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一級建築士製図試験 日建学院か総合資格か

皆さま一級建築士学科試験お疲れ様でした。この記事を見ているということは、今あなたは一級建築士の製図試験で日建学院か総合資格か(はたまたそれ以外か)でお悩みのことだと思います。

私はそれぞれの資格学校の短期コース(一次試験後に開始するコース)にそれぞれ1年ずつ在籍していました。その経験を踏まえて、今資格学校で悩まれている皆様へ少しでも参考になる情報を届けられればと思います。

まず最初に言うと、合格率にそれ程の差はないと言うことは明言しておきます。例年課題の当たり外れにより優劣は付きますが、どちらかの合格率がべらぼうに高くなるといったことはまず無いと考えていいでしょう。

一級建築士を受けた方ならご存知だと思いますが、6時間半にわたって行われる製図試験は大きく分けると、前半のエスキス(プランニング)部分と、後半の製図部分に分けることができます。

個人的な意見を言えば、前半のエスキス(プランニング)部分は日建学院に軍配が上がる一方で、後半の製図部分の教育に関しては、総合資格が一枚上手であったと感じます。

他にもいろいろな違いがありますが、結論から言うと下に掲げる項目に当てはまる数が多いほど、日建学院をお薦めします。

- 施工管理や設計事務所勤務で激務であり、十分な勉強時間が確保できる自信が無い。

- 既受験生かつ、前年度時点で3時間以内に作図完了する事が苦でなかった。

- プランニングに関して、複数の先生から様々な意見をもらいたい。

- 学科試験は独学(各予備校の独学コースを含む)にて突破してきた。

- 少しでも安く済ませたい



逆に下に当てはまる点が多い方は総合資格をお勧めします。

- 初受験生で、作図のやり方を手取り足取り教えて欲しい。

- 学生もしくは会社や家族の理解が得られており、比較的勉強時間が確保しやすい。具体的には週1の授業日以外に、18時間(3時間x6セット)の自習時間を確保できる人。

- 建築士試験に限らず、独学で自分で計画的に勉強するのが苦手

- 映像による解説が苦手で頭に入ってこない


それぞれの予備校の具体的な特徴をこれから解説していきたいと思います。


日建学院の特徴

 私自身は2年目の合格した年に通っていたのが日建学院です。日建学院の特徴ととしては、一言でいえば玄人向きにつきます。

皆様ご存知の通り、値段で言えば短期コースで60万弱と、総合資格に比較して20〜30万ほど低価格であり、かつ追加講座を後から無理やり進められることも無いため、値段を抑えたい人からすれば、まず候補に上がる選択肢だと思います。

通っていた身としても、課題の解説部分は動画での説明が中心で、先生たちはその間に生徒の答案の採点をしていると言った形でした。コストを抑えるべきところはしっかりと抑えているなと言った印象です。

 とはいえ、講座の内容に不足があるかと言うと、全くそのようなことはありません。構造や設備の基礎知識は、動画による解説がわかりやすく、かつ網羅されており、さすがは動画講座を主体とする日建学院といった印象でした。

一方で、私が玄人向きと感じたのは、初受験者に対して、作図の方法を授業中に手取り足取り教えることはなく、配信されている動画を見て自分で勉強してきてねといったスタンスからです。学科試験を独学で突破してきた人のような猛者であれば、ここに関しては心配要らないかと思いますが、自身で計画を立てて勉強することが苦手な人は、いきなり躓くことが想定されます。特に製図の進め方がわからない初受験生にとっては、最初の製図基礎部分が1番の難点と感じます。

しかしながら、後半のプランニングの部分の講座になると状況は一変します。日建学院の各クラスは40-50人程度が1教室に集まり、3人の先生が全員を指導をしてくれるといった形式でした。(少なくとも私の通っていた校舎では)
答案用紙の採点も各先生が持ち回りで担当してくれるため、色々な先生の指導に触れることができる点は非常によかったと感じます。3人の先生が持ち回りで担当することにより、先生の当たりはずれリスクも低減されているとも考えることができます。

最後に、講座を通した課題の量ですが、総合資格の追加講座も含めた課題量と比較すると、7割~8割程度になるかと思います。そのため施工管理やアトリエ系設計事務所などの勤務で、勉強時間を確保する自信がない人は、総合資格で課題の消化不良になるよりかは、課題が絞られている日建学院の方が合っているかと思います。


総合資格の特徴

 私は初年度の2次対策講座で総合資格に通っていました。総合資格は日建学院と比較すると素人(=初受験生)向きであるという事ができます。

日建学院と比較して値段も高く、追加講座による出費もかさみますが、その分先生による指導は手厚く受けることが出来た印象です。特に第一回の講座では、製図用紙の貼り方から線の書き方に至るまで、手取り足取り教てくれました。また例年お盆あたりに、作図時間の短縮に特化した製図講座があるのですが、この講座で徹底的に作図能力を鍛えられるため、講座を受けた人のほぼすべてが、本番でのノルマとされる3時間を切るスピードで作図できるようになります。3割ほどの人は2時間を切るまでに成長します。お盆時点でほぼ全ての人が3時間未満での作図を達成し、その後はプランニングの練習に注力できるのが総合資格の最大の特徴といえます。

 また、受講費が高いだけあって配布教材が手厚いのも総合資格の特徴といえます。基本的に試験一回分に対して厚紙の解答用紙と薄いエスキス用紙が必要になるのですが、講座開始時にまとめてそれぞれ数十枚ずつ配布してくれたため、用紙が足りなくなることは一切ありませんでした。対して日建学院に関しては、薄いエスキス用紙は足りなくなったら無料で貰えるものの、厚紙の解答用紙に関しては各課題一枚のみ、もしくはそれさえも用意されていない回もありました。やはり貴重な製図一回分は本番と同じ厚紙用紙で練習するに越した事はないですよね。
問題用紙に関しても、日建学院は各回一枚のみの配布に対して、総合資格は必要であれば何枚でももらえたので、マーキングなしのまっさらな状態でもう一度問題を解き直すといったことが可能でした。

配布教材のみならず、教務(事務方)のサポートも段違いに手厚いと感じました。各回A1サイズの問題用紙が配られるのですが、これがなかなか大きく、電車の中などで見直すには不便なサイズなんですよね。総合資格の場合は、毎回このA1サイズの問題用紙に加えて、ファイリング出来るようにA3に縮小したコピーも合わせて配布してくれたのが印象に残っています。おそらく私が通っていた教務の方が気を利かせて配布してくれていたと思われるのですが、こういった教務の方の一つ一つのサポートが手厚いのは総合資格でした。

 先生も授業後も遅くまで残ってくれており、特に直前においては終電ギリギリまで生徒の質問に付き合ってくれていたのが印象に残っています。噂によると総合資格の場合は先生が教室に残っていた場合は、残業代をしっかりと払わなくてはいけないため、先生側にも遅くまで残って指導をするメリットがしっかりと用意されているといえます。これに関しては私が通っていた校舎だけの話ではなく、総合資格全般的に生徒を手厚くフォローしようとしている表れと感じます。

講座自体に関しては一部は映像による解説もありましたが、日建学院ほどではなく、あくまで先生による対面授業がベースとなっています。よって映像授業では頭に入ってこないといった人には総合資格がおすすめです。

続いて課題の量に関してですが(追加講習を含む)日建学院と比較して圧倒的に多いです。おそらく半数程度の人は復習まで含めて消化しきれていないです。逆にいえば、これらをしっかりとこなすことができれば、あとは本番で大きなミスさえしなければ合格にかなり近いともいえます。全ての課題を復習まで含めて消化するには、最低でも週に3時間x6回の計18時間は必要になります。現役の学生や職場や家族の理解がある社会人でないと、この量の課題をこなしていくのは難しいように感じました。

最後にクラスの人数ですが、日建学院が1クラス40〜50人に先生が3人ついたのに対し、総合資格は15人程度の少人数教室に1人の担任がつくといった形でした。先生一人当たりの人数は変わりませんが、講座を通して少人数クラスで1人の先生に対応してもらい、かつグループワークも多く先生や他の生徒との距離が近いと感じました。


結論として日建学院の特徴は

- 課題量が総合資格に比較して少なくまとまっている

- 作図の対面指導に関しては手薄い

- 添削に関しては、複数の先生から様々な意見をもらえる。

- 先生が複数つくため、当たり外れのリスクが少ない

- 何よりも安い

総合資格の特徴は

- 課題量が多く消化できない人も多い

- 講座前半の作図の指導が手厚い

- 講師や教務の講座時間外でのサポートが手厚い

- 少人数制の授業

- 一部映像が含まれるものの、対面講義が中心


とまとめることができます。
あくまで最後は自分自身との戦いになりますが予備校に関しては上記を参考に悔いの無い選択が出来れば幸いです。

一建築士の先輩として貴方が合格できることを祈っています。

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