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なぜアート教育が今アツイのか。

最近は本屋に行くと、「ビジネスエリートは美術史を学ぶ」などといったタイトルの本をよく見かけます。そこで今回はなぜ今日の日本においてこれほどアート教育が注目されているのかについて私のNOTEの導入として少し言及します。

【グローバル化とアート教育の需要】

まず、現在の日本におけるアート教育の最大の魅力は「答えがひとつではない。」というところにあります。日本で大学入試に向けて中学・高校で学んだ方なら経験したかと思いますが、日本の(主に義務)教育は高校・大学入試で良い点数を取るために模範解答を頭に叩き込むのが定番です。そのために考え方や答えに多様性や個性などはほとんどありません。しかし、近年のグローバル化により、ますます社会は論理的思考力や自発性がある人材を求めるようになりました。また、現在世界が直面している環境や人種、食糧問題といった課題にはもちろん正しいひとつの答えがありません。そこで、ここから先はすでにあるものを暗記するのではなく、新しい可能性を想像・創造することが必要とされます。そのため、方法論や想像力次第で無限に解釈のできるアートは旧来の日本教育に変革をもたらすことができる可能性を秘めているといえます。

加えて、高齢化の進む日本社会やグローバル化の進む世界において異なるバックグラウンドをもつ人々を積極的に日本に迎え入れ、また自ら国外に出ていく必要があります。その中ではいつまでも自分たちのものの見方や価値観の殻に閉じこもっていることはできません。そこでアートは他文化理解のスタート地点にもなります。人間の思い、気持ちは言葉ができる前からアートによって具現化され、表現され、また、豊かな生活は世界のいたるところでアートにより実現され発展されてきました。人種・場所・時代の壁を超えてアートは創造され、親しまれ続けています。この事実は生まれ育った環境や人種が違えど、人間には共通点があり理解し合うことができると教えてくれます。そして、それは世界中の人々と共生するための学びになります。

最後に、現在オランダの大学でアート・メディア・社会を専攻しているダッチガール(私)が今後の日本教育に対する懸念を勝手に述べます。

日本にセンター入試向け詰め込み型教育が定着してしまっていることはアート教育の障害になるため大変危険であると思います。今後、アート教育のような多様性のある学びの重要性はますます説かれることと思いますが、日本が大学のブランド名を重視する社会である以上、平等に点数を計ることができないアートには実践的には目を向けられないのではないかと思います。オランダではすべての大学が国立であり、学部レベルに差はあるものの総合大学に行く学生が全体の10%なため国内の大学に対するブランディングがほとんどありません。

とはいえ、学費も高く、教育格差の大きい日本で今さらオランダを真似ようなんて不可能なことを言いたいわけではありません。ただ、オランダのアート教育の要素を使って日本の教育を発展させることができればと日々考えながら過ごしています。




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