第6話 親子
家を飛び出した○○は、当てもなく町を歩き回っていた。
○○:・・・グスッ😢俺が何をしたって言うんだよ・・・なんでだよ・・・グッ✊・・・もう誰も・・・信じない・・・
嫌いな女性との共同生活。学校内で出回っている、根も葉もない噂。母親と同じと言われた事。そして、父からの暴力。もはや、○
○の心は壊れ掛けていた。
○○が家を飛び出してから、およそ一週間が経っていた。
ドンッ💥
男:うあっ!
男2:おい、大丈夫かよ?
男:ああ・・・おい、お前!何処見て歩いてんだよ?!
○○:・・・あぁ、すいません・・・
男:おい待てよ!無視してんじゃねぇぞ、あぁ?!
○○:うるせぇな・・・謝ってんだろ。
男2:おいおい。謝って済むなら警察は要らないんだよ。分かるだろ?
男:そうだ。金払えよ。財布寄越せ。
○○:持ってねぇよ!ブンッ
男:くっ。テメェ!ふんっ!
○○:グアッ!ドサッ
男:俺達を嘗めんじゃねぇぞ?オラッ!
○○:くっ!ぐっ!グアッ!
男2:俺にもやらせろ。オラッ!
○○:グアッ!ガハッ!グハッ!(心:このまま・・・死ぬのか・・・俺は?ははっ。良いぜ。もっとやれ・・・いっそのこと、このまま死なせてくれ・・・)グハッ!
男:おらおら、どうした?さっきまでの威勢はどうしたんだよ。
○○:ぐっ!
男2:ハハハ。オラッ!
○○:うっ!グハッ!ガハッ!
男:ハハハ。大人を嘗めるから、こうなるんだよ。ほら。反撃してこいよ。
○○:・・・
男2:ははっ。弱いなぁ。オラッ!
○○:グハッ!ガッ!ガハッ!
男:ハハハッ。威張ってたわりには大したこと無いな。オラッ!
○○:グハッ!
男2:ハッ!
○○:ガハッ!
男:はぁ~。スッキリした。行こうぜ。
男2:おう。またな。
○○:・・・うっ。くっ。はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・今寝たら、死ねるかな・・・はははっ・・・ドサッ
?:あ!?あの!大丈夫ですか?
○○:・・・
?:この人って確か・・・酷い怪我・・・今すぐ助けないと!
たまたま通りかかったこの人は、○○を連れて歩き出した。
美月side
三人:・・・
○父:○○が出て行って、もう一週間か。
美母:大丈夫だよ・・・きっと帰ってくる。
美月:・・・○○君・・・
○父:僕は最低な人間だ。息子に手を上げるなんて・・・
美母:そんなに自分を責めないで。
美月:そうだよ。
○父:ごめん。
☎️Prrrrrrr
美母:こんな時間に・・・はい、もしもし。
?:あ、こんばんは。夜分にすいません。史緒里です。
美母:あ、史緒里ちゃん。こんばんは。どうかした?
史緒里:実は・・・
○○side
○○:父さん!
○父:○○・・・
○○:父さん、あのね!今日・・・
○父:まだ居たのか?
○○:・・・え?
○父:僕は言ったはずだぞ?今すぐ出て行けと。
○○:え?な、なに言ってんのさ。僕達、家族じゃん!
○父:お前なんか、家族でも何でもない。今すぐ、出て行け!
○○:っ!なんでだよ!待ってよ・・・父さん!
美母:まだ分からないの?
○○:お前!・・・父さんに何をしたんだ!
美母:何もしてないわよ。アレは、あの人の意志よ。
○○:そ、そんな訳・・・
美月:とっとと出て行きなよ。お父さんの今の家族は、私達なの。あんたは、もうずっと一人なんだから。
○○:・・・違う・・・違う違う違う!父さんが俺を捨てるわけない!
美月:黙れ。負け犬!
○○:!?
美月:ふふっ。ふははははっ!ふははははっ!
○○:・・・まだだ・・・そうだ!啓太だ!啓太が居る。俺は一人じゃない。啓太もクラスメイトの男子も、高村さんも居る。俺は一人じゃない。
啓太:○○。
クラスメイト:○○!
高村:○○。
○○:あ、みんな・・・やっぱり。俺は一人じゃ・・・
啓太:ふははははっ!
○○:ど、どうしたんだよ・・・
啓太:いや。可笑しくてさ。
○○:な、なにがだよ・・・
啓太:馬鹿じゃねぇの。お前なんか、友達でも何でもない。
○○:や、やめろ・・・
啓太:俺達みーんな・・・お前を利用してただけだよ。
○○:!?
男1:お前と一緒に居れば・・・俺達もチヤホヤされると思っただけだ。でも今は違う。
男2:お前・・・女をとっかえひっかえしてるんだろ。その噂の所為で、俺達も同じ目で見られるんだよ。
啓太:だから・・・お前は友達でも何でもない。
○○:ハァ、ハァ、ハァ、ハァ・・・
高村:○○。
○○:!?高村さん・・・俺・・・
高村:お前クビ。もう来なくて良いよ。
○○:!?い、嫌だ・・・嫌だ嫌だ嫌だ!!
○父:お前はもう家族じゃない。
○○:やめろ・・・
美母:出て行きなさい。
美月:負け犬。
○○:やめろやめろ・・・
啓太:もう友達じゃない。
クラスメイト:お前に居場所なんて無い。
高村:永遠に一人だ。
○○:うあーーーーーーっ!
現実
○○:はっ!ハァ、ハァ、ハァ、ハァ・・・此処は・・・うっ・・・これは・・・
○○の体には、包帯やら絆創膏が貼られていた。
○○:一体誰が・・・
🚪ガチャ
○○:誰だ!
?:あ、気がついたんだ。良かった・・・
○○:誰だお前・・・
?:聞いたことない?美月から。
○○:知らん。
?:私は久保史緒里。美月の友達だよ。
○○:そうか・・・何で俺を助けた?
史緒里:怪我してたから。それに、困ってる人を助けるのは当たり前でしょ?
○○:・・・手当したのもお前か?
史緒里:そうだよ。
○○:・・・余計な事を・・・
史緒里:・・・なんで彼処に一人で居たの?それに全身怪我してたし。
○○:お前には関係ない。手当の事、礼は言わないぞ。スッ
史緒里:あ、まだ寝てた方が良いよ。もうすぐ、親御さんも来るし。
○○:親御さん?お前、連絡したのか?
史緒里:え?あ、うん・・・すぐに向かうって。
○○:ちっ。
史緒里:だから・・・
○○:うるさい。あんな奴ら、家族じゃないんだよ!
史緒里:・・・
○○:俺にはもう、何も無い。父さんも、友達も居場所も。何にも無い。
史緒里:そんな事・・・
○○:有るんだよ!親父は俺を殴った!それって・・・そういうことだろ!もう家族じゃないってことだろ!
史緒里:そんな事無い!さっき電話した時のお父さん、泣いてたよ。
○○:・・・
史緒里:手を上げてしまったこと、凄く後悔してた。
○○:そんな訳・・・
史緒里:そんな訳有るよ。
○○:・・・
?:○○!
○○:!?お父さん・・・
○父:すまなかった!僕は、許されない事をした。許されたいとも思わない。でも、帰ってきて欲しいんだ。
○○:・・・
○父:・・・そうだよな。こんな父親、嫌だよな。ごめん。
○○:・・・俺には、お父さんしか居なかった。母親が別の男と出て行ったあの日・・・ううん。あの女に暴力を振るわれるようになった時からずっと。お父さんさえ居てくれれば、それで良かった。でも、そのお父さんに殴られた。それで分かった。お父さんは、俺の事嫌いだったんだね。
○父:!?違う!そんな事は決して無い!○
○は僕にとって、かけがえのない、大事な家族だ!だから・・・帰ってきてくれないか?
○○:・・・あの二人は、どうしてる?
○父:今は、家に居るよ。
○○:・・・お父さん・・・
○父:なんだい?
○○:・・・さっきの言葉、本当なの?俺がかけがえのない家族って、本当?
○父:当たり前だろ?
○○:・・・お父さん・・・信じて、良いんだよね?
○父:ああ。
○○:・・・お父さん!ギュッ
○父:!?○○・・・ギュッ
○○:うっ。グスッ😢お父さん・・・ごめんなさい・・・😭
○父:僕の方こそごめんな。
○○:グスッ😢お父さん・・・
○父:ん?どうした?
○○:・・・我が儘、言っても良い?
○父:勿論。
○○:・・・今日は、二人が良い。二人きりが良い。
○父:・・・☺️分かった。ちょっと待っててな。
○○:うん🥲・・・
史緒里:良かったね。
○○:・・・ありがとう、ございます。
史緒里:ふふっ。うん。
○○:・・・あの女も、こういう時、助けるのか?
史緒里:美月の事?ふふっ。助けたと思うよ。
○○:そうか・・・(心:信じてみても、良いのかな・・・)
○父:○○。
○○:お父さん・・・
○父:帰ろう。僕達の家に。
○○:・・・🥲うん!
○父:ありがとうございました。連絡してくれて。
史緒里:はい。
帰り道
○○:お父さん・・・
○父:ん?
○○:俺・・・お父さんのハンバーグが食べたいな。
○父:そういえば、久しく作ってなかったな。よし!久しぶりに腕を振るうぞ。
○○:楽しみだな。
○父:☺️買い物しなきゃな。
自宅
○父:ただいま。
美母:おかえりなさい。
美月:おかえり。
○父:ただいま。
○○:・・・
美母:こんなに怪我して・・・
美月:痛くない?大丈夫?
○○:これぐらいの怪我・・・どうって事ねぇよ。
美月:そっか。
○○:・・・ご心配おかけしました。
三人:!?ふふっ。
三人は驚きを見せたが、直ぐに微笑んだ。
美母:じゃあ、私達は行くわね。
○父:うん。
○○:・・・(心:ホントに二人にしてくれたんだ。でも・・・)良い。
○父:何が良いんだ?
○○:居て良いよ。此処に。
美月:・・・良いの?
○○:ただし!部屋から出てくるな。それが守れないなら、出て行って。
美母:ふふっ。分かったわ。
美月:じゃあ、おやすみ。
美母:おやすみ。
○父:おやすみ。
○○:・・・お父さん。早く食べたいよ。
○父:おう。直ぐ作るな。
○○:うん!
○父:よし。コネコネ
○○:・・・
○父:よいしょっと・・・ジュー
○○:🙂ふふっ。(心:良い匂いだなぁ。)
○父:・・・よし!出来たぞ!
○○:おぉ~・・・美味しそう・・・
○父:ふふっ。食べようか。
○○:うん!
二人:いただきます。パクッ👄
○父:美味しいかい?
○○:うん!パクッ👄パクッ👄パクッ👄パクッ👄
○父:ははっ。そんなにがっついたら、喉に詰まるぞ。
○○:えへへ。だって美味しいんだもん。
○父:ふふっ。まだまだ子供だな。○○は。
○○:むぅ。良いだろ別に/////
○父:ふふっ。パクッ👄
○○:パクッ👄んふふ。
ご飯を食べ終え、寝る時間になった。
○父:そろそろ寝ようか。
○○:うん・・・ねぇ、お父さん。
○父:ん?
○○:モジモジ/////一緒に、寝たいな・・・
○父:良いよ。
○○:ホント?
○父:ああ。勿論さ。
○○:やった。
○父:ふふっ。
ベッド
○父:何時ぶりかな。こうやって二人で寝たのは。
○○:小学生以来かな。
○父:もうそんなになるのか。ごめんな。いつも構ってやれなくて。
○○:ううん。いつもありがとう。
○父:ああ。
○○:お父さん・・・ギュッ
○父:ナデナデ👋
○○:えへへ。お父さん。
○父:ん?
○○:大好き。
○父:僕もだよ。
○○:えへへ。おやすみ、お父さん。
○父:おやすみ。
この日○○は、久しぶりにぐっすり眠れたのだった。
To be continued……
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?