プレイヤー層を広げるもの。殺伐とした戦場に一輪の花を。

                誰がためにゲームは鳴る。

スクロールシューティングというと、なにを思い浮かべるだろうか。

画面が自動で流れていって、敵や弾がいっぱい出てきて、避けて撃ってで処理していく感じをイメージされたかとおもう。

ゼビウスやレイシリーズ、横スク御三家と言って若い人に通じるだろうか。
知ってれば結構勉強してるとおもう。
興味があればこれを機にいろいろ調べてみるといいかもしれない。
僕はR-TYPEやストライカーズ1945 IIとか好きだ。

絶滅危惧種とまでは言わないが(未だに新作は出ている。話題になるかは別として)、自由に動けて色んなアクションのあるゲームが人気のある今ではシンプル過ぎるきらいがあるかもしれない。

だが、シンプルに撃って避けるという操作で敵のパターン構築を攻略するあそびは、わかりやすい。
覚えることですこしずつ先に進めることも、成長を実感させてくれるよろこびがある。
基礎基本のおもしろさを軸にしつつ、作品毎に多様なシステムや演出でたのしませてくれるタイトルがたくさんある。

スクロールシューティングというのは、ゲームセンターのアーケードで生まれ、発展してきた歴史がある。

故に、シューター(シューティングを好む者)はアーケードを本懐とし、家庭用においてはその移植度を気にする傾向にある。
処理落ちが再現されてねーってどゆことー?

そして、彼らは挑戦者である。
クリアすればもっとやりがいを、と歯応えのあるゲームを求めた。

そして、開発者はシューターを満足させるような高難易度のシューティングを開発し続けた。
それは、ゲームオーバーになればお金を投入する回転率(インカム)が上がるという店にとってもメーカーにとってもWin-Winな関係性であった。

だが、すべてのプレイヤーがゲームにストイックな挑戦をしたり、上手いわけではない。
その輪からあぶれた者もまた存在した。

また、当時シューティング全盛の頃は戦闘機をモチーフにした硬派で殺伐としたゲームが多かったらしい。

そんな中、ゲームセンターがむさ苦しい野郎の巣と化すのを──もとい、プレイヤーが偏るのを危惧した旧ナムコ(現バンナム)が女性でも楽しめるパックマンを開発したという逸話がある。

さすがは遊びをクリエイトするナムコである。
ぼくも女の子とゲームしたい人生だった。


そして、今回取り上げるのがKONAMIから発売されたスーパーファミコン用ソフト『Pop’nツインビー』である。

先述の通り、アーケードはインカムとプレイヤー傾向の関係からゲームが難しいものが多かった。
よく聞く話で、『二面でゲームオーバーにしろ』というのがあるくらいである。鬼畜か。

財源の厳しい小学生にはキツい。
女の子のメンタルが折れて泣いちゃうかもしれない。

そこで家庭用である。
たしかにソフトは高い。
7800円(当時)だと……?
パパー買ってよー(棒読み)

だが、コンティニューに制限はない。
アーケードゲーマーはコンティニューを恥とするらしいが、家庭用は別の文化だ。
気にせずコンティニューしまくれば良い。

インカムの心配もしなくていいので、低難易度モードが搭載されることも多い。

うしろのひとを気にして連コインする必要もない。

そして、このPop’nツインビーの特徴として、

・ポップなカラーリング、デフォルメされたキャラクターによる明るい世界観。

・スクロールシューティングで同時二人プレイという当時(今でも)珍しい仕様

・1Pが狙われやすく、2Pが生存しやすい。
(設定で切り替えるカップルモード)

・片方のプレイヤーがライフを分け与えることができる。

・二人で発動する連携技がある。

といったものがある。


当時(というか今でも)特定のジャンルでは『ひとりであそぶもの』というイメージがあり、実際リリースされているものも一人用であることが多い。
スクロールシューティングも多分にその一例だ。

今では常時オンラインで誰かとマルチプレイなんて当たり前の時代だが一昔前は違った。

ローカルであそぶゲームでは、特にRPGなどひとりであそぶゲームが流行った。

そんな中でも、たとえば旧SQUAREの聖剣伝説2や3などはふたりであそんだりもできた。

ヒールライトをたのむ!

ラジャ!

そういったあそびを提供しようという開発者がいたからだ。

KONAMIも、この1Pが狙われやすくなる仕様に『カップルモード』なんて名前を付けてる。さすが後にときメモを生むだけのことはある。

彼氏彼女であそぶシーンを描いていたのだろう。
それは、鉄と硝煙の戦場にはなかったものだ。

軟派と批判されるだろうか。

だがそれは、より多くの人にゲームを楽しんでほしいという想いが具現化した結晶ではないだろうか。

Pop’nツインビーはいろいろな人が楽しめるように作られた素晴らしい作品だ。


俺に彼女がいなかった(ing現在進行形)という点を除いては。


※余談
どうでもいいけど、華って書くと厨ニっぽくて恥ずかしいから花って書くの僕だけですか。いやべつに好きにするのが一番です。

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