【シュミnote】野党候補一本化への「予備選」が面白い


    大阪府知事を務めた橋下徹氏と兵庫県明石市長を務めた泉房穂氏による注目の対談が先日行われ、わたしもオンラインで視聴しました。政治ジャーナリストの鮫島浩氏の司会で行なわれた対談は、面白く、勉強になりました。政策的には「水」と「油」ほど異なると言われる二人ですが、共通しているのはいまの自公政権に対抗できる強い野党が出現しなければならないという点でした。

   興味深かったのは、橋下氏が提唱している衆議院選挙での野党候補一本化に向けた「予備選挙」の実施です。具体的には野党第一党であるにもかかわらず、伸び悩む立憲民主党と大阪から全国政党への脱皮を図る日本維新の会の候補が本選挙の前に「予備選挙」を実施して、候補者を絞ろうというものでした。

   野党候補がバラバラのままでは結局、次の選挙でも漁夫の利を得るのは自公の方だという認識が共通にあり、泉氏も賛同していました。わたしも岸田政権の政策をすべて否定するものではありませんが、やはり政治を活性化させるには、二大政党による政権交代が可能な体制が望ましいと考えています。実際いまの小選挙区制も比例代表の仕組みなど課題はありますが、政権交代がしやすいように導入された面があります。

   いまの政治に必要なのは緊張感であり、そのためには強い野党が必要なはずです。ところが「中道・改革」を掲げる、これといった政党がないのが現実です。わたしを含めて今の政治に不満があるけど、受け皿となる政党がないという有権者は多いのではないでしょうか。

   過去の衆議院選挙を見れば、どうすれば政権交代が起こるのかは明らかです。1993年と2009年のときのように、自民党が割れるか、野党が固まらないと無理です。
   
   「予備選挙」は日本ではあまり馴染みがありませんが、例えばアメリカでは頻繁に行われています。もちろんアメリカでは同じ政党内で候補者を選ぶ過程を指すので、今回のケースは異例で、正確には「予備選挙」とは言えません。

   アメリカ大統領選挙では、ご存じのように民主党と共和党、両党がそれぞれ予備選挙を行なった上で、党員がみずからの大統領候補を選びます。有名なところでは2008年の民主党の予備選挙では、当時、絶対的な優位が伝えられていたクリントン上院議員に対して、本選挙で当選を果たすオバマ上院議員が挑んで大逆転しました。

   民主党の強い地盤であるニューヨークの市長選挙では、共和党候補との本選挙より民主党内を勝ち抜く予備選挙の方がたいへんで、いまのアダムズ市長も有力候補を破って候補となりました。
   
   公正な投票によって選ばれた候補は、密室で選ばれた候補より、それだけで重みが増してきます。予備選挙ではありませんが、前回の衆議院選挙直前に実施された自民党の総裁選挙は、有力候補が連なっただけに注目を浴びました。その結果、誕生した岸田政権は新鮮で、当時は高い支持率を得て選挙戦に突入、勝利しました。いわば派閥での疑似政権交代です。

   現実性が乏しいだけにほとんど話題もなりませんが、「予備選挙」の考え方は面白いと思います。またいまの政治の閉塞感を破るには、それだけ大胆な手法が求められている気がします。そして何より必要なのは本気で政権を取りに行こうという気迫だと感じざるを得ません。


趣味的な文章を最後までお読みくださり、ありがとうございました。

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