いたします

お夕食を早めに済ませて、外に出ました。

掃除やお洗濯はまだですが、もう良いのです。済んだことです。

空は赤い色をしていました。綺麗なグラデエションで上へ行くほど段々と青になっています。いつか、そのグラデエションの真ん中の色は白なんだと、教えてくれた友人を思い出しました。その色が黒くなっていくのを見つめながら歩きました。

色が変わるのはとてもゆっくりでした。人や定刻を待つよりも、長く感じました。今まで散々、眺められ、なぞられた夕暮れの空でしょうが、その色だけを見守り続けた人がどれほどいるでしょう。そこまで多いようには思えません。少なくとも私はこんなことを考えていますからだめです。余計なことばかり考えています。そう思うと急にこの景色は、残酷でグロテスクなものに感じられました。この景色を見ればきっと誰もが美しさや懐かしさ、健やかな想いを胸に抱くでしょう。ですが、その1つにほんの30分も捧げられないのです。その1つだけに執着できないのです。チイプだと思う。

こんなことですから、私も、誰も彼も、運命の人と簡単にすれ違えてしまうのでしょう。空はまだ赤いのだから、笑ってしまいます。

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