創作活動を通した交流を描いた作品。僕の夢を見つけた『こみっくパーティー』。

                          はじめようか──
                     俺たちのパーティーを!


※上記のセリフは、SNKより発売された対戦格闘ゲーム『餓狼MOW』のキャラクターであるテリー・ボガードのものである。
今回取り上げる、こみっくパーティーとは関係はないが個人的に通じるものを感じたため引用させて頂いた。


僕は幼少の折から絵を描くことは好きだったので、ゲームや漫画のキャラクターを真似て描いたりしていた。

故に創作活動の原点ではないのだが、より近いニュアンスでいえば『同人活動』としての原点が、1999年にleafから発売された『こみっくパーティー』である。

作品概要として、美大に落ちた主人公が悪友に誘われ同人誌即売会こみっくパーティー、通称こみパの世界を知るところから物語は始まる。

おそらく多くのかたがご存知とおもわれるが、これは現実世界のビックサイトで開催されているコミックマーケット、通称コミケがモチーフになっている。

主人公は一年という期間で、漫画を描き高みを目指しつつ取り巻く女の子たちと交流を深めエンディングに辿り着くことを目的とするシミュレーション+アドベンチャーゲームだ。

好きなことをやって女の子と仲良く毎日過ごすなんてまるで夢の如しな世界だとおもったものだが、ゲームの中身としてもしっかりとした作りであった。

まず、同人誌即売会での販売を目的とした同人活動がテーマだけあって、その界隈を詳しく楽しみながら知ることができる。

主人公は美大を目指していたので絵に関しては知っていることもあるが、同人誌制作や即売会に関しては初心者だ。

その点で、同人活動や即売会というものを知らないプレイヤーも同じ目線で世界に触れていくことができる。

悪友や即売会で知り合ったひとたちが色々と教えてくれるので、同人誌制作→即売会参加という流れで都度プレイヤーは学んでいくことができるのだ。

そして、恋愛シミュレーションでもあるので高校時代の知人、中堅サークルや壁サークル、クオリティーは高いが人気がない作家や製本所の娘、運営スタッフにコスプレイヤーなどなど、即売会に携わる多種多様なヒロインがいる。

そのヒロインたちとの恋愛や、それぞれの即売会に対する、創作活動に対する想いを丁寧に描いている。

喜びも、苦しみも、その熱量も。

もちろんすべて現実と同じわけではないが、概ねこんな感じという意味で同人界隈というものを知ることができる。

様々なカタチで即売会に関わるヒロインたちとのエンディングを迎えるたびに、プレイヤーは即売会というもの、同人誌というもの、ひいては創作活動というものを感じ取れているはずだ。


自分もなにかを表現したい。


それをだれかと共有したい。


そんなアツい気持ちが沸き上がっているはずである。


高校時代、こみっくパーティーを教えてくれた知人と、コミケで同人活動しようぜ!    と熱く語り合ったものである。

僕は上京したはいいが、作品を作りサークル参加することはなく、一般参加として何度かコミケに行くのみだった。

その後、ノベルゲームを作りたいという想いから制作を開始。

作品を見て貰うための宣伝活動としてTwitterも始めた。

すると、そこには自作ゲームを作っているひとたちがたくさんいた。

僕がプレイしてきた、感動したフリーノベルゲームやRPGなどの製作者さんがいたのだ。

そして、そんなひとたちとやりとりすることができた。

今まで遠くのコミケに行ったり、個人のホームページの掲示板やメールで接するくらいだったのが、極端な話、24時間いつでもどこでもたくさんの製作者さんたちとコミュニケーションを取れたのだ。

もうそれが楽しくてうれしくて、本来の制作そっちのけで絡みに絡んだ。
(そして色々間違えて仲違いもした)

僕がこみっくパーティーで夢見た創作活動を同じくする者たちとのお祭り騒ぎのような楽しい毎日がそこにあった。


だから、夢の半分は叶ったのだ。


だが、僕は一作も作品を出せていない。


そのことが、みんなと楽しくやりとりしていても、どこか自分は部外者のような、そこにいる資格がないような気持ちが強くなっていった。

そしてnoteで何度か書いたように、Twitterにいるのがつらくなり、今はもう見ていない。

今はこうやってnoteで記事を書いている。
これはこれで好きなだけ気にせず言いたいことを吐き出せるので楽しい。

でも、Twitterで知り合った、創作するひとたちや全然違うジャンルのひとでも刺激を受けたひとたち、何気ないやりとりをするひとたち。

なんの実績もない口だけの僕を応援してくれたひとたち。

作品を完成させてTwitter(現X)に帰りたい。

またみんなと楽しくやりとりしたい。


その時こそ、僕の夢が本当の意味で叶う時なのだとおもう。

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