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POEM

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詩的なものをまとめました。
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#声

こころの声。

怪我なんてどこにもしてないのに 『痛いな』とそう思うとき 優しく自分を抱きしめる そっと心が壊れないように どこかで誰かのふとした言葉に いつかの誰かのふとした行動に 傷ついた心が痛みを知らせる ずっとあなたを守るように 古傷から負の感情が溢れて ジクジクとかさぶたが痛んだら 大切な誰かから絆創膏をもらう きっといつか癒やされるように 大粒の涙が矢継ぎに頬を伝うのに 心は微動だにもしないときは 氷となった感情を柔く抱きしめる きゅっと心が温まるよ

【短編小説】背を押すのは

「あなたはあなたよ。  どんな自分もあなたの中の一部なの」 温かいはずの言葉がうまく胸に馴染まない。褒められるたび、別の誰かが褒められているような気がしていた。 僕は、昔のまま、何も変われていないのではないか。 「あなたは良い子ね」  家族は言ってくれた。 「優しくて、真面目な人だね」 友達は言ってくれた。 でも、本当の僕はそんな人間じゃないんだよ。 笑う裏で、嘲笑っている。 どうにか変わりたくて、 過去の自分を消したくて、 必死に藻搔いて足掻いた結果なんだ。 『