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詩:大いなるもの、闇を払う息。

夜が更け、あいにくにも雲が覆う天からは、光のひとつも地へ分けてくれなかった。

耳を澄ます。
風が居ない。
雨もない。
…静寂というものは、恐ろしい闇だったような。確か、記憶ではそうだった。

でも大丈夫、今日も眠れそう。

「ぐぅーー……ぐごぉぉーーー……」

とっても大きないびき。大いなる者の寝息。
安心しきったあのひとは、たぶん仰向けかな。
今日が休日で、運がよかった。

雑音でもいい。闇を晴らしてくれるから。
生きてる誰かがそばに居るだけで、
世界の時間が動いてるのを感じる。
生命がもたらす不規則なリズム、音。

音を探れば、小さな寝息も聞こえてくる。
すぅ、すぅ。…寝息ってそうだよね?そうだった?
大いなる者に群がる小さな者。…小さな者?うーん…というよりは、ちょっと大きな者?だって、私はすっごく小さいし。


私が起きてても、いずれ夜は明ける。
何ら変わらない、平和な昼がやってくる。
悪いことなんて起こらない。気にしなくていい、わかってる。それでも、闇が怖かったの。

みんな寝ている。まるで家族みたいだね。
今日も、羨ましいって気持ちになっちゃった。
でも、そんな思いは必要ない。私もみんなの仲間になれるから。
横になろう、寝よう。みんなと一緒に。


落ち着く。
真っ暗で、何も見えないのに、全然怖くないよ。

闇は払われた。大いなる者の寝息により。
光が呼んでる。小さな者の仲間たち。
さあ、行こう。束の間の夢へ。幸せの夢へ…。

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