見出し画像

ココロ(9)

 私も、祈りたくなった。本音は、Qに置いてきぼりにされたくなかった。
「あなたが祈るとき、私も一緒に祈ってよろしいですか」
「もちろんです」
 こうして、私とQは祈った。確かに、九識の地下水が湧き出してくるようだった。これまで体験したことのない喜びだった。私は、幸福だった。永遠に、Qとこうしていたかった。
 私は、以前の自分から成長したように感じた。父母が、読書と議論から感じた喜びは、こうしたものだったのだろうかと考えたが、こちらのほうが上ではないかと思った。すると、父母に、この祈りを教えたくなった。Qに言った。
「父母に、この祈りを教えたいのですが、手伝ってもらえますか」
「はい。喜んで。これでは、居酒屋の店員さんですね」と言って笑った。

 父母と連絡をとると、アフリカのモザンビークにいた。アフリカの最貧国だった。ここで、農家を豊かにする活動をしていた。近いうちに遊びに行くと伝えた。父母は、喜んでいた。
 自分は、この親の子供だということを、あらためて自覚した。この親の子供だから、Qをこのようにすばらしいものにできたのだろう。

よろしければ、サポートをお願いします。いただいたサポートは、読者の皆様に喜んでいただけることを書くため、誠実に使わせていただきます。