0013.エリーゼのために

NHKBS 「駅ピアノ・空港ピアノ・街角ピアノ」が好きで、録画して観ている。そして、俺もピアノを弾いてみたいと思うようになった。自慢じゃないがピアノに触れたことはない。いやもちろん、小学校の音楽室にピアノがあったから触れてはいるだろうけど、全然弾いたことがない。ピアノだけじゃない、リコーダーも吹けない。みんな、あの音符を見てよく吹けるよな～と思っていた。俺、音楽は全然ダメだった。

でも、ピアノが弾けないかというと、そうではないと思う。鍵盤を打てば音は出るのだし、譜面を見てメロディが浮かばなくても、メロディを知っている曲を譜面を見ながら弾くことは可能である。高校生のときに、カッコいいと思って友だちと神田神保町の楽器店でフォークギターを買ったことがあるが、一曲も弾けないで終わった。あのときのギターよりは弾けるはずだ。

ネットの友だちに、ロールアップピアノを教えてもらった。シリコンのような素材の柔らかい鍵盤で、クルクル巻いて収納しておけるデジタルピアノである。場所を取らず、イヤフォンジャックもあるし、乾電池で演奏できる。そして、アマゾンで検索すると、3860円なのである。もし弾けないで終わっても罪悪感を感じさせない値段だ。即、買った。昨年、12月7日に届いた。

２か月が経って、ベートーベン「エリーゼのために」を練習している。
　右手　ミレ♯ミレ♯ミシレドラ　ドミラシ　ミソ♯シド
　左手　　　　　　　　　　ラ　　　　ミ　　　 　ラ
まだ、ここまでである。 (￣▽￣) ｶｯｶｯｶｯｶｯ♪ ← ご陽気
でも、さっき、発見した。
左手のラ、１オクターブ低いラを打っていた。
道理で変だった。　　　 (￣▽￣) ｶｯｶｯｶｯｶｯ♪ ← ご陽気
これは、すんごい一歩だと思う。← そんなことはない

「駅ピアノ・空港ピアノ・街角ピアノ」では、弾き人は「60歳から始めた」とか「数か月かけて一曲を覚えている」とか「楽しいから弾いているんだ」とか言うんだよ。大学の受験に不合格だった女性が、街角ピアノを弾き終えてインタビューに答えている。
「母はこう言ったの。ピアノ覚えるのはプロになるためじゃない、人生で辛いとき苦しみをやわらげるため。ピアノはあなたを支えてくれるってね。母は正しかった、本当に感謝してるわ」
なんか泣けてくるだろ。ほかにもたくさんたくさん、ピアノを弾いてみたくなることを弾き人は言うんだ。だから、俺も弾きたくなった。

地元の駅の隣の隣の駅に、駅ピアノがある。もし、いつか弾けたならと思う。でも、まず、「エリーゼのために」を最後まで弾けるようにしよう。できないことはない。このロールアップピアノだって、もっといいデジタルピアノのほうが弾きやすいんじゃないかと思ったが、このロールアップピアノで弾けないようなら、弾くのをやめちゃえっ！と思った。

やっぱり、仕舞うとダメだよね。すぐ弾けるところに出しておこう。

柳 秀三