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SFは未来への警告足りうるか。

今回は、蔵書から漫画作品を紹介。
モーニングKCより2004年に刊行された単行本、EMERGING エマージングである。

ネットサーフィン中に見かけたのだが、まずもうジャケ買いしたくなるインパクトある表紙だ。
まあ、一目惚れしたんだよね。
(こうした例からもパッケージやキービジュアルの訴求力の重要性を感じる)

この作品では、未知のウィルスがパンデミックとなり日本が大混乱に陥るというSFサスペンスのお話が展開されていく。

主人公は医師であり、この未知なる存在と戦っていくこととなる。
ウィルス研究に対する現実的な実情、ハードルや人々の反応などがリアルに描かれており緊張感のある展開を伴って没入感が高い。
当時の時代背景をリサーチして描かれたのだと思うが、コロナウイルスが流行した今、そのあたりも変わってきているかもしれない。

実は、作中でこの未知のウィルスに対し、候補として様々なウィルス名の推測が語られるシーンがあるのだが、なんとそこにコロナウイルスも挙がっている。
作中では新種のウィルスということではあったが、その先見性には驚かされた。

巻末にて作者は、この話が現実にならなければよいが(意訳)と筆を置いている。
作者の危惧は形を変えて現実のものとなり、
EMERGING エマージングは、ある種の「予言書」となったのかもしれない。

SFというジャンルには時として未来への悲観的な想像が物語られ、暗く重いイメージがどことなくつきまとう。
行き過ぎた科学や自然の脅威など、人類を脅かすテーマが描かれる。
それは、エンターテイメント性とともに、もしかしたらあるかもしれない可能性の世界を見せてくれる。

いつだって事が起きてから対策は成される。
過去の過ちから学び取ることはとても大切なことだ。
それと同じくして、創作から生まれた未来への警鐘に耳を傾けられるだろうか。

全2巻と時間もかからないので、今だからこそ、読んでみてほしい。
人の能力である想像力は、見えないものをカタチにし人を幸せにするもののハズだ。
そうであってほしい。

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