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レトロ喫茶のススメ〜喫茶ポプラ【静岡県】〜


同市葵区呉服町の繁華街を進むと、魅力的な小路が続く。古めいた看板が連なる通りにある三島屋ビル2階にある喫茶店、喫茶ポプラ。急傾斜の狭い階段を登るとぼうっと光る看板が出迎えてくれる。

喫茶ポプラ入口

小柄な白髪マダムに奥の席を案内してもらった。

窓際のオリーブ色の椅子にかけると、「ボフッ」と予想外に沈む座り心地にひとり驚く。音量大きめのジャズミュージックや凝った装飾の照明が昔懐かしい、THE・昭和の喫茶店だが、若い女性や学生グループらしい客が多く、溌剌とした店内の雰囲気がどこか新しさも感じさせる。

パイオニア製の巨大なスピーカーが覆う店奥の壁際に置かれたメニューを手にとる。
SNSでは季節の果物をふんだんに使ったフルーツサンドやパフェ、色鮮やかなクリームソーダなどが多く投稿されていた。どれも気になるが、別紙で用意されたケーキセットのメニュー表に目が留まる。
「渋川栗のモンブラン」
ブレンドか紅茶が選べるケーキセットが900円。
今回はホットのブレンドをセットにしてもらった。
しばし待つ...

喫茶ポプラ ケーキセット¥900

小ぶりなカップに並々注がれたブレンドの爽やかな香りが鼻腔をくすぐる。アルミ箔に包まれたモンブランは定番の形ながら、一般的なものより少し茶色が濃い。

まずはひとくちブレンドを啜る。ほのかに酸味があるが、すっきりしていて喉にするりと入ってくる。ケーキのお供に程よい存在感だ。アルミ箔を丁寧に剥がし、添えられたフォークで左端をすくう。

!!!

想像していたより随分と控えめだがほっこりとした甘さと、ふんわりと漂う栗の香りがなんとも美味。オーソドックスなTHEケーキ!の見た目に反して、お店ごとに異なった色を見せてくれるのがモンブランの楽しさとも言えるだろうか。

モンブランとコーヒーに舌鼓を打ちながら、ジャズミュージックと日常会話が織りなす緩やかなBGMに身を任せて過ごす、休日の昼下がり...

常日頃、結果とスピードを求められるタイトな令和の現代社会だからこそ、この緩やかな雰囲気と時間そのものが求められている...
空前の"昭和レトロブーム"はそんな需要から生まれたものかもしれない。

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