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目と耳

生まれつき目が悪い。
なので「はっきり見える」というのがどういうことなのか分からない。
でも、何とかやってきた。ぼんやりでも、それなりに。
けど今のご時世になる少し前。症状が一気に進んでしまった。
行動範囲が極端に狭まったし、バスや電車も怖くて乗れない。
普段行くスーパーへの道も、決まったルートしか使わない。
ある日、いつもより目のくもりが酷かったので、傘を持って外へ出た。
歩き慣れた道とはいえ、障害物があるかもしれない。
このへんは危ないかもな、という箇所だけ傘で確認して歩いてた時。
学校帰りの中学生が、擦れ違いざまに笑った。
「何あの人、目ぇ見えへんのかな」
そう言われて、思わず立ち止まった。単純に疑問に思ったからだ。
だって私は、その箇所までは普通に歩いてたし、あの子達もそれは分かってたはず。
たった一ヶ所、このへんは石があるよなぁと、ほんの少しツンツンしただけ。
それだけを見て私が目が悪い人と判断したのは何故なんだろう。
それを知りたいと思って「聞えてるよ」と言ったら、慌てて逃げて行った。
違う、怒ってるんじゃなくて、聞きたいだけなんだってば。
急いでそう言ったけど、走って行っちゃった。
個人的に興味深いのは、目と耳の関係だった。
私は目が悪い。でも耳は聴こえる。
なのに、あの子達は普通の音量で「目ぇ見えへんのかな」と言った。
もしかして、目が悪い=耳も聴こえないという謎の思い込みがあるんじゃないだろうか。
それはやっぱりあれかな。目と耳って近いから、そう思うのかな。
ま、なんにせよ新しい発見だった。
ちなみに「目が悪いのに文章書いたり動画観たり出来るの?」と言われるけど。
今これを書いてるのはPC。しかも凄く大きなモニターに鼻がくっつくほど近づいて、何とか。
いずれまた、更に症状は進むだろうなと思う。
だから少しでも、書いて残しておきたい。
推しの動画や画像を脳に焼き付けて記憶させておきたいな。

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