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名作フリーゲームアクション『WALL+ACCELERATION』。

                      止まれねえんだよ。
       あの感覚を知っちまったらもう、な。


フリーゲームに詳しいかたなら説明不要であろうとおもわれるウディコン第7回エントリー作品である。

知らないかたに向けて軽く説明しておくと、
SMOKING WOLF氏が開発したゲーム制作ツールであるWOLF RPGエディターにて作られたゲームによるコンテストがある。
それが、通称ウディコンである。

ツクール(今はMAKERか)と並んで著名なツールであり、様々な作品が生まれている。

名の通り元来RPG制作ツールとして開発されたものとおもうが、ツクール作品と同じくジャンルの枠を越えアクションなどを作る猛者もいる。

今回紹介するWALL+ACCELERATIONも、ジャンルはアクションゲームである。

ゲーム内容としては、いわゆるプラットフォーマーといわれるジャンプを駆使してステージのゴールを目指していくものだ。

具体例として、マリオみたいなゲームといえば分かりやすいだろうか。

操作方法は非常にシンプルで、左右移動にジャンプのみとなっている。

だが、このゲーム特有のシステムとして

『壁ジャンプによる加速』

がある。

ゲームタイトルにもなっている本作を象徴する要素だ。
美しいよね、こういう体現性のあるネーミングセンスは。
タイトル画面のシンプルなデザインも良い。

この加速により、移動速度とジャンプ高度や飛距離が強化される。

爆弾地帯を駆け抜けたり、大きな穴や並んだ爆弾を大きく飛び越えたりするのに必須のテクニックである。

便利な能力であるが、リスクもある。

加速状態では細かい制御が効きにくくなり、なにかにぶつかったり、キーを離して止まると加速状態は解除される。

近くに壁があればよいが、ギミックの配置次第では止まることなく連続でジャンプや壁ジャンプを続けなければ突破不可能なセクションもある。

ボタンで加速するゲームはいつでも使えるが、このゲームでは壁がなければダッシュできない

故に、時としていかに加速状態を維持するか、その制御テクニックが求められる


残像がカッコいい。
加速の爽快感がクセになる。


操作方法は少ないながら、ステージ構成が攻略しがいのある作りになっており、一撃アウトの爆弾や穴をクリアしていくのが難しくも病み付きになる。

ギミックも多彩であり、時限式爆弾やジャンプキーを押しながら乗ると高く飛び上がる箱など特性を駆使しなければ突破できないコースもある。

ステージは10ほどであるが、クリアタイムが残る上に基本ヲワタ式なのでリプレイ性が高く、見た目以上のボリューム感、満足感が得られるだろう。
各ステージが短い時間であそべるので、気軽にプレイできるのもうれしいところ。

チャレンジとして、目標タイムとしての○○秒でクリアしたらシルバーメダル、ゴールドメダルといったやり込み要素もある。
クリア後も何度もリトライしてメダルを取りたくなる中毒性の高い仕様だ。
ゴールドメダルのタイムが絶妙なんだよなぁ。

また、クリアしたステージではゴーストが出現する。
これは、ベストレコードのプレイが更新されていくので、常に過去最速の自分が壁として立ちはだかる。
タイムも表示されるが、やはり目の前を進んでいくキャラと競争しているような感覚はレースゲームのようで、つい対抗心から繰り返しプレイしてしまう魅力がある。


青い残像が全盛期の僕である。
過去の自分と競えるのが魅力だ。


現在ではプレイのハードルが高いかもしれないが、腕に覚えのあるゲーマーや、アクションゲーム好きは機会があればぜひあそんでみてほしいとおもう。

カエルの着ぐるみを着たような可愛らしい少女のキャラクターの見た目に反して、中身は実に硬派なアクションとなっている。
時折挟まれる哲学的なポエムも多くを語らず作品世界の独特な雰囲気を表している。

シンプル・イズ・ベストという言葉がまさしくふさわしい何度も繰り返しプレイしたくなる魅力を持つ、これぞアクションゲームといえる名作である。

5分10分でもたのしめるコンパクトな作りはコスパタイパが流行りの令和の時代にマッチしているともいえる。
実況向きのタイトルであるかもしれない。


※2024.3.26
タイトル変更。加筆修正。

※2024.3.23
初稿。


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