行動順の仕様。

             遅いキャラはたいてい不遇。


先手必勝。
よく聞いた言葉である。
多くのゲームにおいて、先攻を取ることは試合のアドバンテージに大きな影響を与える。早さはそれだけで強みである。
そして、その仕様はそのゲームのセオリーに関わることも多い。

ドラクエは古典的なRPGの仕様だが、行動順に関してはその古典が逆に珍しくなっている節がある。
ターン毎に敵味方の素早さに乱数調整が入ることで、実際の行動順にバラつきが生まれるためである。
これにより、味方との連携やカウンター行動が安定せず、ギャンブル性が高くなっている。(この仕様から遅い戦士は逆に計算しやすくなっている)
タイトル毎にも違うようだが、他作品に比べれば比較的素早さの価値比重はそこまで強くはない印象ではある。

サガフロンティア2。
1で連携システムが採用され、行動順がより重要性を持った。
2作目では、あらかじめ行動順を固定することができる。
これにより、特定の連携技の成功率をある程度プレイヤーが制御できるようになっている。
ドラクエのように戦闘中、早さに補正がかかるらしく「割り込み」が発生することがある。
バトルプランナーの小泉氏が予測できないことを楽しんでいる節があることもランダム性の扱いなどに出ているのかもしれない。(ソースは攻略本のインタビュー記事)

ポケモンなどのすばやさが相手より1でも高いと必ず先制できる仕様のものは、その重要性、依存度がかなり高くなる。
2、3発で倒れるバランスだと1手の重みが増し先攻できることはそれだけで強みになる。

FF6において、行動可能になったキャラが他のATBが溜まったキャラにATBを維持しながら順番を回せるようになったことはシリーズにおいて戦術性を深める地味に進化した点だった。
これによって、味方との連係がしやすくなった。
それまでは行動可能になるとATBを消費して行動しないと他のキャラにターンを回せなかった。
ゲージさえ溜まっていれば、パーティー内での行動順が自在に調整可能となった。
だが、かなしいかな、FF6はそれを活用するような繊細なバランスではなく、チカラで攻略することが割とスタンダードだった。(縛れば変わるのかもしれないが)

この仕様はクロノトリガーにも継がれ、連係のためにチャージ中のキャラを待っている間、3人目を先に行動させるといったことができた。
クロノトリガーではコマンドウインドウが3人一括表示されるようになり、キャラ毎の入力がしやすくなった。地味に改良点だと思う。

非リアルタイムだとFF10などにあるCTBがある。
入力中のタイムラグなどで割り込まれることもなく、行動順の変化も可視化されたそれはよりパズル的な側面を強化している。
このタイプは早いと行動回数に差が出ることもあり、より早さの価値が高い。

アトリエシリーズのマナケミア学園の錬金術師では、防御である程度の調整ができ、誰の行動順の前、後ろまでといったことができる。
より連携やカウンターなどの戦術が取りやすくなっている。

SRPGでは、アトラスよりステラデウスというタイトルがある。
かなり細かい待機時間調整が可能で、間合いや効果範囲といった空間的な要素と時間的コストによる行動タイミングが絡みパズル性が高い。

フリーゲームの天使心母。
スキルにより行動順が変動する。
それ込みで敵味方のターン中の流れが決定前に確認できる。
難易度の高いゲームは特に「いつ行動するか」が攻略に大きな影響を与えるため、より安定的なプレイのため可視化すると計算しやすい。

カードゲームなどにおいては、コンボがより重要であるため、カード毎の使用順は自由で割り込みや妨害もない(作品にもよるが)。
その代わりというか、手札にランダム性があり使いたくても手元にないといったことがある。
デッキ構築型と呼ばれるRPGもこれに近い。


行動順の流れは戦略に関与し、戦闘中の操作は変化に対応する戦術性を高める。
行動順の仕様ひとつとっても、ゲーム毎に異なるデザインがあり、攻略に影響を与えている。
個人的にはドラクエのようなランダム性も好きなのだが、攻略が安定しないからかあまり採用されるケースはない印象がある。


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