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NHKの「100分de名著」のテキストを読む読書会(2)ニーチェ『ツァラトゥストラ』(西研著)

 私は、リアルな読書会に参加しています。
 その読書会では、古典を読んでいます。
 古典は、難解な本が多いです。

 特に哲学書は難解です。
 そのなかでも、ニーチェの『ツァラトゥストラはかく語りき』は難解中の難解でした。

 私は、この本を理解するため、<NHK「100分de名著」ブックス ニーチェ ツァラトゥストラ>を読みました。

 『ツァラトゥストラはかく語りき』の要約をググったら、以下がありました。

3分でわかる!ニーチェ『ツァラトゥストラはこう言った』

https://diamond.jp/articles/-/205880?page=2

<この書は、ニーチェの分身ツァラトゥストラが、「神の死」「ニヒリズム」「超人」などの思想を伝えるストーリー形式になっています。神とは、キリスト教の神を意味していると同時に、あらゆる彼岸的(神・イデア)な諸価値と理想の全体を意味しています。

 ツァラトゥストラが「神が死んだ」と人々に伝えるということは、今までのすべての最高の諸価値、すなわち真、善、美がその力を失って、現実と理想という図式が崩壊することを意味します(真実がどこかにあるという神話が崩壊するということ)。

 そうなると最高の価値根拠と目指すべきものがないわけですから、私たちの「なぜ生きているのか?」「何に向かって生きているのか?」という人生最大の問題についての答えがなくなってしまうのです。

 「なぜ、世界と人間は存在するのか? それらはいかなる意味や価値をもつのか?」というような形而上学的な疑問のすべてが無意味となります(これをニヒリズムといいます)。

 ストーリーの最初では、ツァラトゥストラが、「神の死」を告げて、人々に無意味な現実と向き合うように示唆しますが、なかなか受け入れてもらえません。また、「隣人愛」はキリスト教の価値観でしたが、これは偽りの態度であり、隣人に対する愛ではなく、未来に出現する超人への「遠人愛」について説きます。これも人々はわかってくれません。

 実際に、当時はニーチェの哲学を、世間の人は誰も理解してくれませんでした。

 失望したツァラトゥストラは山にもどったり下ったりと、「神の死」という事実を布教するために様々な努力をするのです。

 最高の価値を失った人間に、ツァラトゥストラは、ニヒリズムの最も極端な形式とされる「永遠回帰」を説きます。本書の第4部で、ツァラトゥストラは「超人」を教えるべく、「永遠回帰」と「運命愛」の思想を広めようとするのです。

 この世界には、「神の創造」による始まりもなければ、「最後の審判」という終わりもありません。キリスト教では、神の国を目指して過去から未来への直線的な世界観がありました。しかし、神が死んだニヒリズムの世界では、生が意味も目標ももたず、創造と破壊を無限に繰り返す円環状の世界となります。映画『ニーチェの馬』(タル・ベーラ監督、ハンガリー映画、2011年)では、この無意味な世界観を独特な映像美で表現しています。

 「君は今生き、またこれまで生きてきたこの生を、もう一度、いな数限りなくくり返し生きねばならず、そこには何の新しいこともなく、すべての苦悩も快楽も思想もため息も、君の生のすべてが最大もらさず再来し、いっさいは同じ系列と順序に従う」(同書)

 意味もなく同じことの繰り返しという「永遠回帰」の世界においては、未来への希望もなく、いっさいが空しくなります。「永遠回帰」はニヒリズムの最高形態です。

 でも、ツァラトゥストラは、意味のない世界から逃げることをせず、ありのままに世界を肯定するべきであることを説きます。

 何度も繰り返される無意味な人生を「これが生だったのか、それではもう一度!」(同書)と受け入れるのです。そういう態度をニーチェは「運命愛」と呼び、そのように生きうる人を「超人」と呼んだのです。

 「その人は、いつかはわれわれのもとに来るであろう。世を救う人は、大地に目標を与える人は「超人」と呼ばれる」(同書)。

 神なき時代に、超人は世界に新たな価値を与える存在となります。現代の私たちは近未来に出現する「超人」を期待して、その「肥やし」となって(自己を没落させて)生きるのです>

 <NHK「100分de名著」ブックス ニーチェ ツァラトゥストラ>では、著者の西研氏は、人間が超人になるには、一人ではなることはできないと、『ツァラトゥストラはかく語りき』は書いていないが、行間から読むことができると書いていました。
 これを、リアルな読書会で発言したら、参加者が「達見」と驚いていました。

 私の感想は、ニーチェは、「神がいる」と信じている人が多い世界で、「神がいない」という新しい世界を本の中につくったこと、それは、多くの人々が、口に出せなかったが、考えていたことでした。
 そしてその世界で人間を幸福にする道を示したこと、こんなことができるのかと驚きました。

 先の<3分でわかる!ニーチェ『ツァラトゥストラはこう言った』>には、以下がありました。

人生で役に立つこと
苦しいことがあったら「これを無限回繰り返せるだろうか?」と自分に問うてみよう。たいていは「とんでもない!」と思うが、そこを頑張って、「これが人生だったのか、よしもう一度」と肯定する習慣をつけるとよいだろう。

ちなみに、R・シュトラウスの交響曲「ツァラトゥストラはかく語りき」は、映画『2001年宇宙の旅』のオープニング曲として有名です。


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