デジタルトランスフォーメーションのために時間を確保する方法


はじめに

2022年に新卒でリンクアンドモチベーションに入社し、以来、デジタルトランスフォーメーション(以下、DX)推進チームの一員として活動してきました。約1年間、DX化の進展の象徴的な事例を紹介させていただきます。

今回の投稿で「社内のDX推進をしてツールを納品したはいいけど、納品先からの問い合わせが多すぎる」「ステークホルダーとのコミュニケーションに苦労している」とお感じの方々のお力になれることを願っております。

DXとは?


DXには、3段階のステップがあるとよく言われます。

DXのステップ
書籍「いちばんやさしいDXの教本」P024より引用

今回は「デジタライゼーション」の段階から「デジタルトランスフォーメーション」の段階に移行するために行ったことについてお話致します。
また、弊社ではデジタル化を進めるために、主にGoogle Workspaceを活用して、Google Apps Script(GAS)を使用しています。

弊社DX推進チームが抱えていた課題

DX推進チームは、ビジネスプロセスのさまざまな領域でツールの開発・納品を行い「デジタライゼーション」を進めてきました。ツールの納品による工数削減の効果も観測できております。この調子でDX推進チームは「デジタルトランスフォーメーション」を進めたいです。

しかし、ツールの納品が増えると同時にエラーの連絡も増加していきました。

これにより「エラーの問い合わせがDX推進チームの進行を妨げている」「エラーの発生時にツールを利用する部署もDX推進チームの対応待ちでツールがすぐに使用できない」といった問題が生じました。
そこで我々は、「担当部署でエラーの原因がわかる状態」を目指しました。

この目標を達成するために、以下の2つの課題を解決する必要がありました。
 課題① 担当部署のスキル不足の解消
 課題② 担当部署からの理解を得ること(合理面・情理面ともに)
以下で実施した施策を説明します。

実施した解決方法

>課題① 「『担当部署のスキル不足』の解消」について

スキルが不足していてもエラーの原因がわかる状態にするために、問い合わせまでに以下手順で進めてもらうこととしました。

<エラーが起きた際の問い合わせ手順>
①ドキュメント確認→②ツールの実行ログ確認→③所定のフォーマットで問い合わせ

①ドキュメント確認
「GASツール トラブルの際の確認リスト」として、以下のチェック項目を記載しております。
- スプレッドシートの確認事項:行や列の増減は行っていませんか?
- メールの設定の確認事項:エイリアスの設定は完了していますか?
他にも様々な項目がございますが、もし思い当たる事項がない場合は、ツールの実行ログを確認してもらいます。

②ツールの実行ログ確認
見方は①のドキュメントに記載しておりますが、以下のようなログを表示させております。
挿入ログ例1:「〇〇」のシートが存在します。対象の情報を取得しております。
挿入ログ例2:「〇〇」のシートが存在しません。シートの名称に誤りが無いか確認してください。※半角全角等々
これにより、どこまでの処理が正しく行われ、どこから処理が行われなくなったかがわかります。

③所定のフォーマットで問い合わせ
「②で原因が特定できたが、解決方法がわからない。」「確認したがどうしてもわからない。」となれば問い合わせフォームにて連絡する形をとっております。
この方法も①のドキュメントに記載しております。

以上の手順を実行することで、我々DX推進チームの作業時間を確保・エラー状態からの早期復帰を期待しています。

この課題①に対しての解決方法の実施で、ITの知見があまりない方でも「担当部署でエラーの原因がわかる状態」に大きく近づきました。

>課題②「 担当部署からの理解を得ること(合理面・情理面ともに)」について

課題①だけでなく、担当部署からの問い合わせルールの変更への理解無しには目指す姿は実現できません。
今までは「DX推進チームに問い合わせればOK」という認識を、「自分たちでやらねば」と変えてもらうことが必要です。
そのために以下2つを実施しました。
A 背景の伝達(合理面)
ここは、現状(前述)と今回の変更で得られるエラーが発生した部署・DX推進チームのメリットを伝えます。

<エラーが発生した部署のメリット>
- 問い合わせ(コミュニケーション)にコストを費やす必要がない
- 原因が分かればすぐにツールが使える様になる
- ログを見ることでプログラムの仕組みがわかり、自動化できるもの・できないものの違いがわかる
<DX推進チームのメリット>
- 作業時間を確保し、デジタライゼーションからデジタルトランスフォーメーションに注力できる

B 相手の情理に配慮したコミュニケーション(情理面)
Aを行うだけでは相手の情理に配慮はできておりません。ミーティングでAを伝えますが、反応が以下2つに別れます。

α. 「理解しました!できそうです。」と発言する。
β. 自分にできるか不安な表情をする。

弊社のコーチング技術を参考にし、相手に合わせたコミュニケーションを取ります。

コーチング時のフレーム

αへの対応:自由と責任を与えて任せる(図の右上の領域)
具体的には、「「●●な理由で○○さん主導でこのスモールサクセスを進めてほしい。」と、相手に任せる発言をします。

βへの対応:対話を意識して励ます(図の左上の領域)
具体的には、その場でドキュメントや実行ログを実際に見せて簡単さを説明します。その際、「どこかわからないことありますか?一緒に今やってみて気になるところがあれば教えてください。」と聞いて相手の不安点を潰し、相手を励ますコミュニケーションにします。

このように対話することで、相手に納得してエラーが起こった際に「自分たちでやらねば」という意識で新しい手順に沿って原因を特定してくれることを期待しております。

これにより、前述した課題①「担当部署のスキル不足」の解消、課題② 担当部署からの理解を得ること(合理面・情理面ともに)の両方が解決されます。

変更後の現在の状況

上記のような対応を行い現時点では、問い合わせがゼロとなっております。(まだまだこれから経過を見守っていく必要はありますが💦💦)
また、各部署でITへ温度感が高い人からは「いいですね、ログがわかりやすくて!なにをやっているかわかるのが仕組みを理解する助けになります!」と感謝の声も頂いております。

最後に

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
今回は「社内のDX推進をしてツールを納品したはいいけど、納品先からの問い合わせが多すぎる」「ステークホルダーとのコミュニケーションに苦労している」とお感じの方々のお力になれればと思い、noteを投稿させていただきました。

DX化が必要と叫ばれる「新しい技術」への興味・関心がますます上がっていると思います。しかし、それと同時に「コミュニケーション」は忘れていけません。
今後も単なるITの新技術にとどまらず、幅広い角度からDX推進の役割を果たしていければと思います。
引き続き、動向にご興味もってくださいますと幸いです。

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