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ケンジの指揮で 2つ振りでしなやかに「ケンジトシ」を観て

ケンジトシの終盤で歌われる「花巻農学校精神歌」は、
8分の6拍子で歌われる。初めはケンジの呟く様な言葉から始まり、言葉から歌へ、やがて出演者全員で歌い始めると、何とケンジが指揮を始める

それが実に見事な、2つ振りなのだ。正直、あのテンポをキープして、2つ振りで指揮をするのは、かなり難しい。初めて配信で観た時に、さすがケンジ、いや、中村さんと感心していた。

マチネの配信でも、観劇した時も、この振り方だった。

2つ振りとは、2拍子のように見えるが、6拍子を3拍ずつに分けて、一振りの中に、3拍が感じられる様に指揮をする事。
あのゆっくりの動きの中に3つを感じて正確にキープするのはなかなかの技。

やがて。お芝居を観た方の、呟きを読んでるうちに3拍子で指揮をした日もあったらしい事を知った。3拍子を2回振ると6拍子になる。ゆっくりなら、こちらの方がずっと簡単、でもいつもしていた振り方の方が、8分の6拍子のゆったりとした雰囲気が表現できる気がするし、あの場にふさわしいと思う。

今日はどちらの指揮をしたのかな?ビオラの徳高さんのアドバイスかな、などと追っかけるうちに明日は千秋楽。寂しい気もするが、俳優の皆さんに現代の日本に帰って来てもらえて、ホッとする。1ヶ月の長きに渡りケンジやトシを生きるのは、しんどくはないかと思うのは、素人考えなのだろうか。

追記、ここからが長いかも、
歌詞はパンフレットに掲載されている、また、青空文庫でも読むことができる。けして押し付ける事なく一緒に歩んでいこう、でもそこには高い理想がある、と語っている様な気がする。実は花巻農学校精神歌には、他にも4分の4拍子のヴァージョンも有りどちらも歌われている。わたしは8分の6の方が、穏やかで好きだ。

そういえば、8分の6拍子には、2つ振り、3つ振りの他にもう一つ6つ振りも有る。でも1.2.3.4.5.6としっか刻むのは、堅苦しくてあの柔らかい場には合わない気がする。

イーハトーブの理想郷を目指して、あの2つ振りの様にしなやかに進んで行けたらよかったのに、ケンジも夏のヒデリから農民を守ろうとして命を縮めてしまったと語られている。石原さん、それでもあなたは自分の進む道を変えないのですか?
ああまた、戯曲の虚構に騙されてしまった。



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