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コンプライアンスの原点はComply

皆さん、こんにちは! 共創したい監査チームの清水です。
前回(2023-07-10)は、「コンプライアンス」についてお話ししました。
今回は、そのコンプライアンスの原点であるComplyをもう少し掘り下げ、
類似の概念と比較しながら整理したいと思います。

Complyに対応する典型的な日本語は「遵守する」であり、他者の明示的な
要求(その代表例が法令等)に応じて自分の行動を変えることを意味しま
す。これと類似の用語にConformがあります。両者はしばしば互換性のある
語として扱われますが、日本語では「適合する」を当てはめ、集団の他の人
に合わせて自分の行動を変えることとして遣い分けることがあります。集団
が個人に影響を与えた結果、集団の基準に向かって考えや行動を変えることも含まれます。

筆者がこの違いに関心を持ったのは、内部監査人協会(IIA)の国際フレーム
ワークにある「内部監査の品質評価」を知ったことがきっかけです。
国際基準1300-品質のアシュアランスと改善のプログラムには、内部監査
部門の国際基準への適合性(Conformance)を評価できるように設計する旨
の規定があります。
https://www.theiia.org/globalassets/site/standards/mandatory-guidance/ippf/2017/ippf-standards-2017-japanese.pdf

上記のとおり、集団の基準が「国際基準」であり、それに向かって考えや
行動を変えることを「内部監査の品質を改善する」と読み替えることができ
ます。Complyの場合、法令等の細部を含め遵守することが求められますが、Conformは、基準等の方針や考え方に適合していることに重きを置くと考え
られます。

ここで筆者は、「細則主義(rule-based)」と「原則主義(principle-
based)」の違いを想起します。これらは、会計基準の議論でしばしば取り
上げられ、細則主義は細かく決定された一定のルールに従うことを、他方、
原則主義は原理・原則に沿うことを重視する考え方です。後者によれば、
裁量の幅が広くなりますが、原理・原則から逸脱することは認められませ
ん。つまり、自らを律する必要があるということとなります。

前回お話ししたように、コンプライアンスは、法令や社会規範のような
「他律」から、ESG/SDGsへの取組やパーパス経営のような「自律」にも
拡がっています。そして、今回取り上げた「適合性」や「原則主義」の考え
とどこかで繋がるのかもしれません。

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