成人を噛みしめて

突然の伯父の死


2021年、10月。
伯父が会社で倒れたと連絡があった。意識がないという。
私は仕事で病院へ行くことができなかったが、病院へ行った母へ電話をし、伯父が亡くなったことを知った。

不思議と大きく驚かなかった。
それは、6年前に直前まで会っていた祖父が突然に亡くなったことが大きいだろう。
その頃から、人はいつ死ぬか分からない、と心のどこかで意識して生きている自分がいる。

伯父は離れたところに住んでいて、家族もいて、会う機会といえばお正月くらい。特にコロナ禍になってからは全く会わなくなって、電話で少し話す程度だった。
そのため、亡くなったという実感はあまり沸かなかった。

だが、葬儀の時に棺にいる姿と対面して涙が溢れた。
そして初めて杯を交わした、最初で最後の杯を。
私が成人してから会えないまま、お酒を一緒に呑むことは叶わなかったのだ。
酒好きな伯父と、そこそこ酒豪と呼ばれる私と。

伯父が亡くなる前に私にくれたものを思い出した。
何か月か前にもらった成人祝いだ。
彼の名前が記され、姪に渡す金額としては大きな額で、なんとなく使えないでいた。
そして彼が亡くなって、さらに使うことはできないと思った。

亡くなって1年が過ぎた。
私はこのお金の重みを噛みしめ、本当に大切な時に使いたいと思っている。

改めてありがとう