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いま起きている事を理解するために②なんだよ結局レプティリアンかよって話

 陰謀論論で「真の敵がレプティリアンと思ってたら」なんて書いたのは冗談のつもりだったんだけど。 やまとQって団体はほんとにそう言ってるんだとか。 やれやれ。
 ところで太田竜って知ってるかなー?日本でさいしょの新左翼セクト・革命的共産主義者同盟・略して革共同を黒田寛一とともに創設した。1957年の事だ。 この革共同が分裂してできたのが中核派と革マル派。
 つぎつぎと立場を変え、あちこちで組織を分裂させる彼は「実はCIAのスパイなんじゃ」なんて言われた。 80年代には極端なエコロジストになってて、「家畜制度全廃論」なんて言ってたな。
 2009年に死んだんだけど、さいごの思想がユダヤ陰謀論。レプティリアン黒幕説も取り込んだとか。
 WIKIにも書いてあるけど、この人、「地球をうごかすエネルギーはどこからくるのか」なんて言ってと学会に取り上げられてる。 こういうのを「トンデモ理論」って言ってとりあげてたのが「と学会」。本がたくさん出てる。
 彼の影響で革命運動(暴力革命ね)はじめちゃった当時の若者がどれだけいたか知らんけどね。 晩年の「レプティリアン説」聞いてどう思ったかな。

 こんなのも日本の戦後史の一部ではある。 思想史だか大衆文化史だかしらんけど。

 まあユダヤ陰謀論は戦後の日本だけのものじゃ、もちろん無い。いちばんハデにやったのはもちろんナチでしょう。ナチ党は「国家社会主義ドイツ労働者党」。 だから反ユダヤ金融資本なのは当然として、なんで同時に反共・反ソ連なのか。
 ヒトラーに言わせるとマルクス主義者・コミンテルンはユダヤ人が動かしているのだそうで。 この「コミンテルン=ユダヤの世界支配の道具」て説はけっこう目にする。
 アメリカで「民主党=共産主義」説の根拠にむかしトロツキストがたくさん入党してどーのってのがある。 トロツキーはもろユダヤ人の共産主義者だからまあ都合がいいっていうか。
 「コミンテルン=ユダヤによる世界支配の組織(しかも実はレプティリアン(爆))」とするならソ連や中国共産党と戦ったナチス・ドイツも大日本帝国も実は人類解放の正義の側だったって事になる。 太田竜もそう言ってた。
 まあだから今の世界が一部の金融資本によって支配されてて、これと戦うってのはもともとマルクス主義・共産主義の立場、まっとうな左翼の立場だったんだけどこれが「ユダヤの金融資本」になると全く逆に反マルクス、反共主義が正しいって事になる。
 アメの中間選挙でトラちゃんあいかわらず民主党を「社会主義だ!共産主義だ!」つって攻撃してるけど。 これが日本人にとってどんな意味を持ちうるか。
 もともとトラちゃんすげー反中国で大統領だったときにさんざん煽ってた。 ウイグルのジェノサイド認定も選挙でまけて政権交代きまったあとの2021年1月にむりやり押し込んだ。
 トランプ政権が続いてたら、あるいは返り咲いてこんどは中国とハデにやりあうことになったとき、トランプ派の日本人はどうするのか。 今のロシアはちがうけど、中国はもろに共産党の一党独裁。社会主義も放棄したわけじゃない。
 「共産主義と戦うのは正義だ!昔の日本軍も正義だった!」てもろネトウヨの修正史観と重なっちゃうんですけど。

 ところが一方で今起きてることに正反対の解釈もあるって事に気づいてる人もいると思う。 鎌と槌の、ソ連の国旗。これが目に付く。 まあロシアもウクライナもむかしこの旗の下でナチと戦った。その歴史を思い出せと。そういう文脈で使われるのは理解できる。
 でもツイッター上にはそれにとどまらず、ソ連の復活を歓迎・希求するような言説がけっこうあるんだよね。 つまりソ連の解体によって中断された冷戦が(ウクじゃ熱戦になってるわけだけど)再開されたと。
 ここでトンデモ説がでてきた。ソ連の崩壊はDSだか誰だかの手先のゴルバチョフがやった。さらに彼はロシアを西側の金融資本に売り渡し、ロシア国民がヒドイ目にあったと。 このトンデモ説が拡散したのにはびっくり。
実際はゴルビーはなんとかソ連を維持しようとしたのに強引に解体したのはエリチンだし、ロシア経済がどん底までおちたのもエリチン時代に「ショック療法」とよばれた急激な自由化をやったからだ。 こんなの常識と思ってたんだが。
 困ったことにトンデモ説(陰謀論)を信じる人には自説を肯定する必殺技がある。都合の悪い資料は、歴史の教科書や年表に書いてあることでも「捏造だ!」てやつ。 と学会はこーゆーのをさんざん批判した。からかったというべきか。

 有名なトンデモ説は「アポロは月に行ってない」てやつね。あと同時多発テロの自作自演説。 いまじゃロシアの自作自演ってのが大流行してるけどね (笑)
 まあ9.11テロが自作自演なら原発攻撃もパイプライン爆破もロシアの自作自演だとしても不思議はないな(笑) いやまだ甘いってゆーか(笑)

 ゴルビー悪玉説がおかしいのは、エリチンとその時代のことがまったくなかったことになってる事だ。 この不自然さは気づいて当然だ。 ウクライナのネオナチについて、西側のマスコミも以前は報道してたじゃないかってのと同じ。 整合性がないのだ。
 この整合性のなさには、ロシア側に問題がある。 ロシアは西側による支配・搾取・収奪について非難するけど、ロシアは90年代、エリチン時代にまさにコレやられてひどい目にあってる。 これを非難するならとうぜん自国の買弁資本・政治家も非難しなきゃならない。
 ところがプーチンはエリチンに後継者として指名されて大統領になった。プーチンの最初の大統領令はエリツィンを生涯にわたって刑事訴追から免責するというものだったそうな。
 まあそんなわけでエリチン時代の事がいまのロシアの黒歴史としてタブーになってるのかもしれないけどね。

 まあこんなかんじで言論の世界もいろいろあってたいへんだ。 かといって不可知論や唯我論に逃げるのは、俺はごめんだ。 ゴミの山をかき分けながら、前進しよう。

つづく。

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