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0182.中級チャレンジ

NHKBS の「駅ピアノ 空港ピアノ 街角ピアノ」を観て、ピアノが弾きたくなった。昨年 11月30日、サイゼリアでともだちふたりにその思いを語った。すると、ひとりからロールアップピアノの存在を教えられた。鍵盤がシリコン素材でクルクル巻けて置き場所が困らない乾電池で動くデジタルピアノ。安価だったのでアマゾンで即買いした。俺のピアノは、そこから始まった。

ロールアップピアノを買い、ヤマハの「ぷりんと楽譜」で「エリーゼのために(ベートヴェン)」「恋(松山千春)」「YELL(いきものがかり)」などの楽譜をダウンロードした。でも、まるでピアノを弾いたことがない俺。それ以上はどうしていいかわからず、その後、ほぼ進展がなかった。

今年 5月15日の新聞朝刊の折り込みに、ピアノ教室のチラシが入ってきた。
「シルバーエイジのピアノ教室」という高齢者向けのピアノ教室のお知らせだった。“シルバーエイジ” というくくりに抵抗があった。なぜなら、俺は頭髪を全部剃ってしまっていて一本も無く、シルバーじゃないからである。

たぶん、少子化で子供相手だけでは商売にならないから、年寄り集めてやってみるかと始めたんだろうなと邪推するも、すぐ申し込んだ。5月30日の体験レッスンを経て、シルバーエイジクラスに入会した。でも、単純に俺の性に合わなかった。6月6日に第1回目を受講して、第2回目の受講目前、6月18日に退会した。しかし、その受講でピアノ教室のアコースティックピアノを時間で借りられることを知った。

電話で、俺が “ピアノレンタル” を利用することができるかどうか訊いてみた。受講者であれば30分800円で利用でき、柳さんは退会扱いになっているので 30分1000円で、グランドピアノを置いてある部屋を占有できますとのこと。「素晴らしい ♪」俺は、7月1日午前11時から1時間、予約を取った。そして、3日と4日も同じように 1時間ずつ、ピアノレンタルを利用した。

はじめてアコースティックピアノというものを実感した。フルサイズ 88キーの鍵盤は広く、そして、キーは重く、確かにハンマーでピアノ線を叩いているんだなと実感できた。キーが重いせいで、強く打つ優しく打つ、その強弱をつけるのがデジタルピアノよりも、かえって容易な気がした。これこそが楽器なんだな、ピアノなんだな、そう了解した。これで、ピアノを弾くを手に入れた。たとえそれがレンタルピアノであろうと、自分だけのピアノである。

課題曲はいきものがかりの「YELL」にした。NHKBS の「駅ピアノ 空港ピアノ 街角ピアノ」を観ていて、俺の頭の中に流れてきたのが「YELL」の前奏のピアノだったから。ぷりんと楽譜の「YELL ピアノ(ソロ)入門」のプリントアウトを用意した。入門編なので、容易に弾けるようにアレンジしてある。 

一方、ぷりんと楽譜には「YELL ピアノ(ソロ)中級」もある。そして、入門編、中級編、どちらも、ダイジェストながら動画がある。その動画を聴くと、当たり前なのだが、やっぱり入門編よりも中級編のほうが良い。よせばいいのに、俺は「YELL ピアノ(ソロ)中級」の楽譜をダウンロードした。

入門編を弾けるようになってから、中級編に興味を持つべきだ。譜面を見ても明らかに違う。中級編は音符が多い。そして、増えているのは左手で弾く譜線の音符だ。俺は脳出血の後遺症で左に片麻痺へんまひがある。

ネットで検索すると、ぷりんと楽譜「YELL ピアノ(ソロ)中級」演奏のフルサイズの動画があった。これを見れば指の動きを追うことができる。でも、見たからといって俺の左手が動画のように指を動かせるはずもない。譜面のたくさんある記号を、俺が正しく理解できるかどうかもわからない。

誰のものか俺は知らないが、「為せば成る、為さねば成らぬ、何事も」という言葉がある。

真理だと思う。

上手くできないけれど、入門編を飛び越えて「YELL ピアノ(ソロ)中級」にチャレンジしたいと思う。でも、その結果、打ちのめされていじけて、ピアノをやめるかもしれない。

しかしながら、その望まぬ結果さえも、“為せば成る変化” と言える。

柳 秀三

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