(日本人が)数か月で英語を喋れるようになる秘策など存在しない・目指すポイントと必要なこと

 映画の感想ばかり投稿していたが、実は私は英語学科に通う大学二年生なのである。大学に通ってまで英語を勉強するのだから、日頃よりインターネット上でよく見る”3か月で初心者がここまで英語ペラペラに!!”などという文言には懐疑的であり、実際そういった人たちのペラペラは全然大したことないというのが大半である。子音だけでも12個(指を折って数えたので間違えている可能性大)日本語に存在しない個別の音が存在し、またアクセントのつけ方が日本語と違う強弱方式なので、文にしたときに音が変化することもある英語を、拍アクセント、要はひらがな一文字ずつに対し全く同じ長さで話し続ける日本語の話者が対応するのには時間がかかるのが自然なのだ。

 さて、前置きはほどほどにして、どのようにしたら英語を喋れるようになるのか、について話していきたい。まず初めにしなくてはならないのは目的レベルを設定することである。二年間英語を専攻してわかったことだが、ネイティブレベルに到達するのはほぼ不可能であるという事実だ。そのため、ここでは英語で簡単なディスカッションをこなせるレベルとしよう。(実際、この程度が目指すには最適なポイントであり、あまり完璧主義者になりすぎると余計なことが気になって肝心な時にしゃべれなくなってしまうことになる)ここにたどり着くために必要なことはたったの三点だけである。

・語彙力を増やす
・英語らしいリズム感覚・発音を身に着ける
・文法を頭に入れる。

 しかし問題は、この三点ができる人が非常に限られることである。なので一つ一つ具体的なポイント・気を付けたい個所を説明していく。

・語彙力を増やす

 語彙力を増やす、これはつまりどういうことかと言われれば、基礎的な語彙を単語帳でマスターするまで繰り返したのち、単語帳の始めの方の語の同義語・対義語をメモしていくということだ。慣れてきたら難しい単語を簡単な英語で説明するなどしてもいいかもしれない。注意すべき点に関しては、対訳を完璧に暗記するよりイメージで覚えておいたほうが実際の英会話では役に立つことと、英熟語の存在も忘れずに勉強すること(単語帳と同じく一冊買って暗記するのが手っ取り早いし英語にこなれ感がでる)、一日で暗記できると思わず、トライアンドエラーを繰り返すべきであるということだ。

英語らしいリズム感覚・発音を身に着ける
 幸いなことに、今はポッドキャスト、YouTube等、生きた英語を聞ける機会は山のようにある。しかし、それらをただ聞き流すだけでは身に着けることは非常に難しいだろう。そこで必要になるのは、最初に体系的に学ぶことだ。これも本を買うか借りるかして学ぶのが好ましい。(英語音声学で調べればいくらでも出てくる。著者は”現代の英語音声学”で学習した)その次に、体系的な知識を実践に生かすうえで欠かせなくなってくるのがYouTube等で見つかる音声資料である。内容は目指す英語方言によって異なるが、 英語字幕がついているようなものをお勧めする(Ted Talk等。初学者にはBBC 6minute Englishを推奨する)。あとは自分の声をレコーディングして分析すればよりよい英語になっていくことだろう。

(初学者でなければ、体系的な学習→音声資料での学習↔自分の声をレコーディングし分析する、の流れがおススメ

・文法を頭に入れる
この記事を読んでいる人の英語レベルがどの程度かわからないのでレベル別に方法を紹介していくことにする。

初学者(ゼロからのスタート)・・・・中学生向けの参考書からスタートするべき。書店へ行き、自分がわかりやすいとおもえる解説・例文・問題が載っているものを選び、一冊終わったらもう一つ難しいものと繰り返し高校基礎レベル(関係代名詞・仮定法くらいまで)到達することを目標とする。(高校レベル参考書はさまざまあるが、おすすめは”高校英文法をひとつひとつわかりやすく”だ。初学者は間違えてもヴィンテージとかエヴァーグリーンを買ってはいけない)注意点として、見るだけでわかる・超簡単!などという文言のものは避けるべきである。受動的に英語が身につけば日本人はここまで苦労しないのだ。

中級者・上級者・・・・一日に一回英語ライティング(150単語程度,一つの出来事を詳細に書くことが重要)・リーディングをし、わからない表現が出てきたら調べノートにとる等、いろいろな表現に慣れる。リーディング教材に関してはJapan Times, New York Times, BBC News等でも良いし、それではあまり楽しくない、という人は小説にトライしてみてもよい。ハリー・ポッターは中級車にお勧めできる難易度で、いやにならないで読めるのでお勧めだ。また、少し難しくなるが、カズオイシグロの小説は一人称で書かれているので学べることが多くあり挑戦する価値があるといえるだろう。上級者はこれに加え、構文なんかをもっと詳しく学ぶとよいだろう。大学に通っている人はそういう授業をとっても良いだろうし、そうでない人はファンダメンタル認知言語学・言語学等、専門的な学問の入門書を手に取るとより言語的な側面から分析することが可能になると思う。
とはいえ、今回設定した目標レベルに対してはオーバーすぎるので、ここまで到達している人間は先に挙げた2つのポイントを重点的にするべきである。

まとめ


 ここまで長ったらしく説明してきたが、重要なのはこれら3点を並行して勉強する必要がある、ということだ。比重はそれぞれによって異なるが、例えば発音に問題があるような人は、自分の声を録音しながら単語帳の例文を発音してみてもいいかもしれない。とにかく、トライアンドエラーで自分に合った学習方法を獲得できることを願う。

最後に
 初学者の方に向けて、この三点で初めて手を出すべきは英文法である。”日本の教育は文法のみを重視している”などと揶揄されることもあるが、両言語間でかなり異なる文法規則を持つのだから、脳みその動きを作り変えるためにもそれは必要なことに思える。そのため、まずは愚直に文法を高校基礎レベルまで押し上げてから、語彙・発音のレベルを上げる練習をしてほしい。 

上級者向けにもいろいろ書いたが、英語学というものに興味を持った人は(http://user.keio.ac.jp/~rhotta/hellog/) こちらのサイトをお勧めしたい。

(話し相手がいない方々、ChatGPTとお話しして練習できますよ!!リスニング・スピーキングどちらも鍛えられますのでお勧めです)


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