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対象外・・・それは勘違い



 私の名前は伊藤理々杏。私には、ずっと片思いの相手が居る。それは、近所に住んでいる、五歳上の中村○○。私の親友のお兄さんだ。○○お兄ちゃんはよく一緒に遊んでくれた。私が学生の頃は、勉強を教えてもらったりもした。私は、優しくてカッコいい○○お兄ちゃんが大好きだった。でも、やっぱり年齢は最大の壁だ。前に、○○お兄ちゃんに言った事がある。


理々杏:ねぇ。○○お兄ちゃん。

○○:どうした?

理々杏:私ね?大きくなったら、○○お兄ちゃんと結婚する!○○お兄ちゃんのお嫁さんになる!

○○:ふふっ。そっかそっか。👋ナデナデ

理々杏:むぅ~。私は本気だからね!本当に○○お兄ちゃんのお嫁さんになるからね!

○○:ふふっ。ありがとね。👋ナデナデ

理々杏:むぅ~。


 完全に対象外だった。でも、一緒に遊んでくれるだけで幸せだった。私は、○○お兄ちゃんとずっと一緒に居られる。そう思っていた。だけど、私が中学二年生になる少し前ぐらいから、○○お兄ちゃんはあまり遊んでくれなくなった。私と○○お兄ちゃんは、五歳という年齢差がある。つまり私が中二の時、○○お兄ちゃんは大学生。○○お兄ちゃんは県外の大学に進学した為、完全に会えなくなってしまった。


理々杏・中学一年生


理々杏:はぁ~。

?:また落ち込んでるの?

理々杏:"麗乃"・・・○○お兄ちゃんって、家ではどうしてるの?

麗乃:今は受験勉強で忙しいみたい。

理々杏:でもさ・・・受験まで後一年は有るんだよ?いくらなんでも早過ぎない?

麗乃:「受験勉強とは、早ければ成功率は高くなる。遅ければ、成功率は低くなる。つまり、後悔しない為には、早過ぎる位が丁度良い。」って、お兄ちゃんが言ってた。

理々杏:・・・最近つまんない。

麗乃:ふふっ。理々杏って、ほんとにお兄ちゃんのこと大好きだよね。

理々杏:うん/////

麗乃:告白しないの?

理々杏:だって○○お兄ちゃん、私のこと完全に妹扱いだよ。告白したって流されちゃうよ。はぁ~。○○お兄ちゃんと同い年だったら良かったのになぁ。

麗乃:・・・

理々杏:○○お兄ちゃん、彼女とか居ないよね?

麗乃:居ないよ。

理々杏:ほっ😰良かった・・・

麗乃:今日もおうち来る?

理々杏:うん!行く!今日こそ○○お兄ちゃんに会える?

麗乃:会えると思うけど・・・分かんない。

理々杏:えぇ~。


自宅


麗乃:ただいま!

麗乃母:おかえり。理々杏ちゃんもいらっしゃい。

理々杏:おじゃまします!

麗乃:お兄ちゃんはまだ?

麗乃母:流石にまだよ。

麗乃:だよね。とりあえず、一緒に勉強しよう?

理々杏:うん!

麗乃母:後で飲み物とお菓子持っていくわね。

麗乃:ありがとう。

理々杏:ありがとうございます。おばさん。

麗乃母:ふふっ。


一時間後・・・


理々杏:まだかな?

麗乃:もうそろそろだよ。きっと。

理々杏:うん・・・

麗乃母:ふふっ。理々杏ちゃんはホントに○○が好きなのね。

理々杏:はい/////まあ、完全に妹扱いですけどね・・・

麗乃:理々杏・・・

麗乃母:まあでも、可能性が無い訳じゃないと思うわよ?

二人:え?

麗乃母:ふふっ。まだ先は長いわよ。

二人:?

○○:ただいま。

理々杏:あ、帰ってきた。

麗乃母:おかえり。

麗乃:おかえり。お兄ちゃん!

○○:ただいま。

理々杏:おかえりなさい。

○○:理々杏ちゃん。なんか・・・久しぶりだね。ふふっ。可愛くなったね。👋ナデナデ

理々杏:えへへ/////(心:可愛いって言われちゃった・・・)あ、ねぇ○○お兄ちゃん!一緒にゲームしよう?

○○:うーん・・・まあ、偶には息抜きもしないとだしね。良いよ。何のゲームする?

理々杏:うーんと・・・麗乃。どうする?

麗乃:じゃあ、トランプしようよ。お母さんも一緒に!

麗乃母:ふふっ。良いわよ。

麗乃:持ってくる!

○○:麗乃はまだまだ子供だな。

麗乃母:中学生だもの。大変なのはここからよ。

○○:そうだね。

理々杏:○○お兄ちゃん。

○○:ん?どうした?

理々杏:○○お兄ちゃんは、何処の大学に行くの?

○○:目指してるのは東京の大学。高校卒業したら、東京に引っ越すよ。

理々杏:そうなんだ・・・寂しくなるなぁ。

○○:まあでも、全然会えない訳じゃないから。

理々杏:うん・・・また会える?

○○:当たり前でしょ?理々杏ちゃんは、大事な女の子だからね。

理々杏:ふぇっ/////そ、それって・・・

○○:大事な妹みたいなものだからね。

理々杏:・・・むぅ~。(心:やっぱり妹扱い・・・)

麗乃:持ってきたよ。

○○:とりあえず、何する?

麗乃:ババ抜き!

理々杏:七並べ!

麗乃母:神経衰弱!

○○:おぅ、バラバラ・・・じゃあ順番にします。とりあえず、ババ抜きね。

麗乃:いぇい!


 それから一年後・・・○○お兄ちゃんは東京に引っ越してしまい、会えなくなってしまった。


理々杏・中学二年生


理々杏:はぁ~。

麗乃:どうしたの?

理々杏:○○お兄ちゃん、帰ってこなかったね。お盆休み。

麗乃:忙しいんじゃない?

理々杏:うん。連絡とかは無いの?

麗乃:全然無い。

理々杏:麗乃は寂しくないの?

麗乃:そんなの・・・寂しいに決まってるじゃん!私だってお兄ちゃんに会いたいもん!なのにお兄ちゃんったら、連絡も無いし。

理々杏:・・・(心:そういえば麗乃、○○お兄ちゃんのこと大好きだった。)麗乃ってやっぱり、ブラコン?

麗乃:ブラコン?そんなの関係ないよ。私とお兄ちゃんは、見えない赤い糸で結ばれてるんだから。きゃっ💕

理々杏:・・・

麗乃:まあでも、理々杏にならお兄ちゃんを任せられるかな。

理々杏:ふぇ/////む、無理だよ~・・・

麗乃:大丈夫だよ。

理々杏:・・・


 更に四年後。


理々杏・高校三年生


 私達は、○○お兄ちゃんと同じ大学に行く事になり、オープンキャンパスに来た。


麗乃:お兄ちゃ~ん!

○○:うわっ!おい麗乃。急に抱きつくな。人目を気にしろ。

麗乃:えへへ。ごめんごめん。久しぶりお兄ちゃん!

○○:ああ。久しぶり。

理々杏:久しぶり。○○お兄ちゃん。

○○:おぉ!理々杏ちゃん久しぶり!大人になったね。

理々杏:もう・・・私だってもうすぐ大学生だもん!充分大人です!

○○:ふふっ。まあ、俺からしたら、ずっと妹みたいな存在だよ・・・

理々杏:?

○○:・・・👋ナデナデ

理々杏:○○お兄ちゃん?

○○:どうした?

理々杏:なんか悲しそうな顔してるけど、大丈夫?

○○:大丈夫だよ。

理々杏:・・・

麗乃:・・・ねぇお兄ちゃん!

○○:ん?

麗乃:オープンキャンパスは?

○○:あぁ・・・そろそろ時間だな。じゃあ行こっか。

二人:うん!


オープンキャンパス終了後


○○:大体こんな感じだよ。分かった?

麗乃:うん!でも、お兄ちゃんはもう居ないんだよね。

○○:俺が死ぬみたいに言うなよ。

理々杏:また会えなくなるんだね。

○○:すぐに会えるよ・・・いつでも遊びにきなよ。麗乃と二人で。

理々杏:うん。

麗乃:やったー!私、お兄ちゃんと一緒に住もうかな~?

○○:ははっ。一人で住みなさい。

麗乃:ぶぅ~。ケチ。

○○:ケチで結構だよ。

理々杏:ふふっ。

?:○○!

二人:え?

○○:美月。

美月:あれ?この人達ってもしかして・・・

○○:うん。前に話した俺の妹とその友達。

美月:へぇ~!話は○○から聞いてるよ。私は山下美月。○○と同じ学科なの。

麗乃:妹の麗乃です。

理々杏:伊藤理々杏です。

美月:麗乃ちゃんに理々杏ちゃんね。これから宜しくね?

二人:・・・宜しくお願いします。

美月:あれ?あまり歓迎されてない?

麗乃:お兄ちゃんとはどういう、ご関係ですか!

理々杏:そうですよ。同じ学科だからって名前で呼び合うなんて!

美月:え?えーっと・・・○○!助けて!

○○:はいはい。落ち着きなよ。二人とも。

麗乃:お兄ちゃん!

理々杏:どういう関係なの!

○○:ただの友達だよ。

二人:本当に?!

美月:ふふふっ。実は私達・・・

 ギュッ

美月:付き合ってまーす!

二人:え!?

○○:お、おい!

美月:ふふっ。まあ、元だけどね。

二人:元?!

○○:別れたんだよ。

美月:だって○○ったら・・・私とのデート中に他の女の子の話ばっかりするんだもん。

二人:他の女の子?!

○○:他のって・・・あ!?

美月:いっつもいっつも理・・・🖐️んっ!

○○:ふぅ~。危ねぇ。おい美月!余計なこと言うな。

美月:んぅ!んぅ!ぷはぁ!ハァ、ハァ、ハァ、ハァ・・・死ぬかと思った・・・

二人:・・・

美月:まあ要するに・・・○○は誰か別の人を見てるって事。

○○:美月・・・ごめん。

美月:ううん。ていうか、美月ちゃん分かっちゃいました!○○君が見てる女の子が誰なのか!

○○:良いから黙っとけ。

美月:はーい。まあ、もし振られたら、私の所に戻ってくる?

麗乃:そんなの駄目!お兄ちゃんは私のですよ!

美月:えぇ~?いい加減兄離れしなよ。ブラコンちゃん?

麗乃:なっ!?何よ!

美月:そっちこそ何よ!

二人:むぅ~。ふん!

理々杏:・・・

○○:仲良くしろよ。

理々杏:○○お兄ちゃん。

○○:ん?

理々杏:好きな人、居るの?

○○:・・・うん。まあ、片思いだけどね。相手からしたら、俺はただの年上のお兄ちゃんだから。

理々杏:・・・

○○:ていうか、理々杏ちゃんは居ないの?好きな人。

理々杏:わ、私も一緒だよ。片思い。完全に妹扱いだもん。

○○:ふーん・・・諦めたら?

理々杏:え?

○○:そんな恋、諦めなよ。

理々杏:・・・無理だよ。ずっと好きなんだもん。今更諦めるなんて、そんなの出来ないよ。

○○:・・・俺にしなよ。

理々杏:え?

○○:俺なら、理々杏ちゃんを悲しませたりしないよ。

理々杏:っ!でも・・・○○お兄ちゃんには好きな人が・・・

○○:理々杏ちゃんだよ。

理々杏:え?

○○:俺が好きなのは、理々杏ちゃんだよ。

理々杏:え!?わ、私?!

○○:うん。

理々杏:え・・・えーー!な、なんで?!

○○:なんでって・・・

理々杏:だ、だって・・・私のことはただの妹なんじゃ・・・

○○:最初はね。でも、いつからか、ただの妹には思えなくなってさ。気づいたら、好きになってた。でも、この気持ちは封印したんだ。

理々杏:なんで?

○○:年齢の問題だよ。理々杏ちゃんからしたら、俺なんてただのお兄ちゃんでしょ?

理々杏:そんな事無い!

○○:え?

理々杏:わ、私も好きだよ。○○お兄ちゃんのこと。でも、ずっと妹としか思われてないんだろうなって。

○○:・・・なんか、すれ違ってたんだね。俺達。

理々杏:うん。

○○:美月と付き合ったのは、過去との区切りを付けるため。でも、その所為で美月を傷つけた。申し訳ない気持ちでいっぱいだよ。

理々杏:○○お兄ちゃん・・・

○○:やっぱり無理はするもんじゃないね。人間、正直にいかなくちゃ。

理々杏:・・・

○○:理々杏ちゃん。

理々杏:うん。

○○:俺と・・・付き合ってください。

理々杏:はい。宜しくお願いします。

○○:理々杏ちゃん・・・

理々杏:○○お兄ちゃん!ギュッ

○○:ふふっ。これからも宜しくね。

理々杏:うん!

麗乃:良かった😊

美月:ふふっ。・・・(心:終わっちゃったなぁ・・・私の恋・・・)理々杏ちゃん。

理々杏:はい。

美月:油断は禁物だよ?

理々杏:え?

美月:何かあったら、私が奪っちゃうから。

理々杏:渡しませんよ!絶対に!

美月:ふふっ。

麗乃:言っとくけど、こんな人がお義姉さんなんて絶対嫌だからね!

美月:ちょっと!なんてこと言うのよ!このブラコン!

麗乃:何よ!このストーカー!

美月:ブラコン!

麗乃:ストーカー!

二人:ぶぅ~!

理々杏:絶対渡さないんだから・・・

○○:・・・女の子って・・・凄いな。ギュッ

理々杏:っ!○○お兄ちゃん?

○○:名前で呼んで欲しいな。折角恋人になったんだし。

理々杏:う、うん/////・・・えっと・・・○、○○・・・君・・・

○○:ふふっ。好きだよ。理々杏ちゃん。

理々杏:わ、私も/////好き・・・

○○:ふふっ。

理々杏:えへへ/////

○○:可愛い。

理々杏://///


 こうして、私と○○君は付き合うことになった。この数ヶ月後。私と麗乃は大学に合格した。そして、○○君と一緒に住むことになった。


理々杏:ただいま!

○○と麗乃:おかえり。

理々杏:麗乃!来てたんだ。

麗乃:まあね。

○○:ご飯出来てるよ。

麗乃:お兄ちゃんのご飯大好き!

理々杏:私も!

○○:ふふっ。理々杏ちゃん。

理々杏:なに?

○○:好きだよ。

理々杏:う、うん/////私も、好き。

○○:ふふっ。今度デートでもしよっか。

理々杏:😀うん!

○○:ふふっ。

麗乃:良いなぁ。お兄ちゃん!私ともデートしてよね!

○○:はいはい。

?:私ともして欲しいな。

二人:げっ!山下美月。

美月:ちょっと~!酷くない?私も此処の住人なんですけど?

三人:違うだろ!

美月:えぇ~!三人揃って言わなくても良いじゃん!

○○:だって違うし。

美月:むぅ~。ねぇ!デートしようよ!

○○:しません。

美月:ケチ!

○○:ケチとかじゃないの。

理々杏:ちょっと!私の彼氏に手を出さないで!

美月:えぇ~。私は元カノだもん!

理々杏:元カノでしょ?私は今カノだもん!

二人:ぶぅ~!

○○:仲良くしなよ。

麗乃:お兄ちゃん!

○○:ん?

麗乃:理々杏の事、これからも宜しくね。

○○:☺️ああ。

麗乃:ふふっ。パクッ ん~~!美味しい!

○○:なら良かったよ。ほら!理々杏ちゃんも食べな。冷めちゃうよ。

理々杏:はーい!

○○:美月は?

美月:食べる!

○○:はいはい。座って待っとけ。

美月:はーい。


 私は、ずっと対象外だと思っていた。でもそれは、勘違いだった。○○君と付き合えて、今はとても幸せです。なんか邪魔者は居るけど。


理々杏:えへへ/////幸せぇ。

○○:俺もだよ。

二人:ふふっ。



END



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