野郎 軍隊法案(改正自衛隊法案/現憲法下)
軍隊法
第一章 総則
第一条(この法律の目的)
第一条 この法律は、軍の任務、軍の部隊の組織及び編成、軍の行動及び権限、軍人の身分取扱等を定めることを目的とする。
第二条(定義)
第二条 この法律において「軍」とは、軍政令により定める機関及び人員を含むものとする。
2 この法律において「軍政令」とは、軍に関する命令であって、政令の形を取り発出される。但し、軍政令に基づき行われる事項は政令として天皇が公布した後、おおむね六月に一回、又は国会の請求により、国会に、軍政令の施行の状況を報告するものとする。
第三条(軍の任務)
第三条 軍は、主たる任務として、我が国を防衛し、公共の秩序の維持を行う。
2 軍は、副たる任務として、我が国の安全の確保に資する活動、並びに国際協力、又は軍政令により定める活動を行う。
3 陸軍は主として陸において、海軍は主として海において、空軍は主として空においてそれぞれ行動することを任務とする。
第四条(軍旗)
第四条 天皇は、軍政令で定めるところにより、軍旗又は軍艦旗を軍の部隊又は軍艦に交付する。
3 前項の軍隊旗及び軍艦旗の制式は、軍政令でこれを定める。
第五条(表彰)
第五条 軍の部隊、軍人、又は第十二条の規定に基づき定める機関で、功績があつたものに対しては内閣総理大臣、兵部大臣、又はその委任を受けた者が、特に顕著な功績があつたものに対しては天皇がこれを表彰する。
2 前項に定めるもののほか、軍の表彰に関し必要な事項は、軍政令でこれを定める。
第六条(礼式)
第六条 軍の礼式は、兵部省令の定めるところによる。
第二章 指揮
第七条(天皇の儀礼上の統帥行為)
第七条 天皇は、軍が国家機関の中でも特別の地位にある事に鑑み、内閣の助言と承認により、軍を儀礼的に統帥する。
2 前項の規定は、天皇が軍に関して何らかの決定権を持つものと解釈してはならない。
3 第一項の規定に基づき、天皇が内閣の助言と承認により行うすべての行為は、内閣が、その責任を負ふ。
第八条(内閣総理大臣の指揮監督権)
第八条 内閣総理大臣は、内閣を代表して軍への最高の指揮監督権を有する。
2 内閣総理大臣は、この法律で定める事項の他、軍に関する必要な事項を軍政令で処分する。
第九条(兵部大臣の指揮監督権)
第九条 兵部大臣は、この法律の定めるところに従い、軍の軍務を統括する。ただし、陸軍、海軍又は空軍の部隊及び機関(以下「部隊等」という。)に対する兵部大臣の指揮監督は、次の各号に掲げる軍務の区分に応じ、当該各号に定める者を通じて行うものとする。
一 参謀本部の所掌事務に係る陸軍、海軍又は空軍の軍務 参謀総長
二 参謀本部陸軍部の所掌事務に係る陸軍の軍務 陸軍参謀次長
三 参謀本部海軍部の所掌事務に係る海軍の軍務 海軍参謀次長
四 参謀本部空軍部の所掌事務に係る空軍の軍務 空軍参謀次長
第十条(参謀長の職務)
第十条 参謀総長、陸軍参謀次長、海軍参謀次長又は空軍参謀次長(以下「参謀長」という。)は、兵部大臣の指揮監督を受け、それぞれ前条各号に掲げる軍務及び参謀本部、陸軍、海軍又は空軍の軍人の服務を監督する。
2 参謀長は、それぞれ前条各号に掲げる軍務に関し最高の専門的助言者として兵部大臣を補佐する。
3 参謀長は、それぞれ、前条各号に掲げる軍務に関し、部隊等に対する兵部大臣の命令を執行する。
第十一条(参謀総長の権限)
第十一条 参謀総長は、前条に規定する職務を行うに当たり、部隊等の運用の円滑化を図る観点から、陸軍参謀次長、海軍参謀次長又は空軍参謀次長に対し、それぞれ第九条第二号から第四号までに掲げる軍務に関し必要な措置をとらせることができる。
第三章 部隊
第十二条(組織及び編成の軍政令への委任)
第十二条 軍の部隊の組織、編成及び所轄区域に関する事項は、軍政令でこれを定める。
第四章 機関
第十三条(機関に関する事項の軍政令への委任)
第十三条 機関の設置、名称、位置、所掌事務、その他の地方機関の設置に関する事項は、軍政令でこれを定める。
第五章 軍人
第十四条(軍人に関する事項の軍政令への委任)
第十四条 軍人の任免、分限、懲戒、保障、服務、退職管理、予備軍人、労働組合法等の適用除外に関する事項は、軍政令でこれを定める。
第六章 軍の運用
第十五条(軍の出動又は派遣に係る運用の軍政令への委任)
第十五条 軍の出動又は派遣に係る運用は、軍政令を発することによりこれを行う。
2 参謀総長は、事態が緊迫し、前項の規定による軍政令が発せられることが予測される場合において、これに対処するため必要があると認めるときは、内閣総理大臣又は兵部大臣の承認を得て、軍の全部又は一部に対し予備行動を命ずることができる。
第十六条(緊急防衛対処に係る軍政令への委任)
第十六条 内閣は、前条一項の手続きによる対処を行う暇がなく切迫する緊急的な防衛を要する事態の発生に備えるために、予め一次的な対処方針をまとめた軍政令を制定し、想定事態が発生した時に対処を行わせることができる。
第十七条(海上保安庁の統制)
第十七条 内閣総理大臣は、第十五条第一項の規定による軍政令の発出があつた場合において、特別の必要があると認めるときは、海上保安庁の全部又は一部を参謀本部の統制下に入れることができる。
2 内閣総理大臣は、前項の規定により海上保安庁の全部又は一部を参謀本部の統制下に入れた場合には、軍政令で定めるところにより、参謀本部にこれを指揮させるものとする。
3 内閣総理大臣は、第一項の規定による統制につき、その必要がなくなつたと認める場合には、すみやかに、これを解除しなければならない。
第十八条(関係機関との連絡および協力)
第十八条 第十五条又は第十六条の規定により部隊等が行動する場合には、当該部隊等及び当該部隊等に関係のある都道府県知事、市町村長、警察消防機関その他の国又は地方公共団体の機関は、相互に緊密に連絡し、及び協力するものとする。
第七章 軍の権限
第十九条(兵器の保有)
第十九条 軍は、その任務の遂行に必要な兵器を保有することができる。
第二十条(軍政令発出による出動・派遣時の権限)
第二十条 第十五条第一項の規定により軍政令の発出があつた場合において運用される軍の部隊は、軍政令の目的と軍政令による授権に基づき、必要な武力を行使することができる。
2 前項の武力行使に際しては、国際の法規及び慣例によるべき場合にあつてはこれを遵守し、かつ、事態に応じ合理的に必要と判断される限度をこえてはならないものとする。但し、国内の法令については、明白に憲法とその理念に反さない限りにおいて、本法の理念に基づき発せられる軍政令の規定がこれを優越する。
第二十一条(予備行動発令時における武器の使用)
第二十一条 第十五条二項の規定により予備行動をとる軍人は、自己又は自己と共に当該職務に従事する軍人の生命又は身体の防護のためやむを得ない必要があると認める相当の理由がある場合には、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で武器を使用することができる。ただし、刑法第三十六条又は第三十七条に該当する場合のほか、人に危害を与えてはならない。
第二十二条(緊急防衛対処時における武器の使用)
第二十二条 第十六条の規定により緊急的な防衛対処を行う軍の部隊は、予め定められた軍政令の規定に従って、必要な武器を使用することができる。
第二十三条(他の法律による委任)
第二十三条 軍人は、軍政令の発出が行われなくとも他の法律より委任された権限がある場合、それを行うことができる。
第二十四条(軍の武器又は施設の防護のための武器の使用)
第二十四条 軍人は、本邦軍の武器、弾薬、火薬、船舶、航空機、車両、有線電気通信設備、無線設備又は液体燃料(以下「武器等」という。)を職務上警護するに当たり、人又は武器等を防護するため必要であると認める相当の理由がある場合には、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で武器を使用することができる。ただし、刑法第三十六条又は第三十七条に該当する場合のほか、人に危害を与えてはならない。
2 軍人は、同盟国の軍隊又はこれに類する組織(本邦の軍と連携して我が国の防衛に資する活動に現に従事している組織)からの要請があった場合であって、兵部大臣が必要と認めるときに限り、この部隊の武器等を職務上警護するに当たり、人又は武器等を防護するため必要であると認める相当の理由がある場合には、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で武器を使用することができる。ただし、刑法第三十六条又は第三十七条に該当する場合のほか、人に危害を与えてはならない。
3 軍人は、本邦内にある本邦軍の施設であつて、本邦軍の武器等を保管し、収容し若しくは整備するための施設設備、営舎又は港湾若しくは飛行場に係る施設設備が所在するものを職務上警護するに当たり、当該職務を遂行するため又は自己若しくは他人を防護するため必要であると認める相当の理由がある場合には、当該施設内において、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で武器を使用することができる。ただし、刑法第三十六条又は第三十七条に該当する場合のほか、人に危害を与えてはならない。
第二十五条(部内の秩序維持に専従する者の権限)
第二十五条 軍人のうち、部内の秩序維持の職務に専従する者は、軍政令で定めるところにより、必要な権限を行使し職務を行う。
第八章 雑則
第二十六条(都道府県等が処理する事務)
第二十六条 都道府県知事及び市町村長は、政令で定めるところにより、軍人及び軍人候補生の募集に関する事務の一部を行う。
2 兵部大臣は、警察庁及び都道府県警察に対し、軍人及び軍人候補生の募集に関する事務の一部について協力を求めることができる。
3 第一項の規定により都道府県知事及び市町村長の行う事務並びに前項の規定により都道府県警察の行う協力に要する経費は、国庫の負担とする。
第二十七条(学資金の貸与)
第二十七条 学資金の貸与及び返還に関し必要な事項は、軍政令でこれを定める。
第二十八条(償還金)
第二十八条 内閣は、兵部省管轄の学校の卒業生に対し、教育訓練に要した職員給与費、研究費その他の経常的経費の当該教育訓練を受ける者一人当たりの額を超えない範囲内において、当該教育訓練の修了後の軍人としての勤続期間を考慮して政令で定める金額を国に償還させることができる。
2 償還に関し必要な事項は、軍政令でこれを定める。
第二十九条(業務の受託)
第二十九条 兵部大臣は、事業の施行の委託を受け、軍に対して土木工事、通信工事、教育訓練その他事業を実施することができる。
第三十条(国賓等の輸送)
第三十条 兵部大臣は、国の機関から依頼があつた場合には、軍の任務遂行に支障を生じない限度において、航空機による国賓、内閣総理大臣その他政令で定める者(次項において「国賓等」という。)の輸送を行うことができる。
2 軍は、国賓等の輸送の用に主として供するための航空機を保有することができる。
第三十一条(同盟国軍等に対する物品又は役務の提供)
第三十一条 兵部大臣又はその委任を受けた者は、軍政令の規定に基づいて、同盟国やそれに類する国の軍隊(以下同盟国軍等とする)に対して、軍に属する物品の提供を実施することが出来る。
2 兵部大臣は、同盟国軍等から要請があった場合には、軍政令の規定に基づいて、兵部省の機関または部隊に、当該同盟国軍等に対する役務の提供を行わせることが出来る。
第三十二条(同盟国軍等に対する物品又は役務の提供に伴う手続)
第三十二条 この法律又は他の法律の規定により、同盟国軍等に対し、兵部大臣又はその委任を受けた者が軍に属する物品の提供を実施する場合及び兵部省の機関又は部隊等が役務の提供を実施する場合における決済その他の手続については、法律に別段の定めがある場合を除き、日本国の軍と対象国の軍隊との間における後方支援、物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府と対象国政府との間の協定の定めるところによる。
第三十三条(軍艦旗等)
第三十三条 軍に属する船舶又は航空機は、軍政令の定める所により、定められた旗もしくは標識を掲げなければならない。
2 軍艦その他の軍の使用する船舶又は軍の使用する航空機以外の船舶又は航空機は、前項に規定する旗若しくは前項に規定する標識又はこれらにまぎらわしい旗若しくは標識を掲げ、又は付してはならない。
第三十四条(軍政令発出による出動・派遣時の収用行為)
第三十四条 第十五条第一項の規定による軍政令の発出があつた場合において、特に軍の任務遂行上緊急的に必要かつ合理的であると認められる場合には、兵部大臣または軍政令に定められた者(以下兵部大臣等とする)は、軍政令によって定められる施設の管理、土地や家屋等の使用若しくは物資の収用を行い、取扱物資の保管命令を発し、又は民間人に対して軍政令に定められる業務に従事することを命じることが出来る。
2 前項の規定により土地や家屋を使用する場合において、兵部大臣等は、軍の任務遂行上必要であると認められるときは、必要な限度において土地や家屋を変形させることができる。
3 前二項の規定による処分を行う場合、兵部大臣等は、軍政令の定めるところにより公用令書を公布してこれを行わなければならない。
4 第一項乃至第二項の規定による処分が行われたときは、当該処分による損失を国庫より補填しなければならない。
第三十五条(軍政令発出による出動・派遣時の各行政機関の協力)
第三十五条 第十五条第一項の規定による軍政令の発出があつた場合において、兵部大臣は軍の任務遂行上必要があると認める場合には、各行政機関の長に対し必要な措置をとることを求めることができる。
第三十六条(訓練のための海域または空域の制限)
第三十六条 兵部大臣は、軍の行う訓練及び試験研究のため海域又は空域を一時的に占有する必要があるときは、政令に基づき、一定の区域及び期間を定めて、漁船または航空機の操業を制限し、又は禁止することができる。
第三十七条(軍の活動の為の法令適用除外)
第三十七条 軍政令によって定める、軍が武器や装備を保有し、運用し、又は任務を遂行する上で抵触する法律の規定は、軍について適用しない。
第三十八条(食事の支給)
第三十八条 軍の周知宣伝のため必要があると認めるときは、軍人以外の者で軍人を視察し、又は見学するものに対し、兵部省の職員の給与等に関する法律(昭和二十七年法律第二百六十六号)第二十条の規定により軍人に支給される食事を適正な対価で支給することができる。
第九章 罰則
第三十九条(軍人に対する罰の軍法への委任)
第三十九条 軍人の服務上の罰は、すべて軍法でこれを定める。退役軍人の軍に関する罰則も、軍法でこれを定める。
第四十条(物資保管命令違反)
第四十条 第三十四条第一項の規定による取扱物資の保管命令に違反して当該物資を隠匿し、毀棄し、又は搬出した者は、六月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
2 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業員が、その法人又は人の業務に関し前項の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、前項の罰金刑を科する。
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