーの登場)とCloveの雲隠れ

このような相場環境の中で、カドショ大手のmagiが謎のツイート&ツイ消しを行う。

疑心暗鬼になる相場。様々な憶測が飛び交う中、翌日のCloveから更なる一撃がポケカ市場を襲う。

ポケカ市場が追い込まれる中で、一寸の光が照らし出す。magiお気持ち表明がメガバイヤーによるものだったというご本人登場だ。

これがきっかけとなったかどうかはわからないが、ポケカ相場は売り目線・買い目線どちらの発信も多くみられるようになり、価格は一旦持ち直しているといえよう。そんなポケカ相場が次に迎える大きな荒波はPSA日本支社出し勢の帰還だ。

この新たな供給がどれほどのインパクトを市場に与えるかは定かではないが、下落方向に圧力が働くことだけは確かだろう。
Cloveの買取再開、日本支社出しの売り圧力、これがここから1-2週間の価格推移を決める重要事項となろう。


Clove(含め大手カドショ)の戦略を考える。

ではなぜ、Clove・magiはこのようなことをしたのだろう。
先ほどPSA10の買取に積極的ではない理由を差分の縮小と解説したが、これを解決する手段が一つだけある。「仕入れ→売却」の回転数をあげること、つまりオリパだ。オリパが強いカドショは仕入れと売上の差分が小さくなろうと、その回転数をオリパによって上昇させれば、利益率は下がるものの、利益額は保たれる。
ポケカ市場が高騰しようが、差分*回転数さえ保てれば、彼らには影響はないのだ。

オリパの売上を上昇させるためには何が必要か。

ここでオリパを売るために必要な条件を考えてみよう。

  1. 一発当てれば儲けることができると思わせること(=ポケカが儲かると思わせること)

  2. 人気カードが当たりであること

  3. 多くの人が挑戦したい!と思える価格帯であること

この中で1番重要なのは1だ。儲かると思わせること。この神話を崩壊させてしまうと、もうポケモンカードのオリパを回す人間などいなくなる。
これが故に、Clove等がポケカ価格を崩壊させるような行動をすることが謎だった。もちろん仕入れコストが上昇することにより、手元キャッシュが枯渇し、買取が一時的にできなくなるということはあるだろう。しかし市場をメンヘラ状態に追い込んでまで休業するとは考えづらい。

よく売れるオリパの特徴は?

オリパを作ってみればわかるのだが、オリパはトップの”価格”だけで売れるというわけではないのだ。
もちろん期待値しか見ていないという層もある程度はいるだろう。
しかし、回転数をあげるためには多くの人が購入しないとならない。このトリガーとなるのが、封入カードの人気と1口単価だ。

以下のカードはどちらもPSA10が80万円ほどで売買されているが、あなただったらどちらのカードがトップのオリパを引きたくなるだろう?

どっちも高いけど、どっちが欲しい?

私の調査のサンプルが偏ってしまっている可能性はあるが、ほとんどの人がルチアを選んだ。そしてTwitterで行ったアンケートで、オリパに使う予算を調査したところ、以下のような結果が得られた。

多く使ったとしても、3万円未満のプレイヤーが多いのだ。もちろん無視できないほどにそれ以上の金額を選んだプレイヤーもいるが、次のアンケートを見ると、使用できる金額全額を1発勝負に出るプレイヤーは全体の4割程度とみられる。

となると、オリパの一口の単価は1万円ほどにして、多くの購入者を呼び込むことがより多く売るための戦略となることが見えてくる。
ここが今回のCloveの行動のポイントなのではないかと考える。

Cloveの意図を推察する

ポケカの価値が上昇し続けていくと、当然それを封入するオリパの価格が上がっていく。特に人気カードは価格上昇が早い。
PSA10の買取を積極的に行っているCloveはオリパを用いた在庫売却の回転を高める必要があり、オリパを多く売らなければならない。
オリパを多く売るためには多くの人に参加してもらわなければならないが、上昇が激しい人気カードを封入すると同時に、一口単価は1万円以内に収めたい。故に口数を大きくするが、どこかで限界が来る。

この事態に対する暫定的な結論が、相場を一旦下落させることなのではないだろうか。人気カードの価値を幾分下げることで、オリパの価格を維持しつつ、利益を保つことができる。

また急騰しすぎてしまうと、冷え込んだ時に目も当てられなくなってしまうが故に、オリパビジネスを続けるために適度な上昇・価値担保がされるように相場を維持していくという狙いもあるだろう。

このようなことを考えると、やはりポケモンカードがこのまま下落するということは非常に考えづらい。
※ただしオリパ規制が来たときには一瞬にして砂上の楼閣となるだろう。

今後のポケカ相場を考える

上記で述べた通り、当アカウントでは”オリパ規制が入らない限り”ポケカ相場は安定して上昇を続けていくと考えている。
もちろん今後も急落急騰は様々な要因で起こるとは思うものの、オンラインオリパがなくならない限りはこの回転は続いて行くことになるだろう。

目先としては上記でも触れた通りPSA日本支社出しの帰還もあれば、急騰しすぎた銘柄の損切・狼狽売りも続くだろうし、相場が戻ってくれば同値撤退の売り圧力なども考えられる。依然として発表されないCloveの最新買取表を見ての売りも出てくる可能性はあるだろう。

しかしCloveのオリパが回り、在庫が枯渇してくれば、買取価格も徐々に高くなり、それに応じてフリマ価格での売買も押し上げられるだろう。
やや時間がかかるかもしれないが、個人的には8月中には相場も上向いてくるのではないかと考えている。
もちろん直近の反発が続き、そのまま高値を更新してしまうという展開もなくはないが今後の供給の話を考えるとやや想像しづらい。

こんなとき購入すべき銘柄とは。

正直な感想としては、買うタイミングは今ではないと考えている。価格安定の動きが見え、前回の高値を超えてきたタイミングで買うのも遅くはないだろう。相場が下落しているときに上昇銘柄をつかむというのは非常に難易度の高い行為なのだ。
もちろん素早く動けると自負する方はスピーディーに価格差を抜けるチャンスでもあるとは思うが、、。
しかし、もう一度チャートを見てみよう。

プロモPSA10はド安定

グレード別で見ると、プロモ銘柄のPSA10品は非常に安定した推移をしている。もちろんポケカ市場全体が不安定である以上、今までよりは難易度が上がっているものの、低迷期に仕込む銘柄としては優秀といえるだろう。
高額帯にはなってしまうが、ピカチュウやリザードンのプロモは(一部期待されている海外勢の購入対象ということも含め)安定した動きを見せるのではないだろうか。

まとめ

足元の展開としては引き続きボラタイルな動きが予想されるが、Cloveを中心としたオリパが強いカドショにより価格は徐々に安定し、持ち直してくることが考えられる。
現在のマーケットに無理に飛び込む必要はないと思うが、プロモ品のPSA10が狼狽売りされているようであれば、エントリーするのはいい機会だと考える。

お互いの幸運を祈ろう。

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