発売から20年近く経過してから『OZ-オズ-』をあそんだ感想。

                            TRINITY。
                 無双アクションの対極。


『OZ-オズ-』は、KONAMIより2005年に発売されたプレイステーション2専用ソフト。
ジャンルは、アクション。

名前から推察される通り、『オズの魔法使い』をモチーフとした作品である。


当時僕は、電撃プレイステーションというゲーム雑誌をちょくちょく買っていた。

その雑誌で、たしか特集記事のようなものが組まれていた記憶がある。

まあなにせ20年近く前の話だ。
なんとなくではある。

ただ、おぼろげな記憶でも、そのタイトルは覚えていたし気になってはいた。

まさか20年越しにプレイすることになるとはおもわなかったが。

雑誌では、『オズの魔法使い』をモチーフにしていることが書かれていた。

脳のないカカシや臆病なライオンなど、ネーミングか天才的だと感じていた。

その中でも、心のないブリキの木こりのくだりを特に覚えている。


『ブリキの木こりは、心がありません。人を好きというのが、どんな気持ちだったのかもおもいだせません』


的な感じだったとおもう。

作中のキャラクターに、それぞれのモチーフが割り当てられており、主人公っぽい少年がブリキの木こりを象徴していた。

僕は原典を知らなかったが(名前だけ聞いたことある程度)、センスやべえと感じていた。


『オズの魔法使い』については、昔遊んでいたギャルゲーである『水夏』という作品で登場人物がラムネ瓶を通した夏の終わりの世界を見て名を上げていたのを印象的に覚えていた。

この作品も創作の作風に影響をかなり受けたと自覚しているので、いずれ記事にしたいとおもう。


話がそれた。

とにかく、『OZ-オズ-』というゲームは気になってはいた。

が、結局プレイせずじまいだった。

当時はそういった作品がいくつもあり、後年の今になって懐古厨の癖があるらしい僕は探してあそんでいる。
『OZ-オズ-』も、そういったタイトルの中のひとつだ。

 
ストーリーとしては、村で妹(とねこ)と平和に暮らしていた少年が、突如異形の存在に襲われ妹を連れ去られてしまう。
それを、仲間とともに助けに向かう、という概要。


ネットで調べてみると、評価の割に知名度の低い、いわゆる知る人ぞ知る隠れた名作タイプの作品らしい。

この作品が挙がる折によく、

『バレーボール』

と例えられる。

それは、ゲームシステムによるものである。

『OZ-オズ-』では、主人公のほかに2人の仲間が常に付いてきて敵と戦っていく。

その時に、敵をボールのように打ち上げて味方同士で回し必殺技で倒すという流れをバレーボールに見立てていることに由来する。

『パス』といわれるこのアクションが
『OZ-オズ-』の象徴であり独自性だ。

打ち上げた敵は、落ちないように攻撃を加えて浮かし続けるのだが、仲間にパスしていくことで専用の倍率やゲージが上がったり、溜まったりする。

このゲームは普通の攻撃では有効なダメージソースとならず、このパスで溜めたゲージを使った必殺技ありきのデザインとなっている。

冒頭で無双アクションの対極と記したのは、このパスによる仲間との共闘を前提とした仕様による所感である。


無双アクションは、プレイステーション2が最新機種だった頃に流行っていたジャンル。

信長の野望シリーズなど歴史シミュレーションの印象が強かった旧コーエー(現コーエーテクモ)が開拓した戦国無双、三國無双などいわゆる『一騎当千』という一人でたくさんのザコをなぎ払う爽快感が受けた新ジャンルだ。
女武将の美しいモデリングも話題になった。

その後、様々な他社タイトルに、
『○○無双』
と名付けられ一時期流行した。

僕が記事で使用する『単騎無双』や創作、ゲーム界隈で『無双プレイ』、『無双化』といったワードもこの作品シリーズが由来ではないだろうか。(違ったらごめんさい)

それほど、当時は定着するほどの人気であり、語感もよかったのだろう。

そのような無双アクションが流行した頃に
対極ともいえる『仲間との共闘』を前提としたデザインのゲームがリリースされたことは中々に興味深い。

今現在でも、プレイヤーキャラ以外のNPCとの連携が必須なゲームは珍しいのではないだろうか。

プレイヤーキャラクターだけではクリアできない。
託し、受け取るという常に仲間を意識したプレイを要求される感覚はとても新鮮だった。

敵(ボール)を落とさないように拾い続け(レシーブ)、仲間が飛ばしてきたら(トス)
必殺技(スパイク)でキメる。

まさしく『バレーボール』を体現したチームプレイが独自性を放つKONAMIの傑作アクションである。


あと、この仲間とのコンボは敵一体に対して行われるもので、その間他の敵による『妨害』があり得ることもプレイにメリハリを生んでいる。

たくさんつないでボーナスがほしいんだけど、邪魔されるかも……。

なので、状況を見て適度なところで必殺技を使い周辺の敵をまとめて倒す必要がある。

チェイン数に比例して中断のリスクも増すというバランス調整は格闘ゲームのような邪魔の入らない一対一(サシ)のコンボゲーでは味わえない魅力がある。

負けたらすべて失うのにダブルアップしたくなるギャンブルのような快感だ。


一人用ゲームで仲間AIとの連携プレイによる共闘感を得られる稀有なタイトルである。

『OZ-オズ-』は、なぜ3人なのか。

作品のキャッチコピーにも心惹かれる、とても魅力的な作品だ。
 
プレイのハードルは高いかもしれないが、
ぜひ『OZ-オズ-』の世界に触れてみてほしいとおもう。


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