どうでもよかった日の話 (小説 古代史1 推古天皇)
お前は正当なヤマト王権の者だよ。
だから気にすることはない。
私は幼い頃から父にそう言われて育った。意味はよくわからなかった。物心ついた時から私は立派な宮に住まい、きれいな着物をきて美味しいものを食べていたから。
おぼろげながらに意味がわかるようになったのは、私が十を過ぎた頃だった。
「額田部(ぬかたべ)さま。今日もお文が届いていますよ」
その頃から、私には言い寄る男たちが増えてきた。私はいつものように庭の見える廊に座っており、いつものように侍女の差し出す木簡を広げ