親愛なるイヤフォンへ
拝啓親愛なるイヤフォンへ
貴方は私の毎日に欠かせない存在でした。
貴方も知っていた事でしょう?
それなのに何故貴方は行方をくらませてしまったの。
今朝私が起きた時、貴方は私の隣で充電コードに繋がれてスヤスヤ眠っていましたね。
--おおなんと愛しい姿だったことでしょうか
私がコードをはずしたとき、いつも通りの貴方に見えましたよ。あの時、貴方ほんとは自由になることばかり考えていた訳なんでしょう?
ああ、ほんと今どこにいるの。
貴方は今、自由になってどんな音楽をおもうの?一緒に聞いた沢山の曲と、世界の静けさの中から何を選ぶの?
貴方がいなくなってしまっては、私の耳に空いた穴が塞がらないわ。外の世界が怖くなった時に優しく包み込んでくれた貴方。貴方がいなくてやってけるでしょうか。ああ、私の生活はなんで不安定なんでしょう! 私も貴方みたいに自由になれたらいいのに。
貴方と一緒に、耳で溶ろけたあの安堵を忘れるなんてできるでしょうか。
貴方がいなくなって、不自由だったのは私に所有された貴方ではなくて私の方だったと気づきました。貴方は私がどんなに我儘言ったっていつもシン-としてられたものね。
これは貴方が取った少しの休暇だと思うことにします。もし戻って来てくれたら、どんなに嬉しいことか。その時に私の耳に違うイヤフォンがあっても私を責めないでください。どんな時も貴方のことを大事に思います。今までありがとう。本当に。
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