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脱毛とウィッグ (1)
抗がん剤の治療で脱毛が始まった
私の場合全部で6クール抗がん剤治療をする予定。1クール目から脱毛が始まり、それからあっという間に帽子を被っていないと人の目が気になる状態になった。
一層のこと全部抜けてしまえばいいのに、襟足やもみあげだけに髪が残っていて、「子連れ 狼」の大五郎か、アニメ「一休さん」のどちて坊やのような髪型になってきた。
いよいよウィッグが必要になったというのに体調の悪い日が続き、ウィッグを選ぶことさえ辛かった。
治療が始まる前に購入しておくべきだった
治療前に医師から「脱毛は必ずあります。」と言われていたが、手術後直ぐに抗がん剤治療が始まった為、準備をする間が無かった。
そもそも髪の毛が無い自分の姿が想像できなくてウィッグの準備をしなかった。それどころか、私は脱毛しないかも!?とさえ思っていた。
自分は癌にならないと思っていても癌になったのに、私は全く思考が変わっていない残念な人だった。
脱毛が始まった時は思わず涙が溢れたが、髪の毛量が多かった私は脱毛後、シャンプーや乾かすのが楽で脱毛を受け入れられるようになってきていた。
脱毛すら慣れるのね。
それでも、日常生活に支障をきたすようになった為、仕方がなくウィッグを購入することにした。
どんなウィッグにしたら良いの?
家から近くの大きなお店にウィッグのコーナーがあった。
じっくり見ているところを人に見られたくなかった為、ウィッグが置いてある前をゆっくり歩きながら横目でウィッグの値段を確認した。
セール中の張り紙の下に値段が貼られていて、そこに大きく数字が書かれていた。
12万円
1番安い物がセール価格で12万円だった。そんなに高いの?
夫は「必要なものなのだから買ったら?」と言ったが、明らかに値段の高さに驚いていた。私は、「ウィッグに12万も使うくらいならずっと帽子を被ってるからいいよ。」と答えた。
「仕事を休んでいる状態で病院通いでお金ばかり出ていくから、なるべく安いウィッグがいいなあ。」と夫に言うと、「ちゃんとしたものでないと、気持ちが辛くなるよ。」と言ってくれた。そしてネットでリネアストリアのウィッグを見つけ、人毛のLサイズを注文してくれた。
1万6千円
私はこれでも高く感じた。
ウィッグが届いた時には髪の毛がほとんど無かった。Lサイズを注文したが髪の毛が無いとLサイズでは大きすぎた。私は頭が大きいかもしれないがそれよりも毛量が多かったのだ、と改めて気づかされた。
娘から届いたウィッグ
その頃、何のお知らせもなく娘から突然ウィッグが届いた。脱毛が始まった時にたまたま帰省していた娘達の前で泣いたことがあった。娘からのプレゼントはそんな母を気遣ってのことだろう。
ありがとう。
直ぐに娘にウィッグが届いたことを連絡した。娘は「安物だよ。良かったら使って。」と言った。以前の髪型に近いウィッグを探してくれたらしい。その気持ちが嬉しかった。
その娘からのプレゼントもLサイズだった。やっぱりそうだよねぇ。Lサイズを選ぶよね。
夫が注文してくれたウィッグも、娘が送ってくれたウィッグも気持ちは嬉しかったが、装着すると偽物の自分に見えて笑えてきた。
自分で言うのもなんだけど、頭の形は綺麗だった。しかし、顔の堀が無さすぎるのか?ウィッグを着けると可笑しかった。
綺麗な人は坊主になっても美しいはず。私はことごとく残念過ぎた。
それから暫くは、帽子を深く被って生活をしていた。
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