お前なんか死んじゃえ

小学校の同級生に、何かあると、「お前なんか死んじゃえ」という子がいた。
その子の家に行ってびっくりした。
飲んだくれで働かない父親が寝そべってテレビを見ている。
母親の口癖は、夫への、「お前なんか死んじゃえ」。
言われた夫は、「お前なんか死んじゃえ」と言い返す。
同級生には、妹がいた。
兄弟げんかは、お互いに、「お前なんか死んじゃえ」。
ある時など、一斉に、「お前なんか死んじゃえ」。
今、思うと、みんな、何もかも嫌になっていて、それ以外の言葉が思い浮かばなかったのではないか。
ある日、遊びに行くと、父親も母親もいない。妹と同級生は、テレビを静かにみていた。
が。
突然、バターンとふすまがこちらに倒れてきた。
ふすまの上に倒れていた夫婦は、全裸だった。
また、始まった。
「お前なんか死んじゃえ」
あの時のセックスは、どっちが悪かったのだろう。