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ハニーローザ

私が幼少期に食べたすももは、酸味が強くてあまり美味しいとは言えなかった。

だからそれきり食べたいとも思わなかったし、食べる機会も無かったのだ。

つい先日、家族が「すももが食べたい」と言い出した。知り合いの話を聞いてからすももが食べたくてしょうがない、と。

それから複数のお店で見て回って、最終的に選んだのがハニーローザという品種だった。少々高いけれど、すももはどこのお店でもそれくらいの値段だったのでそういうものなのだろう、と買って帰った。

夕食後、軽く洗って家族に出したら、ひとつ食べてみたら?と勧められた。私はあの酸っぱいすももを思い出し、あまり気は乗らなかったがひとつだけなら、と皮を剥いてみた。

果汁で表面がきらきらと光る、オレンジに近い黄色の果肉が現れた。思い切ってかぶりつくと、果肉がたっぷりとたくわえていた果汁が滴り落ちる。

めちゃめちゃ甘い!何だこれ!

本当にびっくりした。こんなに甘いすももが存在するなんて。私が昔食べたものはなんだったのか。砂糖漬けにしたような甘さと、たっぷりの果汁、お月様のような美しい黄色の柔らかな果肉。私の世界に彗星のごとく現れたハニーローザは、私の中で地位の低かったすももを好きな果物TOP10に押し上げた。

後で調べてみると、ハニーローザは6月に10日程しか収穫できない「幻のすもも」と呼ばれているそうだ。あの美味しさと収穫時期の短さを知ると値段にも納得がいく。毎年6月に生産地で収穫祭をやっているそうなので、都合が良ければ来年は是非とも行ってみたい、と家族と話している。

すももが好きな人も、すももにあまり興味が無い人も、もしハニーローザを見かけたら買ってみてほしい。世界が変わる美味しさです。

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