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こだわるアリカツ(蟻の飼育活動+α)   ⑤ B級女王アリを育てる

 以前ネットでクロオオアリの女王を複数購入したとき、先方から
B級女王アリを無料でいただいたことがあります。B級とは、何らかの原因で脚や触覚が欠けているなどの、欠損のある個体のことを言います。ネット上でも、安く取引されていることがあります。上の写真の女王アリが私がいただいた個体で、左側の触角が少し欠けてしまっています。せっかくなので、育ててみることにしました。

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 触角は昆虫の感覚器官で、匂いや触感などさまざまなものを感じ取っていると言われています。それが欠損すると、多少はアリの行動に影響するであろうことは予想していました。
 女王アリを飼育ケースに移すと、女王はまず移す際に散らばってしまう卵や幼虫を集め、安全な場所に運びます。普通の女王アリは、速やかに全て回収し、すぐにケースの角などに積み上げますが、B級の場合は全ての卵を自力で集めることが出来ませんでした。触角が欠損している分、卵を見過ごしてしまうようです。そこでこちらで集めて女王の近くにそっと置くと、女王は慌てて回収しました。

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 回収後、女王が巣の拠点となる場所に落ち着くと、B級の女王は他のアリと同じように問題なく子育てを行いました。ただたまに、幼虫と認識できなくなってしまうことがあるようで、不意に幼虫が1〜2匹巣の外に捨て置かれることがありましたので、見つけるたびにこちらで集めて再度女王のそばに置くと、女王は何事もなかったかのように子育てを再開しました。その後働きアリが生まれると、身の回りの世話を全てやってくれるようになるので、女王は卵を産むことに専念するようになり、異常行動は目立たなくなりました。もしまた女王アリが幼虫を間違って巣の外につまみ出しても、働きアリが回収すると思われます。

 そして4年目に入った現在のB級女王アリが、下の写真です。

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たくさんの働きアリに囲まれて、卵も順調に生まれ続けていて、クロオオアリのコロニーは今なお拡大しています。働きアリは現時点で約200匹。

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 上の写真の中の大きなアリは、女王アリ並みの大きさを持つ働きアリのいわゆる「兵隊アリ」です。ゆっくりと歩く様は、迫力満点です。 

 B級のクロオオアリの女王は競争の激しい自然界で生きていくのは難しいかもしれませんが、外敵のいない飼育環境下では、働きアリさえ生まれれば他の女王アリと同じようにコロニーが成長し、楽しく観察することができるようです。

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