アポロ帰還カプセルのパラシュートを畳むには資格が必要だった

MotonariIto

アポロ計画で帰還カプセルのパラシュートを手詰めする資格を持っていたのは、全米で3人だけだった。彼らの専門知識は極めて重要で、3人同時に自動車事にあった場合、宇宙計画全体が機能不全に陥る恐れがあったため、同じ車に同乗することは許されなかった。

アポロ宇宙船は、月のミッション後に地球に帰還する際の降下を減速するため、パラシュートに大きく依存していた。使用された3つの主要なパラシュートは巨大で、それぞれが83.5フィート(52.2m)の大きさだった。これらのパラシュートには、それぞれ7,200平方フィート(670㎡)の布が入っており、これは米国の一般的な住宅3軒分の床面積をカバーするのに十分な大きさだった。

これらのパラシュートは、時速160マイルからのカプセルの降下を減速させ、太平洋に静かに着水させることができる、驚くほど丈夫な生地で作られていた。驚くべきことに、頑丈であるにもかかわらず、パラシュート1平方ヤード(約0.84㎡)の重さはわずか1オンス(28.35g)だった。

各パラシュートの組み立ては複雑な工程で、約3.5マイルの糸を使って素材のパネルを縫い合わせた。パラシュート1つにつき200万針もの縫い目が必要とされ、すべての縫い目は黒いシンガーミシンを使って手作業で丹念に縫われた。縫い目ひとつでも欠陥があれば大惨事につながりかねないため、細部へのこだわりは非常に重要だった。そのため、縫い目の隅々までライトテーブルを使って入念に検査された。

組み立てと検査の後、パラシュートは手作業で折り畳まれ、梱包された。1960年代から1970年代初頭にかけてのアポロ・ミッションでは、アポロ・パラシュートをたたむ訓練を受け、連邦航空局から免許を与えられたのは、全米で3人だけだった。ノーマ・クレタール、バズ・コリー、ジミー・カルンガという熟練した専門家たちが、11回すべてのアポロ・ミッションでパラシュートの梱包作業を担当した。

彼らの役割は非常に重要であると考えられていたため、NASAは彼らが同じ車で一緒に移動することを禁じる厳格な規則を施行した。NASAは、彼らの専門知識がかけがえのないものであるため、3人全員が一度の事故で負傷する可能性は考えられなかった。