オプション価格の並び

以前にオプションは価格の並びに妙味があると書いた。それは、ボラティリティや、残存期間によって常に変化してはいるのだが、「価格比」を通してだいたいのオプション価格が推定できるということ。例えば価格比が1000円だったとして、アットザマネーの価格が1000円だとすると、原資産である日経平均の現在の価格から1000円離れた権利行使価格のプットの価格は500円になる。現在の日経平均の価格から2000円離れたプットの価格は250円となる。等比数列となっているのである。ただし裾野に行けばプットの価格の下方硬直性から下げにくくなり、これが当てはまらなくなるが売買するのにはあまり関係のない権利行使価格である。

最近違う角度からプットの価格を推定する方法を発見した。上記の価格比を使った価格の推定方法は内側買い外側複数枚売りの組み合わせのポジションを作る上で重要な観点になる。価格比が1000円ならば内側1枚のプットの買いに対してさらに1000円離れた権利行使価格のプットを2枚売ることでコストゼロのポジションを組むことができる。このようにして作ったポジションが日経平均の価格が下落することでインザマネーとなり利益ゾーンに入ってくると1枚づつの内側買い外側売りのポジションを新しく組むことで利益ゾーンを広げることができる。1枚づつなのでコストの支払いが発生するのだが、すでに利益ゾーンの中に入っているので損益曲線を使って利益が最低となるところ、最大となるところ、利益ゾーンの範囲が有利になるようなポジションの組み合わせを組む。そのときに1枚買いと1枚売りのプットの価格差がいくらになるかが支払うコストを決める。視点が「価格比」から「価格差」に変わっている。例えばアットザマネーのプットの買いと500円離れたプットの売りのポジションを作るときに支払うコストはいくらなのかというとおよそ250円になる。SQが間近になるとこれはあてはまらないのだが、SQの2か月前でも1か月前でもおよそ250円というのは変わらない。これはちょっと不思議だった。価格比は1か月前と2か月前では随分違う。しかし、価格差はほぼ同じなのである。しかし、考えてみると当たり前のことだと気が付いた。もし250円以上であると仮定する例えば300円だとすると外側買いと内側売り(アットザマネーの売り)で300円の受け取り、すなわち30万円の受け取りとなる。SQ時で最大損失はマイナス50万円である。これをコール側でもアットザマネーのコール売りと500円外側売りを組めば受け取りが合計60万円、SQ時の損失最大50万円。100%確実に利益を生み出すことができる。そういう甘い話はあり得ない。あったとすれば大量にアットザマネーのプットの売り注文が入り、500円外側の買い注文が大量に入るだろう。それで価格差が250円弱になったところで価格は落ち着くことになる。従って、アットザマネーの付近の500円離れたオプション価格の価格差は250円以内にならなければいけない。また、逆に価格差が200円とか100円であればアットザマネーの買いと外側の売りポジションを取ることで最大利益50万円のポジションを作ることができる。コール側と合わせて最大利益50万円なのだが、一方においてコストの支払いが20万円とか30万円であれば少ないコストで最大利益50万円を狙うことができる。しかも残存期間が長ければ現在の日経平均が500円以上高いか500円以上安いかの確率はとても高い。50万円を手にできる確率はとても高くなる。従ってアットザマネー付近の価格差は権利行使価格の差のおよそ半分にならなければいけないのである。今まで価格比からのみオプション価格の並びを見てきたが、価格差という新しい視点で見ると違う姿が見えてくる。アットザマネーの価格は残存期間によって随分と変わってくるが価格差はほぼ同じなのである。(ただし、SQ間近ではこれは成り立たない)

この記事の最初に価格比1000円、アットザマネーの価格が1000円だとしてプットの価格がどのように計算されるかを書いた。価格比がわかってもアットザマネーの価格というもうひとつの変数がわからなければこの計算はできない。しかし、価格差のからくりがわかれば価格比からアットザマネーの価格が計算できるのである。

アットザマネーの価格をxとして価格比をtとすると次のような方程式が成り立つ。

x*(1-(1/2)^(t/500))≒250
残存期間が短くなると250円が200円、150円と徐々に小さくなる。これはSQ週に入ると急速に変化する。

これをxについて解くと、xをtの関数で表すことができる。これで価格比tがわかればすべての権利行使価格のプットの価格を計算することができる。ただし、SQが間近だとこれは成り立たない。また、ファープットではこの計算ょりはかなり高くなる。高いといっても10円20円だが。またコール側ではこの計算よりもコールの価格は安くなる。

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